第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

ホンダが2019年モデルの撮影会を実施#4

2019ホンダCBR650Rはスポーツ性を強化、1000RRとポジションも比較【映像でチェック】

  • 2019/3/31

【HONDA CBR650R(左)/CBR1000RR SP(右)】

648cc並列4気筒エンジンを積むホンダのニューモデル・CBR650R。前身であるCBR650Fのゆったり“F”ポジションから、”R”化したことでスポーティなキャラクターになったので、いっそ、さらにスポーティな”RR”とポジションを比較してると……?! フリーライターのヤタガイヒロアキがレポートする。

CBR650F→CBR650Rへの転身は若者層へのアプローチ

今回の車名変更をともなったモデルチェンジ。よくよく見ていくとかなり大きな改変である。正立フォークが倒立になり、ブレーキシステムも強化。低く構えるポジションに変更されたおかげで、スタイリングはもはや“RR”シリーズである。それもそのはず。開発陣がこのCBR650Rでターゲットとしたのは“若者層”。“F”がターゲットとしてきたツーリング好きのユーザーがアドベンチャーツアラーに流れて市場がシュリンク。新しい購買層へのアプローチをすることになったのだ。

【HONDA CBR650R 2019年型国内仕様 価格:103万6800円~106万9200円】並列4気筒649㏄のベーシックスポーツモデル。’19モデルでCBR650FからCBR650Rに車名を変え、外観も中身も攻めに転じたが、従来の使い勝手のいいFコンセプトも両立している。

【HONDA CBR650F 2017年型国内仕様 価格:103万1400円】新開発直4エンジンを搭載したフルカウルのロードスポーツで、グローバル戦略モデルとして登場した。’17年のモデルチェンジでヘッドライトをLED化するとともに7psアップを果たした。■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 648㏄ 90ps/11000rpm 213kg

大幅なスポーツ性強化、もはやRRの域へ到達?!

さて“R”への転身にあたり行われたのは、さらなるスポーツ性能の強化と、それに見合うスポーティなスタイリングを得ること。走行性能面において特に注力したのがエンジンである。既存の”F”がツーリングユースを前提とした中低速重視のキャラクターだったのに対し、”R”ではとにかく鋭い吹け上がりと、パワーフィールを重視。カムシャフトによるバルブタイミングの見直しから、圧縮比のアップ、吸排気系の見直しなどにより、”F”比で5㎰アップの95psを達成。しかも車体を共通するCB650Rとは違い、こいつにはラムエア吸気まで装備されている。なんとその効果で最高速である230km/h域において、3kw(約4㎰)も出力アップが見込めるというから驚きである。

“F”から”R”へ名前を変更すること。それは目指すコンセプトを、根底から変えるということである。そういう意味でこの”R”の転身は大成功といえるのではないだろうか?

エンジンを大改修。バルブのオーバーラップタイムを増やして鋭い吹け上がりを。またピストン変更で圧縮比もアップ。レッドゾーンは2000rpmも引き上げられた。

“F”との比較。ピーク回転にかけて谷のない上昇フィーリングを提供する出力特性に変更して扱いやすさを高めるとともに、従来モデルに対して高回転域の出力を向上させている。スロットル全閉から中開度域の3000~8000rpm付近のスロットルレスポンスを高めたことによりワインディングなどでのキビキビした走りを実現。

【CBR650R】シート高810mm。アップライトなポジションであるものの、シート高の分だけ前傾が少しだけ強まるイメージ。足つきもよく、ガニまたにする余裕がまだある。ライダーの身長は172cm、体重68kg。

【CBR1000RR SP】シート高820mm。数値だけみるとそれほど高くないのだが、低いハンドルに加えて、ステッ
プポジションが上がり、”R”シリーズに比べると、肘と膝のクリアランスが随分少ないと感じる。足つきは、カカトが3cmほど浮いた。

主要諸元■全長2130 全幅750 全高1150 軸距1450 シート高810(各mm) 車重207kg(装備)■水冷4スト並列4気筒 648㏄ 95ps/12000rpm 6.5kg-m/8500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=ダブルディスク R=ディスク タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17

【HONDA CBR650R(左)/CBR1000RR SP(右)】”RR”シリーズと見まごうシャープなスタイリングが与えられたCBR650R。一瞬で見分けるポイントは、ウインカー位置あたりか。

CBR400R同様、セパハンの締結位置をトップブリッジ下に移設してスポーティなポジションを創出。ツーリング性能よりもワインディングでの楽しさを優先した結果だ。

倒立フォーク&ラジアルマウントキャリパーという、上位機種と同じセットを与えられた。ディスクは320mmのペタルから、10mm小さくなるもフローティングピンが6本から10本に。

ピボットプレートはスチール鍛造から、プレスのモナカへと変更したことなどで、フレームを約3kg軽量化。剛性面は前作同等とのことだが、しならせ具合にかなりこだわったもよう。

低くなったハンドルポジションに合わせてステップも上後ろ方向へ移動。またフレーム解析による振動低減の恩恵でステップがラバーなしのスポーティなものになっている。

リヤショックはリンクレス仕様は変わらないが、下部の取り付けにピロボールを新採用。コーナーでフレームに応力がかかり、大きくしなった状態でもよく動いてくれそうである。

【開発者インタビュー】”R”と”RR”の違いはどこにある?

「僕自身は“RR”系の開発に携わったことがあるわけではないのですが、“RR”はサーキットユースに近い。積載性やロングツーリング性能などの使い勝手の部分は二の次なイメージです」と筒井LPL。加えて吉田LPL代行が「私は “RR”は昔600RRに携わったことがあるんですが、“ワインディングで楽しく、サーキットでぶっちぎる”というコンセプトを掲げた。ですから“RR”とワインディングからサーキットまで。というイメージ。“R”は街中からワインディングまでというところ」と補足してくれた。つまりそれなりにスポーツ性は高いのでサーキットも走れないことはないが、そこまで重きを置いてないというのが“R”ということだ。新作のCBR650Rのキャラクターは「より身近に使える“R”のコンセプトではあるものの、よりスポーツ性能アップに主眼を置いた。ただし“RR”まではいかない位置付けですね」と筒井LPLは表現する。

メーカー発表の資料を読むと、ところどころにCBR1000RRの名前が出てくることからも、かなりデザイン面でスポーツ性の高い”RR”を意識していることがわかる。

CBR650R(左)とCBR1000RRを並べてみると、スタイリングの共通点がよくわかる。比較車がSPではなく、同色のスタンダードになるとさらに見分けるのが難しそうだ。

●文:谷田貝 洋暁 ●写真:山内潤也

※ヤングマシン2019年5月号掲載記事をベースに再構成

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)