1000RR顔で3月15日発売!

ホンダ’19CBR650R国内モデル詳細:ツインラムエア搭載でスポーティに

水冷4ストロークの直列4気筒648ccエンジンを搭載し、コンパクトなフルカウルを装着したロードスポーツ「CBR650R」がホンダドリーム店で2019年3月15日より発売される。車名をCBR650FからCBR650Rへと改めたことにともない、何が新しくなったのだろうか?

よりスポーティに、『CBRの血統』をより鮮明に

2015年に登場したCBR650F(兄弟車はCB650F)は、648ccの直列4気筒エンジンを搭載したミドルクラスのスポーツバイクで、それまでの600ccスーパースポーツのエンジンを転用したモデルから、エンジン&フレームの全てを新設計として排気量を拡大したのが特徴だった。ただ、デザイン的にはややおとなしかったこともあって、ツウ好みだがちょっと地味といったイメージが付きまとってしまったことも確かだろう。

そこでホンダは、4年という比較的短い期間でのフルモデルチェンジを敢行。車名はCBR650FからCBR650Rへと改められることになった。モデルコンセプトも大きく変わり、よりスポーティに、より軽量に、そして操る楽しみを追求している。本誌でも2018年の夏頃からその情報をキャッチしており、同年秋のミラノショー(EICMA)での正式発表までを逐次追いかけてきた。また、ミラノでの発表当初から国内仕様の登場も既定路線として報じていたとおり、12月10日にはホンダ正規ディーラーのHonda DREAMを対象とした新製品内見会で予定発売時期等が判明。さらに、翌2019年1月21日には日本国内販売の詳細が正式発表されたのだった。

ここでは、国内仕様の正式発表とともに配布された詳細な資料をもとに、CBR650Rの全容に迫っていきたい。

【HONDA CBR650R 2019】●価格&色:103万6800円(黒)/106万9200円(赤)

レスポンスと官能的な吹け上がりを追求したエンジン

排気量648ccの並列4気筒エンジンであることは変わらないが、最高出力は90ps/11000rpm→95ps/12000rpmへとパワーアップ。最大トルクは6.5kg-mで変わらないものの、その発生回転数は8000rpmから8500rpmへとやや高回転化された。これにより、官能的な直4フィールを実現する出力特性としている。じっさいにパワーグラフを見ると、低速トルクの盛り上がり部分はやや削られているもののトルクの谷はなくなっているので、スムーズな加速感と扱いやすさが両立されているはずだ。

また、新設計のエアクリーナーボックスにはツインラムエアダクトを採用。ラム圧(走行時の風圧)によるエアボックスへの充填効率が大幅にアップしていることから、高速域ではスペック以上のパワフルさを堪能できるはずだ。

新たに採用したアシストスリッパークラッチにより、クラッチレバーの操作荷重を軽減させるとともに、シフトダウンにともなう急激なエンジンブレーキによる後輪のホッピングも抑制している。ホンダセレクタブルトルクコントロール(いわゆるトラコンに相当)も新採用し、駆動力のかけすぎによる後輪のスリップも緩和。このトラコンは左ハンドルのスイッチ操作でオン/オフの切り替えも可能となっている。

648ccの水冷4ストローク並列4気筒エンジン。高回転域のパワーアップのみならず、スロットル全閉から中開度域の3000~8000rpm付近のレスポンスを高めた。カムプロファイルの見直しによる高回転化、それに応じるバルブスプリングの最適化、高強度カムチェーンの採用やバルブシートの材質変更などが施された。
7000rpm付近からの刺激的な吹け上がりを追求。さらにCBR650Rでは吸気系にツインラムエアダクトを新採用し、高速域における動力性能にさらなるエキサイトメントをもたらしている。
ピストンの頭部形状を変更し、燃焼室形状の最適化を実施。併せて着火性の高いイリジウムプラグを採用することで、燃焼の効率化を促進し、吹け上がり感とスロットルレスポンスを高めている。
パワーユニットの性能向上に寄与するのが新設計のエアクリーナーだ。エアクリーナーエレメントを従来よりも20度立てることで吸気がよりスムーズにファンネル側に流れる構造となった。また、エアクリーナーエレメントの開口面積を約1.7倍へと拡大することで吸気抵抗を低減。さらにエアクリーナー全体で約200gの軽量化も達成している。
吸気ダクトをシングルからツイン化し、同時にラムエアダクトを採用。走行時の風圧(ラム圧)による過給効果で吸気充填効率を高め、高速域でのさらなるパワーアップを果たす。
マフラーは、マスの集中化を図った従来の形状を引き継ぎながらテールパイプ径をφ35mm→φ38mmに拡大。また、テールパイプの角度を35.4度上向きとすることで、より低中音域のサウンドを楽しめるようになった。

軽量化と高剛性化を両立する車体

ツインスパータイプのスチールフレームは従来から継承するが、剛性バランスを見直すとともに構成部品の構造を変更するなどして運動性能を向上した。メインフレーム後方に接続されるピボットプレート部は、従来の鍛造プレートからプレス成型品を組み合わせたボックス構造に変更し、軽量化&高剛性化を高次元で両立。シートレール下側のパイプはピボットプレートへの接合位置を上方に移動させ、軽快感のあるシルエットとシート後端の短縮によるマスの集中化にも貢献している。

足まわりでは、新デザインの5本Y字スポークのアルミホイールを採用し、剛性の最適化を図りながら各部の薄肉化により軽量化を促進した。サスペンションは新たにフロントフォークを倒立式とし、上質で軽快なハンドリングに寄与。またリヤショックとスイングアームの締結部にはピロボールを採用し、クッション作動性と路面追従性を高めている。フロントブレーキにはラジアルマウントキャリパーを新採用した。

フレームはツインスパー形状を継承しつつ剛性バランスを見直した。メインフレーム後方に接続されるピボットプレート部は、従来の鍛造プレートからプレス成型品を組み合わせたボックス構造に変更し、軽量化&高剛性化を高次元で両立。またエンジンハンガーをクロスパイプに一体化することで軽量化と振動軽減を果たした。シートレールはアンダーパイプの接合部を上方に移動したほか、シート後端を従来よりも60mm短縮し、マスの集中化に大きく寄与する。
ホイールは従来の6本Y字スポークから5本Y字スポークの新デザインに。F=440g/R=530gの軽量化も果たしている。ブレーキはフロントに新設計のφ310mm10ピンフローティングディスクとラジアルマウントキャリパーを採用し、ブレーキパッドの材料も変更を受けた。
リヤサスペンションはスイングアームとショックユニットの締結部にピロボールを採用し、クッション作動性を向上させることにより路面追従性を向上。
従来比でステップ位置をやや上げるとともに後方へ、そしてセパレートハンドルをトップブリッジ下側にマウントすることで、よりスポーティな前傾ポジションとした。

コンパクトかつアグレッシブなスタイリング

CBR1000RRのイメージを踏襲したLEDデュアルヘッドライトを新採用することで、CBRの血統を鮮明に打ち出している。また高速走行時のライダーの居住性とワインディングロードなどにおける車体の切り返しの軽快感を両立させた、軽量コンパクトなフルカウルデザインとした。カラーリングはレーシングイメージのグラフィックでスピード感を表現した『グランプリレッド』と、ブラックを基調としたなかに高彩度なレッドを差し色とした『マットバリスティックブラックメタリック』を採用している。

その他の装備としては、急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させるエマージェンシーストップシグナルを新採用した。また、新設計のメーターは軽量コンパクト化を図ったフルフラットデザインに。ギヤポジションインジケーターなどの機能も追加されている。

CBR650Rのイメージスケッチ。性能向上を前面に押し出した、より走りに特化したスタイリングを目指したことがわかる。
LEDデュアルヘッドライトの採用により、CBRの血統を強くアピール。ヘッドライト下の両側にツインラムエアダクトを採用している。※写真は欧州仕様
新設計のLEDテールランプを採用。レンズには縦方向に発光面積を増幅させるフルート(溝)カットと、下側を取り巻くようにシボ加工を施して、光に表情をつけている。制動時には内蔵されたストップランプが別途点灯する。またウインカーとライセンスランプもともにLED化し、軽量化に貢献している。※写真は欧州仕様
メーターパネルは表示面を縁まで透明アクリルて覆い、液量サイズを最大化したフルフラットデザインに。従来比で約21mmの薄型化と93gの軽量化も果たし、マスの集中化に貢献。
グランプリレッド。ホンダのレーシングDNAをイメージしたレッドをベースに、ミドルカウルからアンダーカウルにかけてグラフィックを施し、スピード感を強調している。
マットバリスティックブラックメタリック。車体全体をダークトーンで引き締め、高彩度なレッドと差し色としてアクセントを効かせた。ダクトやインテークにも彩色を施している。
LEDデュアルヘッドライトの採用とレーシングイメージのカラーリングにより、遠目にはCBR1000RRと区別がつきにくいほど。スポーティイメージが大きく増しており、EICMA会場でも目を引いていた。テールまわりは鋭いデザインのなかにも利便性を確保したことがうかがえる。
【HONDA CBR650R 2019】主要諸元■全長2130 全幅750 全高1150 軸距1450 シート高810(各mm) 車重207kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 648cc 95ps/12000rpm 6.5kg-m/8500rpm 変速機6段 燃料タンク容量15L■キャスター25°30′ トレール101mm ブレーキF=φ310mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ240mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17

ニュース提供:本田技研工業

関連記事
2018/12/29

  「バイク界の〇スポ」と栄誉ある称号をいただいているヤングマシン(略称ヤンマシ)は、妄想とガチスクープを虚実織り交ぜてお送りしているバイク雑誌。今年も多くのスクープで誌面を賑わせて(お騒が[…]

関連記事
2018/12/17

2018年10月のインターモトショーから11月のミラノショーにかけて、世界のニューモデルが一気に登場したことは記憶に新しいだろう。WEBヤングマシンでは新車情報を逐一お届けしてきたが、本特集「2019[…]

2019世界の新車図鑑(ホンダ)