攻めのCBへと変貌。この巨体が意のままに

ホンダCB1300スーパーフォアSP 試乗インプレッション【さらに乗り心地アップ】

ホンダCB1300スーパーフォアSP [2019]2018年7月のホンダCBオーナーズミーティングで世界初公開された、オーリンズやブレンボを装備するCB1300シリーズのSPバージョン・CB1300スーパーフォアSP [2019]。STDプラス36万7200円の実力をじっくりと検証する。

ホンダCB1300スーパーフォアSP [2019]
【HONDA CB1300 SUPER FOUR SP [2019]】主要諸元:全長2200 全幅795 全高1135 軸距1520 シート高790(各mm) 車重268kg 水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 1284cc 110ps/7250rpm 12.0kg-m/5500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量21L ブレーキF=Wディスク R=ディスク タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17
ホンダCB1300スーパーフォアSP [2019]
平成28年度排ガス規制に対応しつつ9psアップした’18年モデルをベースに、前後オーリンズとフロントにブレンボを組み込んだのがSPだ。専用のFCカラーに合わせてホイールとスイングアームを黒に。
ホンダCB1300スーパーフォアSP [2019]
表記上のシート高はわずか10mmアップだが、乗車1Gでのリヤの沈み込みが少なめなのか、腰高かつ前下がりな印象に(身長175cm 体重62kg)。
ホンダCB1300スーパーフォア/SP [2019]
【オーリンズと共同開発、STDよりも8mm長い】STD(左)、SP(右)ともカートリッジタイプのφ43mm正立式だ。SP は伸び側と圧側の減衰機構を左右に分離した最新の“RWU”をベースに、ボトムブラケットをラジアルマウント化している。
ホンダCB1300スーパーフォア/SP [2019]
【SPの減衰力調整は伸び側、圧側とも20段階】STD(左)はプリロード、伸び側減衰とも無段階。SP(右)は右が伸び側、左が圧側減衰で、無段階のプリロードは調整してもアジャスターの高さが変わらない独自の仕様。
ホンダCB1300スーパーフォア/SP [2019]
【CBR1000RR SPと同じブレンボキャリパー】共に対向ピストンでSTD(左)はニッシン製。SP(右)はブレンボ製ラジアルマウント式モノブロックで、フロントマスター径も14mm→5/8インチ(≒15.8mm)に大径化。CB1100RS用のフロントホイールとディスクハブを流用する。
ホンダCB1300スーパーフォア/SP [2019]
【既製品をベースに改良。圧側減衰調整は20段階】STD(左)、SP(右)ともにフルアジャスタブルで、減衰力調整はどちらも工具不要。STDはショーワ製、SPはφ49mmのリザーブタンクを持つオーリンズ製だ。車載工具にはプリロード用のレンチも。
ホンダCB1300スーパーフォアSP [2019]/CB750F [1983]
【手の込んだ塗装で高級感を演出】パールホークスアイスブルーと名付けられたこのカラーはSP専用色(左)。元ネタとなったのは‘82年に発売されたCB750F[FC](右)で、現行のSC54で採用されるのは初。
ホンダCB1300スーパーフォアSP [2019]
(左)全モデルでスポーツグリップヒーターを標準装備。SPは砲弾型メーターケースの下部を銀→ブラックへ。(右)全モデルで11Lのシート下収納スペース内に、ETC2.0車載器とアクセサリーソケット(12V3A)を装備する。

(○)さらに乗り心地アップ。ブレーキの安心感絶大

CB1300SFに採用されているショーワ製の前後ショックは、正立式&2本サスというトラディショナルな形式の中では最上と断言できるほど、スムーズな動きが乗り心地の良さに貢献している。Fフォークのインナーチューブはメッキ処理したあとにウルトラバフ仕上げを施しており、またフルアジャスタブルのリヤショックは2段スプリングを採用するなど、派手さはないがかなりコストのかかった足回りなのだ。

その前後ショックをオーリンズ製に変更したSPは、車高が8mmアップ(5mm刻みの諸元上では全高・シート高・最低地上高が10mmアップ)しており、その差は足着き性の違いからもすぐに分かる。走り出してすぐに感じるのは、足回りの動きがさらにスムーズかつ上質になったことだ。加減速時に発生するピッチングもストローク感はほぼ変わらず、よりしっとりとした動きになり、もちろん乗り心地もアップしている。

そして最も大きな変化はハンドリングだ。倒し込みからナチュラルに舵角が入り、そこからフロント荷重でスイッと向きを変える。STDよりも明らかにスポーティで、旋回力が増しただけでなく、ラインの自由度も高まっている。旋回中にギャップを通過した際の収束が早いのも長所で、さらにマシンがコンパクトになったと感じるほど動きが軽い。

CBにこうしたスポーティな走りを求める人にとって、ブレンボのモノブロックキャリパーも合わせて採用したのは理にかなっている。特に峠道の下りを長く走っていると、車重が重いこともあってか差が徐々に現れだし、STDのニッシンはタッチがややスポンジーに。一方、ブレンボはどこまでも強力かつフィーリングが変化しにくいので、コントロール性も含めて安心感は絶大だ。

SPのエンジンはSTDと共通であり、大排気量の直4らしい重厚なトルク感とシルキーな吹け上がりが味わえる。スロットルの動きに対するレスポンスの忠実さは秀逸で、これが274kgという巨体をキビキビと操れる原動力となっている。クラッチレバーの軽さも美点のひとつだ。

(△)欠点と呼べるものなし。タイヤ交換欲ぐらいか

これだけスポーティに走れるようになると、タイヤを1ランクぐらいハイグリップなものに交換してみたくなるはず。ただ、標準装備品でもバンク角が足りないと感じるほど十分にグリップするので、そうした欲望を抑えるのが唯一のネガかも。

【結論】メーカー推奨のセッティングでもう迷わない!

最終的なセッティングをオーリンズと合同で行ったり、硬度の異なるブレーキホースを採用するなど、ポン付けカスタムとは格段にレベルが違う。商品代金だけでもすでにお得だが、そうした部分まで考えるとバーゲンプライスだ。

ホンダCB1300スーパーボルドールSP [2019]
【HONDA CB1300 SUPER BOL D’OR SP [2019] 価格195万9120円】’03年に現行のSC54へとフルモデルチェンジしたCB1300SF。’05年に追加されたハーフカウル仕様のスーパーボルドールにもSP仕様が用意されている。ちなみにSPという名称がBIG‐1(CB1000/1300/400)シリーズに使われるのは初めてのことだ。

●写真: 飛澤 慎

※ヤングマシン2019年3月号掲載記事をベースに再構成

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