2018年7月のホンダCBオーナーズミーティングで世界初公開された、オーリンズやブレンボを装備するCB1300シリーズのSPバージョン・CB1300スーパーフォアSP [2019]。STDプラス36万7200円の実力をじっくりと検証する。
(○)さらに乗り心地アップ。ブレーキの安心感絶大
CB1300SFに採用されているショーワ製の前後ショックは、正立式&2本サスというトラディショナルな形式の中では最上と断言できるほど、スムーズな動きが乗り心地の良さに貢献している。Fフォークのインナーチューブはメッキ処理したあとにウルトラバフ仕上げを施しており、またフルアジャスタブルのリヤショックは2段スプリングを採用するなど、派手さはないがかなりコストのかかった足回りなのだ。
その前後ショックをオーリンズ製に変更したSPは、車高が8mmアップ(5mm刻みの諸元上では全高・シート高・最低地上高が10mmアップ)しており、その差は足着き性の違いからもすぐに分かる。走り出してすぐに感じるのは、足回りの動きがさらにスムーズかつ上質になったことだ。加減速時に発生するピッチングもストローク感はほぼ変わらず、よりしっとりとした動きになり、もちろん乗り心地もアップしている。
そして最も大きな変化はハンドリングだ。倒し込みからナチュラルに舵角が入り、そこからフロント荷重でスイッと向きを変える。STDよりも明らかにスポーティで、旋回力が増しただけでなく、ラインの自由度も高まっている。旋回中にギャップを通過した際の収束が早いのも長所で、さらにマシンがコンパクトになったと感じるほど動きが軽い。
CBにこうしたスポーティな走りを求める人にとって、ブレンボのモノブロックキャリパーも合わせて採用したのは理にかなっている。特に峠道の下りを長く走っていると、車重が重いこともあってか差が徐々に現れだし、STDのニッシンはタッチがややスポンジーに。一方、ブレンボはどこまでも強力かつフィーリングが変化しにくいので、コントロール性も含めて安心感は絶大だ。
SPのエンジンはSTDと共通であり、大排気量の直4らしい重厚なトルク感とシルキーな吹け上がりが味わえる。スロットルの動きに対するレスポンスの忠実さは秀逸で、これが274kgという巨体をキビキビと操れる原動力となっている。クラッチレバーの軽さも美点のひとつだ。
(△)欠点と呼べるものなし。タイヤ交換欲ぐらいか
これだけスポーティに走れるようになると、タイヤを1ランクぐらいハイグリップなものに交換してみたくなるはず。ただ、標準装備品でもバンク角が足りないと感じるほど十分にグリップするので、そうした欲望を抑えるのが唯一のネガかも。
【結論】メーカー推奨のセッティングでもう迷わない!
最終的なセッティングをオーリンズと合同で行ったり、硬度の異なるブレーキホースを採用するなど、ポン付けカスタムとは格段にレベルが違う。商品代金だけでもすでにお得だが、そうした部分まで考えるとバーゲンプライスだ。
●写真: 飛澤 慎
※ヤングマシン2019年3月号掲載記事をベースに再構成
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