昨年2018年末の第46回マシン・オブ・ザ・イヤー(MOTY)開催を記念して、『ヤングマシン』本誌とヨシムラのコラボとなるスペシャルモンキー125が誕生。3/22〜24の東京モーターサイクルショー2019・ヨシムラブースに展示されることが決まった。さらに、MOTY投票参加者のうち、このモンキーを手にすることができる幸運な1名が会場で決まる! 本連載特集では、世界に1台のスペシャルモンキー製作模様をドキュメンタリーでお届けする。第3回はペイント界のカリスマ・YFデザインによる塗装作業の続き。ツートーンカラーの仕上げにかかる。
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ここからが本番。YFデザイン 深澤さんの魔法の手が自在に模様を生んでいく
単色で塗る場合は基本的に前稿で紹介した工程までとなるが、ツートーンのヨシムラモンキーではここからが本番。プロのワザの見せ所だ。ペイントを担当するYFデザインでは、まずCGでイメージ画像を作って雰囲気を吟味。今回は純正のウイングマークエンブレムを流用しつつも、バランス的に位置を変えた方がいいことがこの段階で判明していた。
そうしてでき上がったCG画像を元に、実際のタンクに入るラインを決める作業を行う。その際に深澤さん、マスキングテープをまるでペンのように操って自在にカーブを描いていくのにビックリ。イメージ画像と比べ、実際のバランスに崩れはないか何度も確認して進める姿が印象的だ。決定したラインをトレースした型紙は、今後のためにも保存。特にレプリカ依頼の多いヘルメットでは何度も使うことになると言う。
そして、デザインラインが決まったら塗装用のマスキングをして塗り、その上から再度マスキングしては塗り重ねていく作業を繰り返す。ここで紹介する工程は、他のマシンやヘルメットの場合も同じ。ただし、複雑なデザインや色も多く使う場合は塗り重ねやマスキングが膨大に増えていくと言う。
【取材協力SHOP】YF DESIGN(千葉県四街道市鹿放ケ丘238-1 TEL:043-424-5552 http://www.yf-design.com/):MotoGP参戦中の中上貴晶選手や故加藤大治郎選手のヘルメットペイントで有名なYFデザイン。ヨシムラZ900RSもYFデザインがペイントを手掛けているのだ。巧みなマスキング技術でツートーンカラーを仕上げる
センター出しを行う
まずは模様を入れていくための基本となるセンターを決めていく。コンパスも使って左右均等か確実に測ると同時に見た目の印象も確認。ラインを決めていく
ストライプを入れるためのラインをマスキングテープで描いていく。貼っては剥がし、剥がしては貼りを繰り返して決めていくのだ。イメージ通りに納得するまで
ペイント前に作成したCG画像と見比べながらイメージ通りに納得するまでラインを貼りなおす。ここがデザインのキモとなる部分だ。ベースができた!
こうして深澤さんのイメージ通りのストライプを入れるためのベースが出来た。だが、まだ片面だけ。逆側のラインはどうするの?ここでトレペ登場
ここで取り出したるはトレーシングペーパー。タンクに合わせて形状を整え貼り上げていく。勘のいい人は何をするかお分かりかな?ラインをなぞっていく
トレーシングペーパーの上から先ほど入れたラインを狂いがないよう慎重になぞっていく。これが逆面用に用いる型紙となるのだ。トレペを反対側に
でき上がったトレペを逆面に被せてトレース。そこに合わせて逆面にもマスキングテープでラインを。これで見事に左右対称になった。マスキングを行う
次にストライプを入れる部分を残して全体をマスキング。ストライプの境目はカッターでキレイに切り取り、ゴミも残らないように処理。次にホワイトで
赤を塗るかと思いきや、次に塗るのはアクセントラインの白。黒よりも白の上に赤を載せたほうが発色がキレイになるので、これが正解。乾燥は早い
YFデザインは使用する塗料は最新速乾タイプではないと言うが、それでも乾燥は早いのに驚き。乾燥室に入れて1時間もかからない。再びマスキング
白のアクセントラインを残す部分を再びマスキング。いったん貼ってあるテープの一部を剥がしてラインを整え直していく。アールはこんな風に
5mm幅の曲線をマスキングする際に、5mmのマスキングテープではキレイに曲がらない。そんなときは3+2mmと2本使って実現している。そして赤く塗る
ツートーンとなる赤の部分を塗っていく。ここまで来るとマスキングで覆われたタンクの下は、ほぼ完成に近づいた姿となっているはずだ。
グラフィックペイントこそYFデザインの本領。詳細に作業工程を見せてくれた深澤さんだが、どうしてもマネできそうにないのは、やっぱりそのデザインセンス。塗装技術を自在に操り、芸術のようなヘルメットグラフィックも今回と同様に手作業で生み出していくというその様子は、まさに魔法の領域だと言っていい。ロゴはコンピューターで
赤い塗料が乾く間にロゴ用マスキングの作成を。ここはコンピューター制御のオートカッターを使ってデータから出力していく。事前に揃える
タンクに貼る前に文字を切り抜いておく。ただし、「O」や「D」など中が抜けるような文字は貼った後に整えた方がズレにくい。ロゴマスキング完了
完成したロゴマスキングを乾いたタンクに位置を合わせて貼り合わせ、周囲も慎重にマスク。いよいよ最終塗装の目前だ。そして最終ペイント
最後のロゴの部分はコンパクトなエアブラシで塗装。再び数十分ほど乾くのを待つと、いよいよオールペンタンクとご対面だ。ドキドキの一瞬…
全体を覆っていたマスキングを剥がしていくと、レッド×ブラックにホワイトラインの入った見事なタンクが出現! 給油口もペイントと地肌の境目が確かに自然だ。なお、実際はこの後、クリア塗装が待っている。細かい微調整も行いながらなんと7回も塗り重ね、ようやく真の完成となった。完成だ!!
う、うつくひい。。。
…というわけで、お次は〈#4フロントフォーク編〉。お楽しみに!
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●文:宮田健一 ●写真:松井 慎
※ヤングマシン2019年4月号掲載記事をベースに再構成
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