東京モーターサイクルショーで完成車を披露

モンキー125カスタムプロジェクト#4 フロントフォーク編【ヤングマシン×ヨシムラ コラボモデル】

ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト

昨年2018年末の第46回マシン・オブ・ザ・イヤー(MOTY)開催を記念して、『ヤングマシン』本誌とヨシムラのコラボとなるスペシャルモンキー125が誕生。3/22〜24の東京モーターサイクルショー2019・ヨシムラブースに展示されることが決まった。さらに、MOTY投票参加者のうち、このモンキーを手にすることができる幸運な1名が会場で決まる! 本連載特集では、世界に1台のスペシャルモンキー製作模様をドキュメンタリーでお届けする。第4回はフロントフォークのアウターチューブを再アルマイトでブラック化する。

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ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト

まずはフロントフォークのバラシから。オイル抜きがとにかく大変

さてさて、次なるお題は倒立フォーク・アウターチューブのブラックアルマイト化だ。もともとモンキーのアウターチューブには赤アルマイトが掛かっているのだが、それを剥がし、再アルマイトで黒くする作業だ。

フロントフォークの分解作業は本連載第1回に登場したアトラクティブに依頼した。モンキーの構造自体は大型車などに比べてシンプルなのだが、設計が特殊でとにかくフォークオイルが抜けにくいのがネックなのだとか。しっかり手順を踏まないと、インナーフォークを抜く際に残っているオイルが負圧で周囲に爆発的に飛び散ってしまうのだ。ここはプロに任せるのが絶対に確実だと教えてくれた。

ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト
倒立フォークのアウターをバラすためには内部を分解して引き出す必要がある。
ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト
モンキー125の倒立フォークは兄弟車のグロムと同じ構造で、フォークオイルがなかなか抜けず時間がかかるのがネックだ。普通の方法だとちょっぴりしか抜けない。
ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト
分解された倒立フォーク。この後のアルマイト加工は、ヨシムラのサポートも行っているコーケンに依頼した。

アルミ表面に皮膜を作って耐候性を高めるアルマイト処理

そもそも「アルマイト」とは、アルミニウムの表面に皮膜を作ることで耐候性を高める化学処理。この被膜の表面には微細な穴が無数に開いていて、染料を浸透させれば様々な色に染められる。耐候性はもちろん、このカラフルさゆえのファッション性がバイク部品をアルマイト加工する楽しさだろう。

作業をお願いしたのは神奈川県のコーケン。同社は現社長の二宮慎一郎さんが2輪レーサーだった縁から、現在では全仕事の3割をバイク関連が占めるというアルマイト工場。スタッフの多くもライダーのため、バイク部品をアルマイト加工する際の”ツボ”を知り尽くしているのが特徴だ。

ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト

【取材協力SHOP】
KOHKEN(コーケン 神奈川県横浜市都筑区池辺町3313 TEL:045-511-7333 https://koh-ken.jp/) 
取材に協力いただいた黒田隼斗さんは、同社が正規代理店として扱うブレンボの営業も担当。写真のCRF450Lはコーケンのデモ車で、未走行の新車を全バラし、各部をアルマイト加工している。

今回のモンキーのアウターチューブもしかりで、再アルマイトは外部だけに留め、内部はマスキングして元の赤アルマイトを残す方向で施行した。再アルマイトは元の皮膜を剥がす(= 薬品で溶かし落とす)際、若干ながら地のアルミも削るため、仕上がり後の寸法はわずかに痩せる。アウターチューブ内面が痩せて内径が広がれば、インナーチューブとのクリアランスが広がり、フォークの作動に影響が出る可能性も考えられなくはないからだ。

実際に痩せる寸法は微小だが、こうしたノウハウこそバイク部品に特化する同社の強み。安心して愛車の部品を委ねられるというわけだ。

Fフォークのアウターチューブを再アルマイトで黒くする

剥離:作業開始!

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再アルマイトは5つの工程(剥離→化学研磨→アルマイト→染色→封孔処理)に大別できる。まずは古いアルマイト膜を剥がす「剥離」から。ちなみにマスキング部分は企業秘密。モザイク入ってます。

剥離:赤い模様が広がる…

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強アルカリの液剤に漬けると、赤いアルマイトがシュワシュワと溶け落ちて行く。

剥離:完全にスッピンに

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赤かったアウターがアルミ地むき出しに! 剥離は薬品で皮膜を溶かし落とすため、表面はやや荒れたつや消し状態。このままアルマイトすればつや消し仕上げも可能。

化学研磨:素材表面にツヤを出す

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今回はツヤが欲しいので、薬品で表面の凹凸を平滑化して光沢を出す「化学研磨」という処理を行う。液剤に漬けるとご覧の輝きに。面白いなあ(笑)

アルマイト:重要な治具への固定

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アルマイト膜は電解液に漬けて電流を流し、電気分解することで形成される酸化皮膜。電解液に漬ける治具は作業中に部品がズレないよう固定しつつ、確実に電気を流す二役を担う。

アルマイト:硫酸中で電気分解

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硫酸槽に漬けて電気を流す。電気は治具上部の引っ掛け部から流すが、導通が止まると処理も止まるため治具への固定が重要なのだ。今回は約15.20ミクロンの皮膜を形成(色の濃淡により膜厚を変える)させる。

アルマイト:新たな被膜が形成

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新たな皮膜が形成されたアウター。いわゆるクリアアルマイトなら作業はここまで。

染色

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お次は染色工程。色別に染料槽が用意され、ここに漬け込んで部品を染める。

封孔処理→漆黒のフォーク完成!

ヤングマシン×ヨシムラ モンキー125カスタムプロジェクト

黒く染まったアウターチューブ。内部の赤もスペシャルパーツっぽい!?(組んだら見えないけど)写真は染色後の水洗い工程で、この後に染料の入った穴を塞ぐ「封孔処理」を経て完成!

 

 

…というわけで、〈#5 セラコート塗装編〉に続く。お楽しみに!

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●写真:松井 慎
※ヤングマシン2019年4月号掲載記事をベースに再構成

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