GSを名乗るにふさわしい走りと味わいに感心

BMW G310GS試乗インプレッション【BMW哲学を凝縮した万能性】

BMW G310GS

BMWのスモールアドベンチャー「G310GS」は2017年11月の発売以降、普通二輪免許でも乗れるGSとして人気だ。その魅力にあらためて迫る。

BMW G310GS

ホイールはフロント19/リヤ17インチで、タイヤは前後ともラジアル。ホイールトラベルは前後とも180mmと長めだ。ラゲッジキャリアを標準装備するほか、純正アクセサリーも豊富に揃う。

BMW G310GS

重心位置を下方かつ前方に集中させるため、シリンダーを10度後傾させた水冷DOHC単気筒エンジン。ヘッドは吸排気の向きを前後逆とし、フィンガーフォロワーやダウンドラフト吸気、ニカジルメッキシリンダー、1軸1次バランサーなどを採用。最高出力は313ccから34psを発揮する。しかも後方排気!

BMW G310GS

後傾シリンダーの恩恵の一つがスイングアームのロング化だ。肉抜きされたダイキャスト製で見た目も美しい。ファイナルドライブはチェーンだ。

BMW G310GS

試乗車の装着タイヤはメッツラーのツアランス。前後ともソリッドディスクで、キャリパーはバイブレ製。フロントフォークはφ41mm倒立式、リヤサスはリンクレスのモノショックだ。

BMW G310GS

(左)スチール製のインナータンクを採用する。容量は11Lとやや少なめ。高負荷走行時にはハイオクを使用のこと。(右)前後一体式のシート。オプションにてハイ(+15mm)とロー(-15mm)を用意する。日本仕様はETC2.0を標準装備。

BMW G310GS

幅の広いバーハンドルを採用。メーターはフルデジタルで、ギヤポジションや燃費計、ツイントリップなど旅に必要な機能が充実。

BMW G310GS

シート高は835mm。乗車1Gでサスが大きく沈み込むので、足着き性は悪くない。ライポジは大柄で、雰囲気は600㏄クラスに近い(身長175cm/体重62kg)

(○)操安性とライポジでGSワールドを演出

R1200GSに代表されるシリーズ共通のエッセンスをミニマムなボディに凝縮した、BMWのG310GS。313㏄なので排気量的には軽二輪に近いが、見た目のボリューム感は兄貴分のF700GSに迫るほどで、シート高は同車のスタンダードを70mmも上回る。リヤシートの位置が高いので乗り降りはやや苦労するが、とはいえライポジに関してはユーザーフレンドリーだ。座面の広いシートと入力しやすい形状のハンドル、ヒザの曲がりが少なくなるステップの位置など、これら3点のポジショニングは限りなく最上位モデルのR1200GSに近い。

後傾シリンダー&後方排気レイアウトに注目が集まる水冷DOHC4バルブ単気筒は、最高出力を9500rpmで発生する。かなりの高回転型なので、低回転域でのスナッチ(かつてのBMWの単気筒、F650シリーズは低速でギクシャクしやすかった)を心配したが、それは杞憂に終わった。シングル特有の一発ごとに蹴り出される感覚は薄いものの、低回転域からスムーズに吹け上がり、およそ3000〜8000 rpmが実用域と言えるほどにフレキシブルだ。特に感心したのは巡航性能で、それなりにピックアップのいいエンジンでありながら、一定速度で走っている際にギクシャクせず、淡々と距離を稼げる。このあたりはさすがビーエムだ。

ハンドリングもいい。ホイールトラベル量が前後とも180mmと長いため、減速時に発生するピッチングが大きく、大径なフロント19インチホイールと合わせて、大らかに向きを変えていく。排気量が小さいのでスロットルのオンオフだけであまりピッチングは発生しないが、これはテレレバーサスを採用するR1200 GSにも通じるところがあり、巡航時の疲労軽減に役立っている。

スクリーンは小さめだが、下半身も含めて防風効果は高く、また乗り心地も非常にいい。ブレーキは前後ともバイブレ製のキャリパーを採用しており、初期からコントローラブルだ。なお、標準装備のABSはボタン操作でキャンセル可能。こんなところにもGSらしさが息づく。

(△)微振動が意外と多くミラーが見えづらい

細かな振動がハンドルやステップに発生し、特に高速巡航時はミラーが見えづらくなる。それと極低回転域でのトルクが薄く、ダートを流しているときに何度かエンストしそうになったので、その点は注意を。

こんな人におすすめ:BMWの哲学をこの車体に凝縮。万能性は高い

アドベンチャーの祖であるBMW のR-GS。憧れているけれども大きさや重さ、免許などがネックとなっていた人にとっては、まさに福音となるモデルだ。排気量は小さくともGS ワールドが構築されており、BMW の開発力に感心しきり。

【BMW G310GS】
●価格:68万2600円 ●色:赤、黒、白
主要諸元 ■全長2075 全幅880 全高1230 軸距1420 シート高835(各mm) 車重170kg(装備) ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 313cc 34ps/9500rpm 2.9kg-m/7500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量11L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF =110/80R19R=150/70R17

●写真:飛澤 慎
●取材協力:BMW Motorrad 0120-269-437(BMWカスタマー・インタラクション・センター) http://www.bmw-motorrad.jp/
※ヤングマシン2018年12月号掲載記事をベースに再構成

このバイクに関連する記事/リンク

※本記事の内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

大屋雄一

大屋雄一

記事一覧を見る

紙面版にて厳正なる新製品テストを担当するベテランジャーナリスト。

特集/連載

  1. 自二車は中型二輪に限る
  2. 2018年○と×
  3. 兄弟車試乗インプレ対決
  4. 2019初夢スクープ
  5. HONDA CROSS CUB 110/50
  6. 加藤大治郎と原田哲也の物語
バイク王
Z900RS x STRIKER