マシン・オブ・ザ・イヤー2018
マシンとの濃密な対話が楽しめる次世代のCB

ホンダ CB1000Rの試乗インプレッション

新世代CBシリーズの旗艦としてフルモデルチェンジしたCB1000Rは、スポーツバイクの根源的な楽しさを追求。電脳化が進んだマシンをじっくりと試したぞ。

【〇】意のままに操れる快感

まずはエンジンから。初代CBR1000RRに端を発し、’08年に登場したスポーティネイキッド、初代CB1000Rにも搭載された998ccの水冷並列4気筒は、145psという最高出力を発揮する。注目すべきは電子制御スロットルを採用したことで、合わせてライディングモードの切り替えシステムも導入。パワー&スロットルレスポンス、トラコン、エンブレの3種類が3つのモード(スポーツ、スタンダード、レイン)ごとに連動して切り替わるほか、それぞれを任意にチョイスできるユーザーモードまで用意する。

最もエンジンの素の状態が発揮されるスポーツモードは、思わず身構えてしまうほどパワフルで、低中回転域での加速感ならスーパースポーツを上回るほど。基本設計が15年近く前とは思えないほど伸び上がりが洗練されており、質感のいい回り方とはまさにこのことだ。ただ、高速道路での巡航や市街地ではレスポンスがやや過敏なので、そんなシーンではスタンダードモードがいいだろう。なお、レインモードでは1〜3速での出力が制御され、レスポンスは最も穏やかになる。個人的にはここまで反応が緩慢だと返って扱いにくいと感じたので、実際に試して使いやすいモードを選んでほしい。
標準装備されるクイックシフターは、シフトアップだけでなくダウンにも対応。回転数の合わせ方が絶妙で、ワインディングだけでなく信号の多い街中でも非常に重宝した。


【HONDA CB1000R 2018年型国内仕様 色:黒、赤 価格:163万6200円】ミニマムな要素で新世代のスタイリングを追求した台形プロポーションを採用。CB900ホーネットの後継として’08年に初代CB1000Rがデビュー。エンジンはその流れを汲んでいるが、コンセプトも含め全くの別物へと進化した。

【〇】日本車もここまで来た

ハンドリングは、入力に対する反応が非常にダイレクトで、いい意味で日本車離れしている。ブレーキングからの倒し込みで自信を持てるのは、フレームの縦剛性の高さが寄与しているはず。また、スロットルを開けてからの旋回力の高さは、リヤサスの過度な縮みを抑えるアンチスクワット率の見直しによるものだろう。倒し込みや切り返しの際に感じる重さは確かに1000ccクラスではあるが、入力後の反応の早さは600ccとクラスと同等であり、気付けば無心でワインディングを楽しんでいた。ブレーキもコントローラブルであり、公道で質の高い走りが楽しめる稀有なマシンと言えよう。

先代CB1000R の998㏄水冷直4をベースに鍛造ピストンを採用するなどして圧縮比を向上。最高出力は125→145psへ。電子制御スロットルによって可能となった、ライディングモードの切り替え機構も新採用。また、CBR1000RRと同じストロークセンサーを使用したクイックシフターを標準装備した。アップ&ダウンに対応。じつに洗練された直4だ。

高張力鋼を使用したモノバックボーンフレームは、ヘッドパイプからダウンチューブにかけての部位を高剛性に設計。シートレールはアルミダイキャスト製で、ピボットシャフト締結部は割り締め式としている。

【×】走りに振っただけに使い方が見えづらい

シートカウルを省略するなど徹底的に無駄を削ぎ落としたデザインだけタンデムシートが小さく、荷物の積載が困難だった。純正アクセサリーのシートバッグでも容量が最大で約22Lなので、ロングツーリングするならそれなりの工夫が必要だろう。

【結論】所有欲を満たす高品質な外観と次元の高い走り

CB-R シリーズはこれまでに125、150、250を試乗したが、1000も含めてハンドリングのベクトルが共通することに感心。リヤ2本サスやクレードルフレームに固執しない、新たなCB 像を生んだ記念すべきシリーズであり、今後の発展に期待大だ。

倒立式フロントフォークは左側に減衰機構を集約したショーワ製SFF-BPで、キャリパーはトキコ製モノブロック。スイングアームは片持ち式で、分離加圧式のリヤショックを採用する。

入力しやすいフラットな形状のテーパーハンドルを採用。特徴的な造形の燃料タンクはフランジレス製法だ。なお、塗色は赤のみ新しい3層構造のキャンディー塗装を採用する。メーターパネルは表示部全面をフラットなアクリルで覆うなど、最新のスマホのようだ。右上にはマルチカラーラインという各種操作によって色が変わる機能を導入する。

フロントフォークのアウターチューブの間に埋め込まれるように配置されたヘッドライト。円弧状のライトガイドを上下に配して個性的な表情を構築する。

鋼板ならではの張りとしなやかさを生かした燃料タンクや、ヘアライン仕上げを施したシュラウド、塗装後に切削加工したスプロケットハブなど、高品位なディテールが随所に。金属の質感にこだわっている。

シート高は830mmと高めだが、車体がスリムなので足着き性は悪くない。下半身のフィット感が良好で、マシンとの一体感に優れる。(身長:175cm/体重:62kg)

左=CB125R(44万8200円)、右=CB250R(50万3280円~)昨年のミラノショーでデビューしたネオスポーツカフェ=CB-Rシリーズは、1000を筆頭に国内では250と125、海外では300と150の5車種を展開。1000以外は共通シャシーを採用する。

主要諸元■全長2120 全幅790 全高1090 軸距1455 シート高830(各mm) 車重212kg(装備)■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 145ps/10500rpm 10.6kg-m/8250rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量16L■ブレーキF=Wディスク R=ディスク■タイヤF=120/70ZR17 R=190/55ZR17

写真:飛澤慎

「MT-10とCB1000R、どっちが買い?!」はこちら

大屋雄一

大屋雄一

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紙面版にて厳正なる新製品テストを担当するベテランジャーナリスト。

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