
[Q] フロントフォークには、正立と倒立タイプがあり、見た目は上下をひっくり返しただけのように見えます。倒立式は速そうなバイクに装着されていることが多いようですが、どんなメリットがあるのでしょう?
●文:ライドハイ編集部(根本健)
[A] より剛性を高め、スムーズな動きを追求るために開発された
フロントのサスペンション機構、“フロントフォーク”には正立タイプと倒立タイプがある…と聞いて、何のこと? と思われた方は、まず写真を見て違いを確認しておくと良いでしょう。
昔から採用されている一般的な正立タイプは、前輪を支持しているアクスルシャフト(車軸)までボトムケース(アウターチューブ)と呼ばれるアルミ製の長い筒があって、その上にインナーチューブと呼ばれるメッキされたスチール製のパイプがあります。フロントフォークの中にはスプリングやフォーク用オイルが入っていて、インナーチューブとボトムケースがスライドすることで衝撃を吸収しています。
さて、ブレーキを強くかけたとき、フロントフォークにはどのような負荷がかかるでしょう。ブレーキがかかるとフロントタイヤがグリップするのと同時に減速G(車重やライダーの体重の慣性力)でフロントフォークは大きく沈み込みます。
このときインナーチューブが「くの字」にたわんでしまうと、ボトムケースのアウター側とスムーズにスライドできなくなってしまいます。そこでインナーチューブの剛性が必要になります。
しかしインナーチューブには、ハンドルなどが装着されるトップブリッジと、ステアリングヘッド下で同じくフロントフォークを支えているアンダーブラケットを貫通する、相当な長さが必要になります。これだけの長さがある金属パイプで剛性を高めれば、当然重量が増えてしまいます。そのため、ブレーキが強力なバイクほど、パイプ径を大径化してパイプの肉厚を薄くする、強靭な剛性と軽量化の両方をクリアする手法が採り入れられてきました。
倒立タイプはオフロードからオンロードモデルへ
その発想を根底からひっくり返したのが倒立タイプでした。始まりはモトクロッサーのようなオフロードバイクでした……
※本記事は2021年10月4日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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