いまどきのバイクなら燃料計はもちろん装備しているし、残りのガソリンであと何キロ走れるか表示してくれる車種も多い。だから燃料タンクの容量や燃費なんて知らなくてもガス欠する心配はほとんど無い。……かもしれないけれど、やっぱり知っていた方がツーリングの計画も立てやすいし、まさかの「高速道路でガス欠」も回避できる!
●文:伊藤康司 ●写真:カワサキ、富樫秀明
愛車がガソリン1リットルで何キロ走れるか知ってる?
インジェクション化され高性能なECUで制御される最近のバイクは、瞬間燃費や残燃料での走行可能距離を表示する車種も少なくない。そんなバイクなら燃料タンクの容量や燃費(燃料消費率。ガソリン1リットルで走れる距離のこと)など知らなくても、ことさら問題は起こらないだろう。
とはいえキャブレター時代やインジェクション初期の「ちょい古バイク」や、現行車でもクラシック系や小排気量車などは、そういった「便利機能」を装備しないモデルも多く、これらのバイクは燃費や航続距離を知っておくことは必須。
また便利機能を装備するバイクでも、燃費や航続距離を知っている方が、給油や休息のタイミングなどツーリングの計画も立てやすいし、ガソリン代などコストも予測できる。
ということで、知っていると便利な項目は、燃料タンク容量(カタログやメーカーHPのスペック表に記載あり)と、燃料警告灯が点灯した時点でのガソリン残量(車種ごとのハンドブックに記載あり。不明ならメーカーの「お客様相談室」に問い合わせ)、それと燃費だ。
実際の燃費は走行距離を給油量で割れば計算できる(例:250km÷13L=19.2km/L)ので、ガソリンスタンドで給油する際に走行距離を写メ(メモ)しておけば後からでもわかる。ライダーの乗り方のクセや走る場所によってけっこう変わるので、愛車の実燃費を知っておくのがオススメだ。
とはいえ計算するのが面倒だったり、これからバイクを買うので実燃費がわからない……という場合は、2012年以降のバイクならカタログやメーカーHPのスペック表の燃料消費率の欄に「WMTCモード値」が記載されているので、こちらを参考にしよう(従来からの定地燃費値は実燃費と隔たりが大きいが、WMTCモード値は実燃費に比較的近い)。ちなみに欧州車の場合は燃費を「4.2L/100km」のように、100km走行するのに要する燃料の量で表記することも多い。慣れの問題とはいえ、100km÷4.2L=23.8km/lに換算した方がわかりやすいかもしれない。
バイクの燃費や航続距離は、車種によってどれくらい違う?
愛車以外の燃費とか知っても意味ない……と思うかもしれないが、けっこう違いがあるので比べると面白い。燃費はランニングコストに影響するし、燃料タンク容量や航続距離によってツーリング時の給油回数も大きく変わるので、次に買うバイクを選ぶときの参考にもなる。というコトで、ここではカワサキの人気モデルを排気量やジャンルで比較してみた。
※各車の■燃料タンク容量の()内は、燃料警告灯が点灯した時点でのガソリン残量
※各車の●満タンでの航続距離と●燃料警告灯点灯後の走行可能距離は、燃料タンク容量と燃料消費率(WMTCモード値)による計算値
同じ排気量でもけっこう違う!
同じ1000ccで200ps級だが、Ninja H2 SX SEの方が燃費が良く、これはスーパーチャージャーの影響か? さらにタンク容量の違いも合わせ、航続距離はZX-10Rより約70kmも長く、スーパーツアラーとスーパースポーツの違いが如実に表れている。
カタチが似ていてもけっこう違う!Z900RSは17L、Z650RSは12Lしかない……
Z650RSの方が排気量も気筒数も少ないので燃費が良いのは当然かも。あわせてZ650RSはレギュラーガソリン仕様なので財布に優しい。ただし燃料タンク容量がZ900RSより5Lも少ないので、燃費が良い割りに航続距離はかなり短い。
気筒数が変わるとけっこう違う!
1万7000回転も回る4気筒エンジンだけに、ZX-25Rの燃費がZ900RSやZ650RSより下回るのは仕方ないところか。対する2気筒のNinja 250は極めて好燃費で、航続距離はNinja H2 SX SEを上回る!