●文:モーサイ編集部(鷹橋公宣/元刑事)
高齢者にとっての免許証=顔写真付き身分証明書!?
車を運転する機会がなくなった高齢者の中には、“顔写真つきの身分証明書”という理由で運転免許を持ち続けている人もいると聞きます。
しかし、免許更新の際に、70歳以上は高齢者講習、75歳以上なら認知機能検査が必要になったことや、身分証明書としてマイナンバーカードが普及していることなどから、運転免許を手放す人も徐々に増えています。
また昨今は、高齢者の運転事故が増加傾向にあるため、各都道府県警察や公安委員会が“自主返納”をさまざまな機会を通じて広報しています。
ここで気になるのが、“運転免許を返納したけど必要になった”場合、再交付は可能なのかという疑問です。長年運転してきた人が多いでしょうし、ましてや交通事故や違反などで免許が取り消されたわけではありません。
自主返納後、「仕事でクルマが必要になった」「趣味でバイクに乗りたくなった」など、なにかしらの事情で運転免許が必要になった場合、簡単に再交付できるような特別措置はあるのでしょうか?
返納の方法:一部取り消し/下位免許の取得
警察庁が公開している「令和5年版 運転免許統計」によると、2023年に運転免許を自主返納した人の数は約38万人でした。
2019年に起きた池袋暴走事故をきっかけに免許返納者が急増し、令和元年には過去最高の60万人を記録。運転免許を自主返納した人のほとんどが65歳以上の高齢者です。
そんな運転免許の返納には“一部取り消し”と“下位免許の取得”という2つの方法があります。
一部取り消しとは、普通免許と自動二輪免許を持っている人が、片方のみを自主返納すること(バイクにはもう乗らないので二輪免許は取り消すけど、クルマは引き続き乗るので普通免許だけは残したいというような場合)。
下位免許の取得とは、免許の取り消しを申請する際に、その免許の種類に応じて一定の免許を受けることができるものです(仕事を辞めて大型トラックに乗ることはなくなったので、大型免許は不要だが、マイカーは乗り続けるので普通免許にダウングレードするようなイメージ)。
返納した後に運転免許が必要になった場合、再交付できるのか?
ちなみに、過去に警察庁が実施したアンケートによると、自主返納をした理由トップ3は次の通りです。
- 1位:家族などに勧められた(33.0%)
- 2位:運転する必要がなくなったと感じた(29.4%)
- 3位:運転に自信がなくなった(19.2%)
その一方で、返納をためらう理由のトップは「車がないと生活が不便(68.5%)」と、やはり車を手放すことに強い不安を感じている人が多い結果となりました。
では、自主返納したあとで運転免許が必要になった場合はどうなるのでしょうか。自ら返納したのであれば、ある程度の優遇措置があってもいいような気がします。せめて実技試験ぐらいは免除して、学科試験だけで再交付してくれればいいのに…なんて思う人も多いでしょう……
※本記事は2022年5月26日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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