
かつて絶滅した2ストロークのバイク。いまや伝説化しているためか、若者にも人気があるとかないとか。だけど覚えておいてほしいのは、「4サイクルとは暖気から違うゾ」ってこと。始動しにくくても、煙をモクモク吐いても、それが2ストロークの“当たり前”ってことで冬の2ストのモーニングルーティンを、オジサンが伝授しよう!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
2ストローク初心者に知っておいて欲しいこと
日本国内では製造中止から18年経った、2ストロークエンジンのオートバイ。未だに人気が衰えないどころか、半ば伝説化していて、若いライダーの注目も集めているとか。2ストローク全盛期を生きた、昭和生まれのおじさんライダーとしてはとっても嬉しいんだけど、ここでひとつ注意点が。
冬の2ストロークは4サイクルと違って、暖気からちょっと面倒なんだ…。2ストロークの暖気は4サイクルとは違う。ましてや、インジェクションで甘やかされている、現代のハイテク4ストロークエンジンと比べるまでもなく、一癖も二癖もあるもんなんスよ。いや、マジで。
2ストロークエンジンの「モーニングルーティン」
エンジンの始動からグズる2ストローク。2ストロークエンジンは、エンジンの始動からもうめんどくさい。チョークを引こうが何にしようが、一発動なんてほとんどないと言ってもいい。これは断言できる。
まずはキーをオフ(またはキルスイッチオフ)にして、チョークを引いて、空キックを2~3回(バイクによって癖がある)。
そしてキーをオン(またはキルスイッチRUN)にしてキックするのだけど、ここで間違ってもアクセルは開けちゃだめ。閉じたままキックを踏み下ろす。
エンジンが目覚めなければキックを連発(2ストのキックは軽いからめちゃくちゃ連発できるのよ)。初動がこなければ、最初の空キックに戻るのもひとつの手。
これを3回繰り返して始動しなけりゃ、スパークプラグがカブりかけてる可能性があるので、アクセルを全開にして鬼キックをかまそう。これで溜まってる生ガスが、いい塩梅になればエンジンがかかることがあるけども、失敗するとスパークプラグが完全にカブってしまう。
もしそうなってしまったら、スパークプラグを外してガソリンを飛ばさなくちゃならない(筆者はこれで学校に遅刻したことがあるぜ)。
暖機運転も長いぞ2ストローク
エンジンかかっても目を(手を)離せないのが2ストロークエンジン。アクセル全閉からパーシャルの中間、ちょうどスロットルの遊びがなくなったあたりでホールドしてエンジンの回転数を維持するんだ。
チョークは引いたままエンジンを止めずにアイドリングさせる。この時が一番気難しくて、アクセルを開けすぎても戻しすぎてもすぐに止まるから要注意なんだ。
チョークを引いたままで15秒、排気音が湿っぽさを増したら(音が重くなったら)チョークを戻して、アクセルは微量オープンをキープしよう。そこから15秒ぐらいホールドしたら、少しづつ(ほんの少しづつ)回転数を上げていく。
ちなみに、この時めっちゃ煙出るけど、これは壊れてるんじゃなくてオイルが入ってる証拠だからなにひとつ心配いらない。煙が出てるぐらいが安心できるのが2ストロークってもんよ。さて、我慢はここまで。
始動から1分もたつと、いきなり回転が軽くなってくる。煙も少なくなって、さっきまでの愚図っていたのがウソのように、スロットルに反応してエンジン回転数が吹けあがるようになっているハズだ。
これで暖機運転の前半が終了! ここで走り出して、エンジンの様子をみながら少しづつ回転を上げていく。そうして水温があがってくると、エンジンパワーがみるみるうちに調子を上げて本来のパワーを取り戻してくるはずだ。水温が上がりきって煙が少なくなってきたら、2ストロークの本領発揮だ。
さっきまでのグズつきがウソのように、アクセル開度よりもエンジン回転数のほうが、先走るかのように「パインッ パインッ」と咆哮を上げるエンジン。パワーバンドに入った途端にじゃじゃ馬ピーキー特性がやってくるというスンポーだ。あとは満足いくまでエンジンをぶん回せばいい。
ちなみに、2ストロークエンジンの爽快さは排気量関係ないので、小排気量の原付二種スポーツのほうが、むしろ思いっきり楽しめるから筆者的にはお勧めだ。
みんな、2ストロークはいいぞぅ
エンジン絶好調でもコレなのが、2ストロークの面倒なところで2ストロークのかわいいところでもあるのですよ。4ストロークに比べたら、灯油のポンプなみにシンプルな構造の2ストなので、逆にしっかり暖機運転することが大切。
こうして語ってみると、なんとも面倒くさいようにも感じるけども、だけど筆者は2ストロークが大好き。
学生時代のDT50に始まり、DT200(37F)、ウルフ125、RZ250、RZ350、DT125、DT200(3ET)、TZR250(1KT)、SDR200、RZ50、NSR80、NSR50、NSR250R、KDX125R、TS125、TS50…ええっと、ほかに何かあったかな。スズキのスクーターのZZ、そしてRGガンマ400とかもあった。そしてまたDT50に戻ってきている筆者のバイク遍歴。
なんかやたら2ストロークバイクに乗ったり、関わったりしてきましたが、どれもこれも似たようなものだったので、それが2ストロークエンジンというものなのでしょう。きっと。
始動性が悪いからだとか、最初に煙がでるからとかで嫌いにならないでほしい。まるっと愛してやってください。以上、オジサンライダーからのお願いでした。
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
1位:ホンダ新「ゴリラ125」登場【海外】 モンキー125をベースにした「ゴリラ125」が、タイでプロトタイプとして登場。鉄製12L(リットル)のビッグタンクに鋲打ちシートは、まさに往年のゴリラそのも[…]
『あいつとララバイ』が描いた青春とバイクの魅力 楠みちはる氏が『週刊少年マガジン』で1981年から1989年まで連載した『あいつとララバイ』は、日本のバイク漫画の金字塔といえる作品だ。横浜を舞台に、高[…]
ファクトリーマシンで参戦するということ 加賀山就臣さんが率いる「DUCATI Team KAGAYAMA」は、2024年の発足以来のピンチに陥った。全日本ロードレース第2戦SUGOの練習走行で転倒から[…]
海外超速報(動画付き) ついに本気のネオクラ来た! スズキGSX-8T/TT 1960年代の俊足ネイキッド「T500」(GT500の先祖)を現代的にオマージュした、スズキ渾身のネオクラシックが、海外で[…]
「53年の歴史」と今後のヤングマシンについて語りつくす! 1999年にスタートし、著名人やセレブをゲストにカー&オートバイライフをトークするFMラジオ、「FMドライバーズミーティング」。 そんな歴史あ[…]
人気記事ランキング(全体)
4つの冷却プレート&ペルチェ素子で最強の冷却力を実現 「ペルチェベスト」は、業界最先端の半導体冷却技術を採用し、前後4か所に冷却プレートを搭載した新発想の冷却ウェアです。小型冷蔵庫にも使われるペルチェ[…]
スーパーフォアをベースにシリンダー前傾角を変更、フレームも新設計した4本マフラーのトラディショナル感性! 1997年、ホンダは4本マフラーのCB400FOURをリリース。 すでに1992年からCB40[…]
350ccクラスの破壊者! 現地価格はハンター350やGB350よりも安い BSAモーターサイクルズが新型モデル2機種を発表した。ロンドン開催の国際発表会で公開されたのは、ティーザー展開されていた「バ[…]
RCBテクノロジーを継承し誕生したCB900F CB750FOURの登場から10年ライバル車の追撃から復権するためホンダが選択したのは耐久レース常勝のワークスマシンRCB1000の心臓を持ち既存のバイ[…]
CoolMax素材で快適な着用感を実現 「コミネ クールマックスRフルフェイスインナーマスク AK-090」は、暑い季節や激しい運動時でも皮膚の温度を33.3度に近づけてくれる快適吸汗/即乾素材「Co[…]
最新の投稿記事(全体)
1位:ホンダ新「ゴリラ125」登場【海外】 モンキー125をベースにした「ゴリラ125」が、タイでプロトタイプとして登場。鉄製12L(リットル)のビッグタンクに鋲打ちシートは、まさに往年のゴリラそのも[…]
ホンダCB1000F SE コンセプトの姿はこれだ! 7月11日、ホンダは鈴鹿8耐会場内のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプトを世界初披露すると突如宣言した。 同リリースでは真横からのシ[…]
『あいつとララバイ』が描いた青春とバイクの魅力 楠みちはる氏が『週刊少年マガジン』で1981年から1989年まで連載した『あいつとララバイ』は、日本のバイク漫画の金字塔といえる作品だ。横浜を舞台に、高[…]
バイク エンジン かからない原因を症状別に解説 さあ、ツーリングに出かけよう! 荷物をシートにくくりつけ、ヘルメットとグローブを装着してキーをシリンダーに差し、セルスイッチをプッシュ……え、エンジンが[…]
WMTCモード燃費×タンク容量から航続距離を算出してランキング化 この記事では、国内4代バイクメーカーが公表しているWMTCモード燃費と燃料タンク容量から算出した1給油あたりの航続可能距離を元に、12[…]
- 1
- 2