●文:ヤングマシン編集部(田中淳麿)
表記揺れにより異なる検索結果=ビッグデータとして不十分な状態
バイク本来の利便性を大きく損なう要因となっている「駐車場が足りない/欲しいところにない」という問題。本連載でも、2輪車関連団体/自治体/民間事業者による取り組みなど様々に紹介してきたが、今回は視点を変えて、ビッグデータとDX(デジタルトランスフォーメーション)推進について提言したい。ユーザーに身近な事例として、グーグルマップの検索結果を取り上げる。
少し前置きを。2輪業界は、ロードマップ2030(※)にもあるように「社会との共生実現」を課題のひとつとして捉え、駐車違反件数の半減、2025年の駐車場目標数の達成といったゴールイメージを共有し、施策を進めている。
※二輪車産業政策ロードマップ2030:バイク産業活性化のためバイクラブフォーラム参加メンバーにより策定されたもので、環境変化に応じた4つの政策課題と11項目の実施施策を設定し、2030年までに達成することを目標に取り組んでいる。
しかし、ユーザーがそうした施策をどう実感できているのかという点については、あまり話題にならない。「ユーザーの声が聞こえてこない」という点は、本連載でも指摘してきたように、自治体担当者や駐車場事業者の関心の低さに直結していると考える。ニーズのないものにかまっている暇はなく、行政は駅前や繁華街での放置自転車の対応に、駐車場事業者は4輪駐車場をいかに効率よく運用/活用するかに注力している。
下図を見てほしい。筆者もほぼ毎日使っているアプリ・グーグルマップでバイク駐車場について検索した結果だ。検索ワードのささいな違い(表記揺れ)により、こんなにも検索結果が違ってくる。
とくに一般的な表記だと思われる「オートバイ駐車場」で検索した場合、月極駐車場の1件しか出てこなかった。これは、移動の際にルート検索/ナビ機能でもっとも使われているだろうグーグルマップにおいて、バイクの駐車場が分類されていない=ビッグデータとして扱うには不十分な状態であることを示している。
近年、バイクもコネクテッド化が進んでいるが、スマホを介したデータ連携が主で、バイク自体が高度にIoT化したわけではない。グーグルマップでは、地図に載っていないスポットを自身で手動登録/公開することもできるが、いずれはDX化の流れの中で、AIを活用しながら半自動化して掲載物件の情報/分類精度も高められていくだろう。
ユーザーが日常的に使うアプリ等でバイクの情報がしっかり取り扱われることも、社会と共生するためには重要なファクターとなるはずだ。こうしたアプリやツールから駐車環境を改善していくことも必要ではないだろうか。
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