【復刻記事】幻の名車紹介#11

【幻名車】ホンダCORSA ROSSA 25V……のちのVT250スパーダの巻

特徴的なフレームもイタリア由来だった

VT250スパーダを語る上で欠かせないのは、やはり「CASTEC(キャステック)」フレーム。世界初のアルミ鋳造中空一体構造の二輪車用フルキャストフレームでデザイン上では最大のキーポイントとなった。この技術のルーツは、1988年2月にイタリアで発売されたNSR125Fのアルミダイキャストフレームで、左右分割タイプだったものを一体化。生産性を向上させるだけでなく、ツインチューブフレームよりもデザイン性を高めることができるもので、スポーツ性とファッションを両立させたいスパーダの目玉と言える技術だ。

クレイモデルでデザインに溶け込むキャステックフレーム。軽量、高剛性という機能面でもメリットがあり「さりげなく良いバイク」を実現するためのキモとなる技術でもある。

当時、浜松製作所におけるアルミフレームの生産も開始から約5年が経過しており、大型化するピボットプレートの生産を中心に、中空薄肉鋳造技術のノウハウが蓄積されるようになっていた。そこで、他社の追随を許さない魅力を発揮する中空薄肉キャストフレームの検討が始まったという。

【HONDA NSR125F 国内仕様 1989年6月発売】イタリアで生産され、現地では1988年2月発売されたNSR125Fは、フルカウルモデルをネイキッドにするスタイルが現地で流行っていたことから、デザインの自由度が高いキャストフレームを開発して魅せるフレームデザインとしたモデル。日本にも1000台が輸入された。

【復刻インプレ】VT250スパーダ vs CBR250R【1989年1月号】

両車ともに、非常にニュートラルな乗り味で峠道を楽しめるが、本気で攻める気なら低中速コーナーはスパーダがラクで、高速コーナーではCBRがいい。クネクネと曲がりくねったつづら折りなどでは、スパーダのそのシャープなハンドリングは絶対的な強みであり、クイックな切りかえしで他を圧倒する。とにかく面白いように、スパッスパッと曲がってくれるのだ。峠での有効パワーバンドも6000~1万2000rpmとワイドで、下からのトルクが効いているため、ゼロ発進からのスタートダッシュは直4エンジンを上回る実力を発揮する。またミッションの守備範囲も広く、扱いやすいパワー特性と相まって、CBRよりも一段高いギヤで走り抜けることも可能だ。タイトコーナーのスペシャリストとしての実力は、本当に大したものだ!!

CBRはどうか? パワーバンドは1万4000~1万8000rpm。気を抜いて回転を落とすと、すぐにスパーダに先行されてしまうから、常に高回転をキープしておきたい。それもとびっきり速く走るなら、1万6000rpmから上の2000回転をホールドすべし。かなりのテクが必要だが、これさえマスターすればタイトコーナーでもスパーダを十分押さえることができる。要はパワーを維持できるかどうかなのだ。

高速コーナーの安定感はCBRが一枚上手だ。コーナー入り口からフロントのおさまりも良く、ベターッとラインをトレースしながらリヤにトラクションをかけてやれば、グイグイと回り込んでくれる。そういった走りでこそ、Rサスも一番動きの良いところが使えるようで、タイヤとのマッチングがベストだ。逆に、スパーダは100km/hを超える高速コーナーでは、速度に対してサスが柔らかすぎるのに加え、タイヤが太すぎるため、路面のギャップをもろに拾い、タイヤが細かくはね、フワつく。

脱レプリカを狙ったVT250スパーダではあるが、やはりヤングマシンではレプリカモデルとガチ対決。ここではワインディング対決だけを抜粋した。

ライダーは大島正さん(故人)と丸山浩さん。短命に終わったスパーダだったが、現在ではそのポテンシャルの高さからもて耐レーサーとして活躍する姿も見られる。

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※本稿は2019年4月21日公開記事を再編集したものです。 ※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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