旅するライダーをサポートしたいという想いで2014年から毎年少しずつ数を増やしつつある「【ランドマーク認定部会】オートバイ神社(以下、オートバイ神社)」。オートバイ神社は宗教的な神社ではありませんが、現在では西日本を中心に九州まで16か所あり、ツーリングの目的地や、ライダーの聖地として人気のスポットとなっています。
そこで今回は、ツーリング拠点としての地域活性化を目的にオートバイ神社の認定・普及を行う一般社団法人 日本二輪車文化協会 代表理事会長の吉田さんに、お話を伺いました。
●記事提供:MOTO INFO(初出2022年4月28日)
オートバイ神社が世に認知される前は一部地元住民の反対も…
オートバイ神社の第一号としてランドマーク認定部会より認定されたのは、2014年10月7日に設立された島根県浜田市にある金城(かなぎ)オートバイ神社です。金城神社設立のための構想はさらに遡ること2012年頃から、地域活性化への貢献を目的に地域のランドマークとして考えられていたとのこと。
しかし、一部マナーの悪いライダーによる騒音問題や無謀な運転による事故などの懸念を抱く方もおり、浜田市の場合においても当初は地元市議会の反対にあったそうです。
元来、神社とは祭礼など地域住民のコミュニケーションの場でありつつ、だれでも気軽に立ち寄って祈祷できる場所です。そのためオートバイ神社第一号の金城神社としても、全国のライダーが気軽に立ち寄り交通安全祈願ができることはもちろん、心身ともに休息できるツーリングスポットとすべく、時間をかけて地域住民の理解を深め開設に至りました。
地域活性化への貢献とともに住民からも愛される場に
金城オートバイ神社から近距離にある高速道路ETC専用スマートICは、新設当時なかなか利用者数が増えず悩んでいたとのこと。しかし、金城オートバイ神社ができたことによって利用者が格段に増え、地域への貢献が目に見える形となりました。
また、香川県にある讃岐輪楽(わらく)オートバイ神社の開設時には、地元の白バイ隊員による出陣式が行われたことにより、地域住民からも支持されるスポットとなっています。
各オートバイ神社、それぞれのおもてなし
全国にある各オートバイ神社では、カフェなどの休憩場所や清潔な洗面所、ヘルメット置き場など、快適性の向上として衛生面への配慮も欠くことなく、場所によっては近隣宿泊施設と提携するなど、訪れるライダーにより良い環境を提供するための努力が続けられています。
例えば、広島県にある長笹楽山(ながささらくさん)オートバイ神社には、綺麗でリーズナブルな宿泊場所があるほか、美味しいコーヒーが飲める古民家カフェが訪れたライダーを癒してくれるなど、各オートバイ神社でそれぞれ異なる魅力があります。
また、各オートバイ神社には通常タイプの御守りだけではなくカードタイプの御守りも用意されています。もちろんお祓いも受け付けており、新しくバイクを購入した方だけではなく、ときにはライディングジャケットを新調した方なども訪れるそう。
なお、オートバイ神社の新設は、現時点で既に6~7件が申請待ちの状態とのことで、今後も全国に広がる様相を見せています。
ライダーにとってツーリングの目的地として安全運転祈願ができるスポットが増えるのは喜ばしいことですし、現在バイクに乗っていない方でも家族・友人・知人にライダーがいらっしゃるのであれば、その方のために参拝されるのも良いのではないでしょうか。
吉田会長によると、今年の秋には“全国オートバイ神社祭り”の開催を計画しており、御朱印帳で各オートバイ神社の御朱印を集めるスタンプラリーのような企画を含め、準備を進めているとのこと。現在バイクに乗っている方だけではなく、これからバイクに乗る方にとっても今から待ち遠しいお祭りですね。
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