オフロードマシン ゴー・ライドから初登場! アドベンチャーバイクを扱うポイント指南

第2回『チビテク アドベンチャーマシン』内山裕太郎が身長165cmのテクニックを伝授 #ゴー・ライド

小柄な体格ながら、オフロードマシンを自在にコントロール。数々のエンデューロで活躍してきたユータロー先生こと内山裕太郎選手。そのライテク講座「チビテク」がゴー・ライドに登場! 今回は最近人気のスズキVストローム650XT ABSをモデルバイクに、アドベンチャーマシンライテクを紹介! プライベートでビッグオフを楽しんでいるユータロー先生のテクニックを伝授する第2回!

内山裕太郎の身長165cmライテク『チビテク』ライディングポジション編

オフロードバイク総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』(偶数月6日発売)から人気のテクニックコーナーをお届けする。プロライダー内山裕太郎先生のアドベンチャーマシンにかんするちょっとしたポイント&テクニックを指南だ。前回は基本となる林道などでの取り回しのコツを解説したが、今回はポジショニングのコツや、多くのアドベンチャーモデルが採用している電子制御システムのコツなどを説明する。アドベンチャーモデルならではの内容は貴重なので、ぜひチェックしておこう。

内山裕太郎 中学時代はマウンテンバイク、高校で二輪免許取得後はトレールマシンで林道ツーリングを楽しんでいた。その後、エンデューロに参戦し、各地のレースで優勝。日本代表としてISDEに5回参戦している。身長165cm。

ADV POINT  基本ポジションはシッティング! ポジションの自由度はこれだけ違う!

アドベンチャーマシンと250トレールでスタンディングし、そこから前後方向にボディアクションしてみた。250トレールは大きくボディアクションできるのに対し、アドベンチャーマシンはそれほど体を動かせない。これは車体の幅、大きさなどが影響している。長距離走行や高速巡航を重視したアドベンチャーマシンは、燃料タンクが大きくなり、ウインドシールドやカウルといった整流・防風効果を高めるパーツが車体に装備される。ボディアクションすると、こうしたパーツと体が干渉することもあるので、ライディングポジションの自由度が少なくなっているのだ。

だからシッティングでバランスをとる!

では、ボディアクションでのバランス修正がしにくいアドベンチャーマシンで振られたらどうするか? 無理にスタンディングせずに、シッティングのままでOKなのだ。車体が振られたら、すぐに足を地面に着いて、車体が大きく傾かないようにする。だからアドベンチャーマシンに乗る時は、足をすぐに着きやすいシッティングでいいのだ。

正しいシッティングポジションは、【写真上】ップの上に立ってから、少し上体を曲げて両手でグリップを握る。【写真下】その状態からシートに座る。車体のセンターに乗る意識を持とう。
タンクの幅が広いので、膝とタンクが干渉し、体を前方に動かせなくなることも……。ただ、航続距離は伸びるので、一概にビッグタンクが悪いわけではない。マシンコンセプトの違いで乗りかたも変わると覚えておこう。

ADV POINT 腕の力を抜いて下半身でホールド! 上半身はリラックス

車体が大きく、重いので、腕に力を入れてハンドルを抑え込もうとしてしまいがち。でも、力を入れることで細かなハンドル操作がしにくくなり、ハンドルでのバランス修正もできなくなる。ヒジは上げすぎず、下げすぎず、両手で軽くグリップを握るようにする。×のようにヒジを下げすぎると、ハンドルを切るとヒジが体に当たりやすくなる。ハンドル切れ角を減らす原因となり、バランス修正もしにくくなる。

下半身でホールド!

シッティングで上半身を動かしやすくするために、腕に力を入れずにリラックスしたポジションをとっている。ただしそれだけだと、加速時に体は後ろへ、ブレーキング時には体は前へ行ってしまう。それを防ぎ、マシンの中心で乗り続けるために、下半身でマシンをしっかりホールドしてやる。アドベンチャーマシンは車重が重めなので、ニーグリップというより、ヒザから下の足を使って車体を挟み込むようにグリップする。ずっとホールドしていると疲れてしまうので、高速道路で横風にあおられた時や林道の荒れた路面で振られそうになった時に力を入れて、マシンホールドすればOK。

お尻をズラして足を着く

足を着きやすいシッティングでも、ドカっと座ったままの状態から足を着こうとすると×のように車体が傾きすぎてしまう。これでは足を着いても車体を支え切れなくなってしまう。足を着く前に、足を着く側にお尻をズラしておくのが、車体を真っすぐにキープできるポイントだ。「足を着く前にお尻をズラす」を覚えておこう。

ADV POINT 電子制御デバイスに頼る!

Vストローム650XT ABSはオフを含めて3段階で介入レベルを選択できるトラクションコントロールシステムを装備している。リヤタイヤのホイールスピンを検出すると、速やかにエンジン出力を低減し、リヤタイヤのグリップ回復をサポートしてくれる。「Vストローム650XTはダート路面ではパワーがありすぎるので、トラクションコントロールオフだとマシンコントロールが難しくなります。ダートで介入レベルを「2」にすると、すぐにエンジンが吹けなくなりますが、介入レベル「1」はリヤタイヤが少しすべりつつ、路面をグリップしているので違和感がありません。アクセルをラフに操作してもテールスライドしにくくなるので、ダートでの安心感はかなり高いです。舗装路でもマンホールのふたを踏んだ時は思いがけなくすべったりするので、ツーリング中はトラクションコントロールをONにしたほうが疲労度軽減にもなると思います。トラクションコントロールOFFだと、上の写真のようにリヤタイヤは左右に大きく振られています。これに対応するのは難しいですよ。最近のアドベンチャーマシンは電子制御が緻密になっているので、頼ったほうがいいと思います」とユータロー先生はいう。

トラクションコントロールON

トラクションコントロールOFF 上下を比較してみよう。

Ⅴストローム650XTは3段階に設定可能

左側グリップにあるスイッチで、トラクションコントロールの介入レベルを選択できる。OFFはまったく介入しない、1は介入レベルが低く、スポーツライディング向け。2は介入レベルが高く、濡れた路面や冬期の冷えた路面向き。上のONは2だ。

今回のモデルバイク スズキV-Strom650XT ABS  価格:88万円(税抜き) www.suzuki.co.jp
現在のアドベンチャーマシン人気の火付け役として、ヨーロッパで高く評価されているVストローム650。XTはスポークホイール仕様のことで、石畳やフラットダートでの衝撃吸収性が高められているのが特徴。「ロードではパワフルで走りも軽快。ダートでもトラクション性がよく、思った以上に走りますよ。エンジンが扱いやすく、リッターアドベンチャーマシンより軽いので、フラットな林道走行ならいけます。バランスのよさが魅力ですね」とユータロー先生も高評価だ。

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