日本でも火が点きはじめている原付二種クラスのスポーツバイク人気。アジアや欧州では免許制度の関係からもともと活気のあるクラスだが、今回はヨーロッパで発表となったMT-125に注目したい。
ダークサイドへ飛び込め!
欧州におけるヤマハMTシリーズは、“ダークサイド・オブ・ジャパン”と銘打って、乗りやすく高性能な日本車というイメージを打ち破り、アグレッシブなデザインと少々クセのある走りで新たなファン層を開拓した。先鋒となったのは2014年発表のMT-09だったが、その後はMT-07、MT-10、MT-25/03と展開され、さらには日本にはないラインナップもMT-125も登場。ハイパーネイキッド軍団をつくり上げた。さらにアジア圏では155ccエンジンを搭載したMT-15もある。
同時に、ネオクラシックのXSRシリーズや、クロスオーバーのトレーサーシリーズなども兄弟車として生み出されていく。クラスによってはYZF-Rシリーズと車体を共有することもあり、現在のヤマハ製スポーツバイクの中核を担っているのがMTシリーズと言ってもいいだろう。つい先日登場したMT-03(欧州&北米)は、3眼の新たなMTフェイスをまとい、MT-25を含む日本仕様の登場も期待されている。
そして今回発表されたのが新型MT-125だ。欧州ではもともと入門用バイクとして販売されていたが、今回のモデルチェンジではグッとシャープなスタイリングになった。車体や外装についてはインドやタイで先行発売されたMT-15と多くを共有しているようで、車体寸法や燃料タンク容量なども似通っている。さらに、MT-15の155cc単気筒と同様のVVA(Variable Valve Action=バリアブル・バルブ・アクション=可変バルブ機構)を新たに搭載するのもトピックだろう。一連の“ダークサイドキャンペーン”の入門車両として、さらなるファン層の開拓を目指す。
YAMAHA MT-125[2020]主要諸元■全長1960 全幅800 全高1065 軸距1325 シート高810(各mm) 車重140kg■水冷4ストローク単気筒 SOHC4バルブ 124.7cc 15ps/9000rpm 1.16kg-m/8000rpm 変速機6段 燃料タンク容量10L■キャスター26°/トレール95mm ブレーキF=φ292mmディスク+4ポットキャリパー R=φ220mmディスク+タイヤサイズF=100/80-17 R=140/70-17 ●価格:未発表 ※諸元等はすべて欧州仕様
VVA搭載の124.7cc 水冷4ストローク単気筒
新型MT-125は、エンジンもオールニュー。125ccクラスとしてはライバル勢に大きなアドバンテージとなる可変バルブ機構・VVAを搭載している。これは低中速では豊かなトルクを出しつつ排ガスもクリーンに、そして7400rpmを境にソレノイドによってハイカムに切り替え、リフト量とカムタイミングを変化させてトップエンドパワーを引き出すというものだ。じつは2019年型YZF-R125ですでに採用されていたものでもあり、兄弟車のMT-125がモデルチェンジのタイミングでこれを搭載するのは必然だった。
また、アシスト&スリッパークラッチを新たに採用。小排気量とはいえクラッチレバーは軽いほうがよく、また極端な状況でもリヤがロックしにくくなるのは歓迎だろう。
倒立フォークにラジアルマウントキャリパーも装備
足まわりは、正立フォークのインド仕様MT-15だけでなく、倒立フォークを装備するタイ仕様のMT-15に対してもさらに豪華に仕上がっている。パッと見でわかるのはフロントブレーキディスクの左右が違うことだが、よく見るとタイ仕様MT-15は片押し2ポットキャリパーなのに対し、欧州仕様MT-125はラジアルマウントの4ポットキャリパー。さらに、MT-15は倒立フォークをクランプするアンダーブラケットの締結ボルトが1本なのに対し、欧州MT-125は2本になっていて、明らかに締結剛性は高そうだ。スチール製デルタボックスフレームも新設計になっており、これにアルミ製スイングアームとリンク式リヤサスペンションを組み合わせ、リヤタイヤはワンサイズアップの140mm幅とした。
ここまで書いておいてナンだが、日本での発売は望み薄。まずは新型MT-25/03の日本仕様登場(東京モーターショーでは出展なしとの情報)を心待ちにしたい。
参考:MT15(タイ仕様)/MT-125(欧州仕様2018年モデル)
その他の新型MT-125ディテール
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