前評判以上に好評だった!?「オフロードマシン!!GoRIDE(ゴー・ライド)」の『令和の世に放つ 愛と青春のオフロードマシン』。無事に続きが掲載されることになり、読者に温かく迎えられている(3回目は最新号に掲載中)ようだ。このコーナーは、バイクが熱かった時代にラインナップされた懐かしのオフ車を振り返っていく、ちょっと箸休め的なもの。しかし、読者の思い出補正がバッチリはまり、楽しみにしてくれている方も多いという(きっと)。みなさんの青春時代に振り返って楽しんでいただこう。
文:濱矢文夫
シリーズ2「 アドベンチャーと呼ぶのはなぜだ!?」「坊やだからさ」by ムッシュ濱矢
第1回目は好評だったのか、それとも不評だったのか。それとも誰も見向きもせずにスルーしたのか。気になる。そんな流浪のカタログページは第2回目にして、オフロードっぽいけどちょっとオフロードマシンじゃないものを集めてみた。オフロード専門誌的なストライクを取りにいかないで、明らかなボール球でお茶を濁す。でも筆者が面白いと思ったからやる(異論は受け付けない)。これじゃあ3回目はないかも。どうなる。「胴は鳴らないが、耳鳴りがします」とパタ○ロのセリフにあった気がする。
昔はオタク、今はオシャレ
暑い季節がやってきた。この時期は林道に行ってもヒルが出るし、汗をかいたウエアやヘルメットの中が納豆臭くなってたまらない。不快指数も高いから、ちょっと押しが入ると気が遠くなって、小さい頃に天国へ旅立ったはずのおばあちゃんと出会えそうになる。さらに夏は股間がかゆくなってデリケアエムズを塗らなければならない。そんな時は、気持ちを切り替えて、無理して土の上ばっかり走らず、さわやかに旅にでよう! 静岡県にげんこつハンバーグを食べにいくのではないぞ。ということで、今回は「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね?」的なデュアルパーパスツアラーをピックアップ。
今ではアドベンチャーなるカテゴリーとしてシャレオツな感じを確立しているけれど、その昔は好き者が汗だくでウヒウヒいいながら乗る(イメージ)、知る人ぞ知るマニアックな乗り物だった。オフロード車でも、「カメ!」と叫びながらワインディングを攻めるオンロードスポーツでもないという面白さ。今は流行だからいろいろな排気量にアドベンチャーモデルがあるけれど、光が当たっていないだけで昔も同じようなのはあったのである。軽くて、細くて扱いやすく、燃費がよく、奥の細道だろうが、手前の太道だろうが、海の中道だろうが突き進める道を選ばない仕様。アップライトなポジションは見晴らしがよく、疲れにくい。お尻がちょっと痛くなるのがたまにキズだけど、旅にはもってこいのバイク。命短し、旅せよ好事家ライダーたち!
Yamaha TDR250 この当時のヤマハはキレッキレだった
一時はレーサーレプリカ最強といわれたTZR250(1KT)の2スト2気筒エンジンを積んだデュアルパーパスを作って発売するなんて、どこかで悪いものを拾って食ったとしか思えない(褒めている)。それも最高出力は当時の自主規制いっぱいの45PSのまま。流行の異世界召喚物語風にたとえれば、レーサーレプリカからオフロード国に転生してチートなエンジンパワーで俺最強じゃね、って感じ。まあ、これでダートを本格的に走った人はかなりの変態だけど(褒めている)。「おもしろそう」と思いつくまでは理解できる。でも、そこから「作っちゃった(テヘペロ)」って、普通はならないから。
Honda AX-1 どっちつかずじゃなくなんでもできる、だ。
オフロード好きには、キャストのフロント19インチホイールだから、これはオンロードバイクといわれ、オンロード好きには単気筒エンジンの下にガードもあるし、シートなど見た目からオフロードバイクといわれた。そんなにっちもさっちもどうにもブルドッグなAX-1。モジャ胸毛とおっぱいが共存するあしゅら男爵のように、どっちつかず。駄菓子菓子、だがしかし、軽くて見晴らしがよく、街で乗りやすくて、ちょっとしたダートも乗れて、便利に使えるヤツなのである。その昔、バイク便御用達だったのは理由がある。海外ではワイヤースポークホイールのNX250ドミネーターとして活躍。
Kawasaki KLE250アネーロ 今よりもっとアドベンチャー
この落ち着いたカラーグラフィックの他に、桃色、水色、紫、橙、白といった、極楽鳥のような、若い頃着ていたものをタンスの奥から出してきて、ナフタリンの香りを振りまきながら滑っているスキーウエアのようなカラーもあった。鳩サブレーといわれるGPZ250Rから始まり、GPX250R、ZZR250と受け継がれた直列2気筒エンジンを搭載。そうヴェルシス-X250の直系のご先祖様。それもフロント19インチホイールなんて大人の判断をしないで、ど~んと21インチ。2気筒でも走破性にこだわる心意気に胸を打たれる吉宗であった(暴れん坊将軍)。大きなスクリーンにすれば現役にも負けないアドベンチャー。
Yamaha XT400アルテシア ミネバ・ラオ・ザビからドズルの血を感じられない
ファーストガンダム世代としては、どうしてもアルテシアではなくアルテイシア・ソム・ダイクンといいたくなる。「フランス北部・アルトア地方の人々」というネーミングだとヤマハは説明しているから、公式的にはまったくガンダムとは関係ないと。だが、「それでも男ですか! 軟弱者!」といわれながら荒野を走りたいトレール車。1980年代のXT400シリーズからするといきなりモダンになった感じ。しかし、このセイラさんは、当時もほとんど見かけなかったレアモデル。顔はガンダムというより勇者ライディーンを彷彿とさせる。空冷単気筒エンジンは、SRX400としてベストセラーになった。
Kawasaki KLR650 こっちを向くフロントマスク
フロントフェアリングがシュラウドや燃料タンク部分と一体になったように見えて、フロントマスクだけがハンドルマウント。だからハンドルを切ると顔が切った方向に向く。カワサキはAR125Sでもこんな振り向いたカオナシのような首が曲がって見えるカウル形状を採用していた。潔くフレームマウントの一体カウルにすればよかったのに、と思いながら過去に見たことが……。それは、水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載した、これをベースにフレームマウントのカウルに変更してアドベンチャーらしくしたのが“TENGAI”だ。TENGAじゃない。一文字足りないだけで大きな違い。
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