第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

海外ブランドも参入し、注目度が高まる

2019新車走評:400ccスポーツ編[カテゴリー別“試乗インプレッション”大図鑑 #13]

  • 2019/9/18

ニンジャ400とCBR400R、YZF-R3、それにRC390のフルカウルスポーツ対決。Z400とCB400SF、MT-03、それにスクランブラーSixty2、ヴィットピレン&スヴァルトピレン401らネイキッド。昭和の生き証人SR400や、アドベンチャーでは400XやG310GSもいる。普通二輪免許で乗れる最大クラスは個性派が粒ぞろいだ。

ニンジャ400を筆頭に個性的なマシンが集う

ニンジャ400のヒットで、まだまだ潜在需要は掘り起こせることが証明された400スポーツクラス。2019年はホンダがCBR400Rをレーシーな「RR」顔でモデルチェンジしたのが一番の話題だ。ニンジャ400を擁するカワサキは、プラットフォームを共通とするネイキッド版のZ400を投入し、ラインナップの充実を図る。

話題と言えばヤマハが新型YZF-R3をR25同様に発表。それに排ガス規制対応で1年休止していた名車SR400を復活させた。こちらは新しさよりも「変わらないこと」が求められていた稀有な存在。そんなニーズに見事に応え、エンジン、車体ともほぼ規制前と変わらぬ姿で再登場を果たした。

外国車勢も、ドゥカティ・スクランブラーの400版やKTM・RC390、ハスクバーナの異色の2台など、普通免許で乗れるマシンを、エントリーユーザーを獲得するために忘れない。それぞれ個性的なキャラを持つマシンが集うこのクラス、あなたの好みは?

KAWASAKI Ninja 400/KRT Edition[400復権の起爆剤]こういうのを待ってた!

KAWASAKI Ninja 400 KRT Edition

KAWASAKI Ninja 400/KRT Edition■水冷4ストローク並列2気筒 DOHC4バルブ 398cc 48ps/10000rpm 3.9kg-m/8000rpm 167kg 14L■シート高785mm ※写真はKRT Edition ●[STD]71万6040円 [KRT]71万640円

車体は250とほぼ共通で車重はわずか+1kg。これに45psの399ccツインを搭載しているおかげで、走りは下から上まで全域でトルクフル。レスポンスも力強い。レッドゾーンは250より低い1万2000rpm以降となるが、伸び切り感はキッチリあって速さは圧巻だ。高速道路では排気量ゆえの余裕さで250より楽に巡航できる。ハンドリングの面では250クラスの軽さそのままで旋回速度が速い。バイアスタイヤの250も頑張って走るが、ラジアルの400ではグリップや安定感などコーナリング性能がさらに上手。ややゴツゴツ感のある250より乗り心地も上質になっている。今どきの400としては珍しくトガっていて往年の400レプリカを彷彿とさせるが、中低速トルクはツインのこちらが断然上だ。

HONDA CBR400R[実際はマルチな優等生]過激なRRスタイル

HONDA CBR400R

HONDA CBR400R■水冷4ストローク並列2気筒 DOHC4バルブ 399cc 46ps/9000rpm 3.9kg-m/7500rpm 192kg 17L■シート高785mm ●79万3800円

“RR”と見紛うスタイルに過激な走りを期待するが、こいつは“R”。絶対的な速さを追求するRRは用途が限られてきてしまうが、Rは街乗りから峠、そして旅と非常に汎用性の高いところを狙っている。そのためゆったり走る感じの車体で、ワインディングはトルクを使って楽しむタイプ。ギャンギャンいわすバイクじゃない。パラレルツインの優しさがあり、2000~4000rpmくらいの間はスロットルだけで街中を走り抜けてくれる。効かせすぎないダンパーも乗り心地や疲労軽減を重視した感じだ。ポジションも少々前傾する程度でバックステップではないから、ツーリングで使いやすい。スポーツバイクらしさの片鱗を感じつつ、マルチに使える間口の広さ。まさしく400に求められるキャラクターだ。

YAMAHA YZF-R3[違いがハッキリ!]弟よりマッチング度は上

YAMAHA YZF-R3

YAMAHA YZF-R3■水冷4ストローク並列2気筒 320cc 42ps 3.0kg-m 169kg 14L■シート高780mm ●67万5000円

YZF-R25と共通の車体にボアを8mm拡大したエンジンを搭載。R25からプラスされた71ccの排気量はスタートから明らか。市街地で多用する4000~7000rpmでのトルクが厚いのでR25より1段高いギヤでもキビキビ走れてしまう。排気量が増えたぶん速度域も自然と上がるためか、倒立フォークの剛性アップ具合もハッキリ。さらにラジアルタイヤがハードブレーキでの安心感や旋回時の接地感を与えてくれる。パワーと車体のマッチング感が良好だ。

KTM RC390[400の公道レーサー]ぶっ飛びのキャラ設定

KTM RC390

KTM RC390■水冷4ストローク単気筒 373.2cc 43.5ps 3.5kg-m 147kg(半乾) 10L■シート高820mm ●65万9000円

国産の400モデルに対して、外国車であるRC390はそのトンガリっぷりで抜きん出てスポーティ。例えばCBRがそのデザインでスーパースポーツを表現しているとするなら、KTMはレーサーそのものをストリートに落とし込んだ感じで、エンジンのレスポンスもモトクロッサーに近い。単気筒だが2気筒のライバル以上の加速性能を見せるのには驚きだ。WPの倒立サスやライド・バイ・ワイヤー制御など装備も豪華。こんなバイクが400クラスにいるのも面白い。

HONDA CB400SF/SB[熟成でまだまだ進化]もうやることない? いえいえ!

HONDA CB400SF

HONDA CB400SF/SB■水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 399cc 56ps 4.0kg-m 201kg[SB206kg] 18L■シート高755mm ●[SF] 86万8320~91万1520円 [SB] 102万1680~106万4880円

超ロングセラーのCB400SF。2018年モデルで3psアップした新型は排気抵抗の少ないマフラーに変わったこともあって、可変バルブタイミングの「ハイパーVTEC REVO」が6300rpmを境に切り替わったときのサウンドが軽量になり、その後の伸び上がり感も向上。クォーンという高回転域での音は、かつてのレーサーレプリカを彷彿とさせる。一方、開け始めのツキは旧型よりやや穏やかになっているが、Uターンなど小回りする際には逆に好印象だ。これで新排ガス規制にも対応はスゴイ。ハンドリングはサス変更により、舵角の付き方がよりスムーズになった。加えて、乗り心地は相変わらず優秀。LED化されたヘッドライトも照射範囲こそほぼ変わらないが、発光色が白くなったことでずいぶんと明るくなった。

YAMAHA SR400[新元号も生き抜く]その本質は不変

YAMAHA SR400

YAMAHA SR400■空冷4ストローク単気筒 399cc 24ps 2.9kg-m 175kg 12L■シート高790mm ●57万2400円

排ガス規制対応のため1年間の休止を得て復活。数値上では2psダウンしてしまったが、むしろ街中では速くなったという印象。実は最大トルク発生回転数が5000→3000rpmへ大幅に下がっている。これが出足の良さにつながって速いと感じさせるのだろう。車重の軽さやタイヤの細さから生まれる軽快なハンドリングは従来型から変わらず。バンク角の少なさが恨めしく思うほどスポーティに走ることができる。限界性能は高くないが、扱いきれる楽しさは不変だ。

HONDA 400X[見た目とキャラが適合]絶妙モデルチェンジ

HONDA 400X

HONDA 400X■水冷4ストローク並列2気筒 399cc 46ps 3.9kg-m 196kg 17L■シート高800mm ●81万1080円

モデルチェンジでフロントホイールを19インチ化したことで、見た目とキャラが見事に適合。実際にダートを走ってみるとオフロード性能も悪くない。スタンディングしても非常にコントローラブルと、真にアドベンチャーの仲間入りを果たした。CBR400Rとほぼ共通のマイルドなエンジン特性も、低回転域を使ってダートをゆるゆると走り抜ける400Xのキャラにマッチしている。意外だったのが峠。ピッチングモーションを使って、その気で走ることもできる。

DUCATI Scrambler Sixty2[兄貴より合ってる]スタイルと乗り味

DUCATI Scrambler Sixty2

DUCATI Scrambler Sixty2■空冷4ストロークL型2気筒 399cc 40ps 3.5kg-m 183kg 14L■シート高770mm ●89万9000円

スクランブラーの400ccバージョンは扱いやすさがあって、そこにスクランブラーのカッコよさ、そして乗ったときのポジションがぴったりマッチしているのがいい。シューンとバイブレーション少なく上まで回りきるエンジンは、ドゥカティLツインならでは。正立フォークの車体とのバランスも優れていて、ハンドリングも軽快。パッケージングとしては803ccの兄貴分より、このスタイルに合っているかも。1962年のオリジナルスクランブラー(450cc)にも近い。

KAWASAKI Z400[懐の広いミドルZ]どんな乗り方もOK

KAWASAKI Z400

KAWASAKI Z400■水冷4ストローク並列2気筒 398cc 48ps 3.9kg-m 166kg 14L■シート高785mm ●66万7440円

ニンジャ400/250や弟分のZ250と共通コンポーネントのネイキッド。エンジンは2000rpm弱から実用域として使え、4000~6000rpmで鼓動感を伴いながらトルクがフワッと盛り上がるので、市街地の加減速が実に楽しい。ハンドリングは車体の傾きに対し自然に舵角が付き、それを幅の広いハンドルバーによって自在にコントロールできる。ワインディングでは基本的にどんな乗り方でも曲がれてしまう上、正しく荷重すれば鋭く旋回できる懐の広さが持ち味だ。

YAMAHA MT-03[カウルを脱いだSS]戦闘力は高い

YAMAHA MT-03

YAMAHA MT-03■水冷4ストローク並列2気筒 320cc 42ps 3.0kg-m 166kg 14L■シート高780mm ●56万7000円

高回転型のエンジンはスポーツ走行でブン回したときに有利ながら、幅広いパワーバンドがあるため街中から使い勝手は優秀。下から上までピャーっと気持ちよく回る。あまりにもスムーズだからパワーを感じさせずにかなりの速度まで達してしまう。ハンドリングはさすがヤマハ。正立フォークでタイヤもバイアスなのだが、トータルバランスに秀でて良く曲がる。そもそも旧YZF-R3と共通エンジン&車体なので、カウルを脱いだスーパースポーツなのだ。

BMW G310GS[小さくてもGSだ]さすがのオフ性能

BMW G310GS

BMW G310GS■水冷4ストローク単気筒 313cc 34ps 2.8kg-m 170kg 11L■シート高835mm ●68万2600円

ネイキッドのG310Rをベースとしたアドベンチャー。そのDNAを受け継ぎ、高速での安定性やワインディングでの走りもなかなかだ。それに小さくてもオフロードでの走破性はさすがGS。前後180mmとクラストップのサスストロークでかなりのガレ場も普通にこなす。それに後傾シリンダーのおかげで寝かし込みの際に過剰にフロント荷重がかかりにくく、また倒れにくいので、前からスリップダウンという恐れを和らげてくれる。優秀なオールラウンダーだ。

HUSQVARNA Vitpilen 401[かなりのジャジャ馬]ライポジに賛否両論

HUSQVARNA Vitpilen 401

HUSQVARNA Vitpilen 401■水冷4ストローク単気筒 373cc 43ps 3.8kg-m 148kg 9.5L■シート高835mm ●77万7000円

真一文字に近いセパハンと後退ぎみのステップで前傾はスーパースポーツ並み。なのにほぼフラットなシートは、しっかり体幹で上半身を支えないと体重の多くがハンドルに掛かってしまう。加えてフロントタイヤに落ち着きがない。ところが、着座位置を後ろぎみにすると前後輪にかかる分布荷重が適正になるポイントを発見。それが分かれば面白く心地よい汗をかくことが可能だ。KTM・390デューク譲りのシャープなエンジンが歯切れのいい音を奏でてくれる。

HUSQVARNA Svartpilen 401[こちらはオフテイスト]うまく作り分けている

HUSQVARNA Svartpilen 401

HUSQVARNA Svartpilen 401■水冷4ストローク単気筒 373cc 43ps 3.8kg-m 150kg 9.5L■シート高835mm ●77万7000円

セパレートハンドルのヴィットピレンに対して、スヴァルトピレンはハンドルブレース付きの幅広アップバーを装着。ブロックイメージの強いタイヤにプログレッシブスプリングをフロントサスに採用するなど、メーカー的にはロードモデルとしているものの、かなりオフロードテイストが強い。ヴィットピレンのような前傾のきつさはなく、アップライトなポジションで上半身の自由度も高いと、うまく作り分けている。ただハンドルの切れ角は少なめな印象だ。

【掲載インプレッションについて】本文は、本誌の膨大なデータベースから、様々なテスターのインプレを統合し、凝縮している。そのため掲載写真のライダーによるインプレとは必ずしも限らないので、ご留意を! また、限られたスペースを有効活用するため、車両の解説は最小限としている。マシンデータは関連記事をサブテキストとして参照されたい。
※表示価格はすべて8%税込です。

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ヨ

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)