「俺たち、国土広くて直線メインだから、ワインディングとかあんまり関係ないし」そんな思いが見え隠れしていた本場アメリカのクルーザー界。しかし、そんな時代が変わろうとしている。伝統のスタイルを受け継ぎつつも、マジメにハンドリングを追求したモデルたちが続々と登場しているのだ。これまでレースにしかいなかったコーナー攻め攻めのハーレーなんて、ちょっと前まで予想外!
- 1 王者ハーレーもうかうかしてられない
- 2 HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Iron 1200[’70’s風リバイバル]ブームに乗った
- 3 HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Roadster[攻め攻めのスポスタ]走るために生まれた
- 4 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL FXDR 114[手強い不良がおでまし]直線だけじゃない
- 5 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Bob[峠道最速ハーレー]まさしく新時代
- 6 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Sport Glide[峠ナンバー2の実力]パパっと変身
- 7 HARLEY-DAVIDSON TOURING Electra Gilde Standard[このエンジン、いいぞ!]伝統の姿のまま進化
- 8 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Boy[見た目優先デカタイヤ]街乗りは意外と普通
- 9 HARLEY-DAVIDSON STREET ROD[異端のハーレー]高回転でブン回す
- 10 INDIAN FTR1200/S[米国流ハンドリング]そうきたか!
- 11 INDIAN Scout[匠が作ったのか]充実感が濃厚
- 12 INDIAN CHIEFTAIN Dark Horse[至高の3モード]表情が変わる
- 13 関連する記事/リンク
- 14 写真をまとめて見る
- 15 王者ハーレーもうかうかしてられない
- 16 HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Iron 1200[’70’s風リバイバル]ブームに乗った
- 17 HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Roadster[攻め攻めのスポスタ]走るために生まれた
- 18 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL FXDR 114[手強い不良がおでまし]直線だけじゃない
- 19 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Bob[峠道最速ハーレー]まさしく新時代
- 20 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Sport Glide[峠ナンバー2の実力]パパっと変身
- 21 HARLEY-DAVIDSON TOURING Electra Gilde Standard[このエンジン、いいぞ!]伝統の姿のまま進化
- 22 HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Boy[見た目優先デカタイヤ]街乗りは意外と普通
- 23 HARLEY-DAVIDSON STREET ROD[異端のハーレー]高回転でブン回す
- 24 INDIAN FTR1200/S[米国流ハンドリング]そうきたか!
- 25 INDIAN Scout[匠が作ったのか]充実感が濃厚
- 26 INDIAN CHIEFTAIN Dark Horse[至高の3モード]表情が変わる
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王者ハーレーもうかうかしてられない
クルーザーの本場、アメリカでは長らくハーレー・ダビッドソンが君臨していた。そんなところに復活を遂げたのが、米国最古のブランド、インディアン・モーターサイクル。イチからやり直しはじめたインディアンだが、母体となるポラリスの高い技術力を背景にスカウトやチーフテンなど、スタイルだけでなく走行面でもマニアを唸らせる性能を見せつけた。そして2019年モデルでは新基軸のFTR1200も発表。その勢いは止まらない。
そんなインディアンや日欧メーカーが送り出してくる21世紀クルーザーに、王者ハーレーも大改革をスタート。ソフテイルとダイナシリーズを統合したり、4バルブの新エンジンを投入したり、そしてこれまでは「俺たち国土広いからワインディング関係ないし」的だった運動性能の面でもマジメに追求を始めた。ファットボブやストリートロッドのようにコーナーに積極的に切り込んでいく、そんな新しいハーレーも見られるのだ。
HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Iron 1200[’70’s風リバイバル]ブームに乗った
昨今のリバイバルブームに乗って’70年代風レインボーカラーを身にまとい登場。スポーツスターファミリーでも人気の高いアイアン883をベースに、大胆すぎるほどアップライトなハンドルでチョッパー然にカスタムしながらも、ソロシートやビキニカウルでカフェレーサーのテイストも持ち合わせるのが面白い。エンジンは1202ccで100km/h巡航を5速/2300rpmでこなす。フロントに19インチの細身なタイヤを履くアイアンはヒラヒラした軽快なハンドリングで、旧車然とした後輪荷重の操作フィール。前後サスペンションはローダウンされているものの、昔ながらのスポーツスターの面影が残り、アグレッシブさは失われていない。
HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Roadster[攻め攻めのスポスタ]走るために生まれた
最大10.3kg-mを発揮する1202ccエボリューションエンジンは、スポーツスター史上最強クラス。スパっと加速し、とにかく力強くよく回る。ハーレーとしてはかなり前傾の付くライポジだが、長時間走っても特段疲れるわけではない。スポーティなルックスに釣られてフロント荷重を意識して操作していたが、最終的には従来のセオリーどおり、しっかりリヤから倒して曲げた方が自然で心地よいと結論。ラジアルタイヤは峠道、砂利、石畳でもストレスなく走破した。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL FXDR 114[手強い不良がおでまし]直線だけじゃない
1868ccのビッグトルクに、240mmのワイドなリヤタイヤは一瞬空転してからすぐにグリップを取り戻すと凄まじい加速。それが楽しくて信号では無意味にダッシュを繰り返す。1735mmのホイールベースはハーレーラインナップでも最長。フロントフォークを大胆に寝かせ、直進安定性は申し分ない。ライポジは上半身が軽い前傾気味でハンドルもセパハンとエキサイティング。一方、下半身は足をバンと前に投げ出すリラックス系という二面性が独特だ。走りにも猛牛のようなパワークルーザーかと思いきや、コーナーではあっけなく向きを変えてくれる二面性が。実際、ハイスピードでコーナーに進入しても車体は落ち着いて接地感もハッキリ。手強い不良のおでましだ。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Bob[峠道最速ハーレー]まさしく新時代
これほど軽快にコーナーへ進む入できるビッグツインはハーレーの歴史でも初? 前輪のキビキビした反応が秀逸でコーナーへスパっとバイクを放り込める。軽快ながら鋭すぎないのは150幅という太いタイヤの恩恵だ。キャスター角は28°とソフテイルファミリーの中で最も起きており、前後17インチの国産ネイキッド的な操縦感覚だ。極低速での安定感も高く、これまでのハーレーからの進化ぶりに驚かされる。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Sport Glide[峠ナンバー2の実力]パパっと変身
工具レス着脱式のカウルとパニアケースで、一瞬でツアラーからネイキッドへ変身する欲張りモデル。前輪径をソフテイル初の18インチとし、最もスポーティなFXFBファットボブに続く倒立フォークも採用する。ファットボブが峠最速なら、さしずめスポーツグライドは峠のNO.2といった走りで、ファットボブが低速コーナーをスパっと切り取るのに対し、やや落ち着いた動きのこちらはハードなサスと相まって中高速コーナーが楽しい。エンジンのツキの良さも随一で、わずかなスロットル操作にも敏感に反応してドババッと路面を蹴飛ばす。低中速の弾けるようなVツインの鼓動感と、レブリミッターがかかる約5600rpmまでのスムーズな回転上昇感も魅力のひとつだ。速いのは変身だけじゃない。
HARLEY-DAVIDSON TOURING Electra Gilde Standard[このエンジン、いいぞ!]伝統の姿のまま進化
エンジンは2017年モデルで2→4バルブに変わった空油冷1745ccの「ミルウォーキー8」。アイドリングは800rpmという低い回転域で安定し、メカノイズも大幅に低減した。1次バランサーのおかげで高回転でも振動は過大にならず躊躇せずに開けていける。高速巡航はひたすらに快適で、2500rpm付近で流すとビッグVツインの心地よい鼓動感が伝わり、どこまでも走り続けたくなる。これを支えるシャーシも素晴らしい。エンジンの振動が少なくなったぶんラバーマウントの硬度を上げることができたのか、シャーシ全体の剛性がアップしたようだ。ショーワの前後サスも作動性は優秀で、きれいにピッチングするためハンドリングもいい。走り出してしまえば376kgという車重を感じさせないほどに軽快だ。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Boy[見た目優先デカタイヤ]街乗りは意外と普通
ソフテイルシリーズが生まれ変わっても、定番モデルとしてファットボーイの特徴的なスタイルは健在。エンジンは1745cc版ミルウォーキー8を搭載している。ハンドリングにはクセがあり、車体が直立している付近では軽いが、そこから先はバンクするほど前輪が切れ込んで手応えが重くなって峠道ではやや苦労する。これは前160/後240幅という超ファットなタイヤの弊害だろうが、見た目優先のこのタイヤで街乗り程度は全く普通にこなせてしまうのがスゴイ。
HARLEY-DAVIDSON STREET ROD[異端のハーレー]高回転でブン回す
ストリート750をベースにがっつりスポーツ方向へと振ったモデル。キャスター角を32→27°へと起こし、ハーレー初となる17インチラジアルを履いた車体は、シャープすぎないところで爽快な旋回力を楽しませてくれる。エンジンが本領発揮するのは5000rpmからで、レブリミッターの入る9000rpm弱までのギューっと昇りつめていく感覚はスポーツユニットのそれ。ゆえにVツインっぽい鼓動感は薄めだが、日本人にはむしろ馴染みやすいかも。
INDIAN FTR1200/S[米国流ハンドリング]そうきたか!
随所にフラットトラッカーのエッセンスを散りばめたビッグVツインのアメリカンスポーツ。ラッチレバーは軽く、上質なタッチのシフトペダルを踏み込んで発進すると、ゴツゴツ感のないエンジンで粘りもあり初心者にもフレンドリー。2000rpm以下でゆっくり流せる一方、3500rpmあたりのトルクの盛り上がりでコーナーをスポーティに楽しめる。さらに6000rpm付近のトルクピーク域でのパンチある走りも魅力的だ。ストロークの長いサスは路面の不整をいなし、前19後18インチ大径ホイールのバランスいい組み合わせでコーナリングは優雅ですらある。ライダーに先走りすることなく、感性に合った旋回性を発揮してくれる。これぞインディアンの提唱するアメリカンハンドリングといった感じだ。
INDIAN Scout[匠が作ったのか]充実感が濃厚
スロットル開け始めから力が湧き出し、間髪入れずに加速体制に入るため、体感加速が凄まじい。レブリミットもこの手にしては8300rpmと高いから、あっという間に“アウトバーン速度域”に達してしまう。旋回力自体はさほど高くないが、倒し込みは素直で剛性感や接地感はクルーザーとは思えないほど高いため、体をインに入れるといったアクションが不安なく繰り出せる。結果、「自分でバイクを曲げている」という充実感はかなり濃厚。設計者は匠か。
INDIAN CHIEFTAIN Dark Horse[至高の3モード]表情が変わる
2019年モデルで追加された3種類のラドモードが面白い。最も穏やかなツアーモードは従来のエンジン特性に近いが、ひとつ上のSTDモードになるとパワーの出方が鋭くなり、追い越し加速で恩恵が感じられる。さらにスポーツモードでは「突進」と表現できるほどパワフルになり音も強烈。走りの方もアルミダイキャストフレームだから、そんなパワフルさにしっかり応えてくれる。見た目から想像できないほど舵角の付き方が早くてスムーズ。スポーティに走れる。
【掲載インプレッションについて】本文は、本誌の膨大なデータベースから、様々なテスターのインプレを統合し、凝縮している。そのため掲載写真のライダーによるインプレとは必ずしも限らないので、ご留意を! また、限られたスペースを有効活用するため、車両の解説は最小限としている。マシンデータは関連記事をサブテキストとして参照されたい。
※表示価格はすべて8%税込です。
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オンロードとオフロードの双方をカバーし、安楽な旅性能を持つアドベンチャー。国産勢は、トレーサーを筆頭に舗装路での巡航性能を重視したモデルがメインストリーム。ヴェルシスにジャンル初の電制サス仕様がデビュ[…]
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「俺たち、国土広くて直線メインだから、ワインディングとかあんまり関係ないし」そんな思いが見え隠れしていた本場アメリカのクルーザー界。しかし、そんな時代が変わろうとしている。伝統のスタイルを受け継ぎつつも、マジメにハンドリングを追求したモデルたちが続々と登場しているのだ。これまでレースにしかいなかったコーナー攻め攻めのハーレーなんて、ちょっと前まで予想外!
王者ハーレーもうかうかしてられない
クルーザーの本場、アメリカでは長らくハーレー・ダビッドソンが君臨していた。そんなところに復活を遂げたのが、米国最古のブランド、インディアン・モーターサイクル。イチからやり直しはじめたインディアンだが、母体となるポラリスの高い技術力を背景にスカウトやチーフテンなど、スタイルだけでなく走行面でもマニアを唸らせる性能を見せつけた。そして2019年モデルでは新基軸のFTR1200も発表。その勢いは止まらない。
そんなインディアンや日欧メーカーが送り出してくる21世紀クルーザーに、王者ハーレーも大改革をスタート。ソフテイルとダイナシリーズを統合したり、4バルブの新エンジンを投入したり、そしてこれまでは「俺たち国土広いからワインディング関係ないし」的だった運動性能の面でもマジメに追求を始めた。ファットボブやストリートロッドのようにコーナーに積極的に切り込んでいく、そんな新しいハーレーも見られるのだ。
HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Iron 1200[’70’s風リバイバル]ブームに乗った
昨今のリバイバルブームに乗って’70年代風レインボーカラーを身にまとい登場。スポーツスターファミリーでも人気の高いアイアン883をベースに、大胆すぎるほどアップライトなハンドルでチョッパー然にカスタムしながらも、ソロシートやビキニカウルでカフェレーサーのテイストも持ち合わせるのが面白い。エンジンは1202ccで100km/h巡航を5速/2300rpmでこなす。フロントに19インチの細身なタイヤを履くアイアンはヒラヒラした軽快なハンドリングで、旧車然とした後輪荷重の操作フィール。前後サスペンションはローダウンされているものの、昔ながらのスポーツスターの面影が残り、アグレッシブさは失われていない。
HARLEY-DAVIDSON SPORTSTER Roadster[攻め攻めのスポスタ]走るために生まれた
最大10.3kg-mを発揮する1202ccエボリューションエンジンは、スポーツスター史上最強クラス。スパっと加速し、とにかく力強くよく回る。ハーレーとしてはかなり前傾の付くライポジだが、長時間走っても特段疲れるわけではない。スポーティなルックスに釣られてフロント荷重を意識して操作していたが、最終的には従来のセオリーどおり、しっかりリヤから倒して曲げた方が自然で心地よいと結論。ラジアルタイヤは峠道、砂利、石畳でもストレスなく走破した。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL FXDR 114[手強い不良がおでまし]直線だけじゃない
1868ccのビッグトルクに、240mmのワイドなリヤタイヤは一瞬空転してからすぐにグリップを取り戻すと凄まじい加速。それが楽しくて信号では無意味にダッシュを繰り返す。1735mmのホイールベースはハーレーラインナップでも最長。フロントフォークを大胆に寝かせ、直進安定性は申し分ない。ライポジは上半身が軽い前傾気味でハンドルもセパハンとエキサイティング。一方、下半身は足をバンと前に投げ出すリラックス系という二面性が独特だ。走りにも猛牛のようなパワークルーザーかと思いきや、コーナーではあっけなく向きを変えてくれる二面性が。実際、ハイスピードでコーナーに進入しても車体は落ち着いて接地感もハッキリ。手強い不良のおでましだ。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Bob[峠道最速ハーレー]まさしく新時代
これほど軽快にコーナーへ進む入できるビッグツインはハーレーの歴史でも初? 前輪のキビキビした反応が秀逸でコーナーへスパっとバイクを放り込める。軽快ながら鋭すぎないのは150幅という太いタイヤの恩恵だ。キャスター角は28°とソフテイルファミリーの中で最も起きており、前後17インチの国産ネイキッド的な操縦感覚だ。極低速での安定感も高く、これまでのハーレーからの進化ぶりに驚かされる。
HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Sport Glide[峠ナンバー2の実力]パパっと変身
工具レス着脱式のカウルとパニアケースで、一瞬でツアラーからネイキッドへ変身する欲張りモデル。前輪径をソフテイル初の18インチとし、最もスポーティなFXFBファットボブに続く倒立フォークも採用する。ファットボブが峠最速なら、さしずめスポーツグライドは峠のNO.2といった走りで、ファットボブが低速コーナーをスパっと切り取るのに対し、やや落ち着いた動きのこちらはハードなサスと相まって中高速コーナーが楽しい。エンジンのツキの良さも随一で、わずかなスロットル操作にも敏感に反応してドババッと路面を蹴飛ばす。低中速の弾けるようなVツインの鼓動感と、レブリミッターがかかる約5600rpmまでのスムーズな回転上昇感も魅力のひとつだ。速いのは変身だけじゃない。
HARLEY-DAVIDSON TOURING Electra Gilde Standard[このエンジン、いいぞ!]伝統の姿のまま進化
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HARLEY-DAVIDSON SOFTAIL Fat Boy[見た目優先デカタイヤ]街乗りは意外と普通
ソフテイルシリーズが生まれ変わっても、定番モデルとしてファットボーイの特徴的なスタイルは健在。エンジンは1745cc版ミルウォーキー8を搭載している。ハンドリングにはクセがあり、車体が直立している付近では軽いが、そこから先はバンクするほど前輪が切れ込んで手応えが重くなって峠道ではやや苦労する。これは前160/後240幅という超ファットなタイヤの弊害だろうが、見た目優先のこのタイヤで街乗り程度は全く普通にこなせてしまうのがスゴイ。
HARLEY-DAVIDSON STREET ROD[異端のハーレー]高回転でブン回す
ストリート750をベースにがっつりスポーツ方向へと振ったモデル。キャスター角を32→27°へと起こし、ハーレー初となる17インチラジアルを履いた車体は、シャープすぎないところで爽快な旋回力を楽しませてくれる。エンジンが本領発揮するのは5000rpmからで、レブリミッターの入る9000rpm弱までのギューっと昇りつめていく感覚はスポーツユニットのそれ。ゆえにVツインっぽい鼓動感は薄めだが、日本人にはむしろ馴染みやすいかも。
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INDIAN Scout[匠が作ったのか]充実感が濃厚
スロットル開け始めから力が湧き出し、間髪入れずに加速体制に入るため、体感加速が凄まじい。レブリミットもこの手にしては8300rpmと高いから、あっという間に“アウトバーン速度域”に達してしまう。旋回力自体はさほど高くないが、倒し込みは素直で剛性感や接地感はクルーザーとは思えないほど高いため、体をインに入れるといったアクションが不安なく繰り出せる。結果、「自分でバイクを曲げている」という充実感はかなり濃厚。設計者は匠か。
INDIAN CHIEFTAIN Dark Horse[至高の3モード]表情が変わる
2019年モデルで追加された3種類のラドモードが面白い。最も穏やかなツアーモードは従来のエンジン特性に近いが、ひとつ上のSTDモードになるとパワーの出方が鋭くなり、追い越し加速で恩恵が感じられる。さらにスポーツモードでは「突進」と表現できるほどパワフルになり音も強烈。走りの方もアルミダイキャストフレームだから、そんなパワフルさにしっかり応えてくれる。見た目から想像できないほど舵角の付き方が早くてスムーズ。スポーティに走れる。
【掲載インプレッションについて】本文は、本誌の膨大なデータベースから、様々なテスターのインプレを統合し、凝縮している。そのため掲載写真のライダーによるインプレとは必ずしも限らないので、ご留意を! また、限られたスペースを有効活用するため、車両の解説は最小限としている。マシンデータは関連記事をサブテキストとして参照されたい。
※表示価格はすべて8%税込です。
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