第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

類のないカスタム車に岡田さんも感激!?

【動画あり】「ノーマルとは別物!」 同爆&スクリーマー仕様のNSR250Rに岡田忠之さんが試乗!

  • 2019/8/5

2サイクルレプリカの名機・ホンダNSR250Rの人気は未だに高く、初代の登場(‘86年末)から30年以上が経過した今でもカスタム熱も冷めやらない。中でも、ここで紹介する2台は他にほぼ類のないカスタム車。ノーマルNSR250Rの2サイクル90°Vツインは不等間隔爆発のエンジンだが、1台は2気筒が同時に爆発する「同爆」仕様に、もう1台は2気筒が等間隔で爆発する「スクリーマー」仕様へと変更されているのだ。

作った理由は「面白そうだから」

同爆車を製作したのは現役国際ライダーで、レースマシン製作やそのサポートなどを行う「エグケンガレージ」の江口謙さんで、スクリーマー車はNSRをメインに2サイクル用チャンバーの製作などを行う「ライズオン」の井場将文さんによる。共にキモはクランクシャフトの改造で、ピストンの位置がそれぞれ同時爆発/等間隔爆発に来るように位相角を変更。このクランクシャフトの加工には、NSR用ラビリンスシールクランクの開発でも知られる内燃機ショップ「井上ボーリング」が協力している。

エグケンガレージ製作の同爆NSR。カラーリングは‘94年の世界GP・250ccクラスで岡田さんが駆り、年間ランキング2位となったワークスNSR250をラッピングで再現している。

こちらはライズオンが製作したスクリーマー仕様。同爆仕様がMC21型(‘90〜93年式)なのに対し、こちらは‘89年式のMC18型がベース。同店代表の井場さんがテイストオブ筑波に参戦中の車両でもある。

多気筒エンジンの爆発間隔を変更するチャレンジは、「ビッグバン」と通称された近接同爆V4の‘92年型ホンダNSR500がよく知られる。これは2サイクル500ccの暴力的なパワーを効率よく路面に伝えるための策。もちろん、この2台の製作者もそれは知っていたが、「NSR250Rをスクリーマーや同爆にしたら、どんな音やフィーリングなのか。純粋にそれを知りたかった」のが製作の大きなモチベーションだったという。つまり“面白そうだから作ってみた”というチャレンジ精神が生んだカスタム車で、パワーアップや性能向上を目指した車両ではないのであしからず。

(右から)エグケンガレージの江口さん、ライズオンの井場さん、そして井上ボーリングの技師・小林丈晃さん。元々、NSRの同爆クランクを発案したのは小林さん(始動させた経験もある)で、それを聞いた井場さんが「同爆が出来るならスクリーマーも!」と話が膨らみ……。10年以上を経て今回のテストに至ったというワケ。

右のノーマルに対し、同爆とスクリーマーのクランクシャフトは1番シリンダーのクランクピン(=奥側)を、それぞれ異なる方向に90度位相させている。詳細を知りたい方はプロスペック誌のVol.2をご参照。

「TADY」も認めた2台の明確な違い

より詳しい製作経緯や詳細に興味のある向きは、この2台を16ページに渡って特集しているNSR250R専門誌「PROSPEC(プロスペック)」のVol.2を見て頂くとして、注目は同爆/スクリーマー車ともに、不等間隔爆発のノーマルとは異なる独自のフィーリングが存在したことだ。この2台の試乗を担当したのは岡田忠之さん。言わずもがなの元GPライダーで、‘97〜00年には「ビッグバン」や「スクリーマー」のNSR500を駆り通算4勝を挙げた、WGP最高峰クラスの日本人最多勝記録保持者である。

久しぶりのサーキット走行だったが、とても楽しかったと笑う岡田さんのインプレを要約すると「路面を掴む感覚がノーマルとはまるで別物で、1発1発の爆発で生じたトルクが非常に分かりやすく伝わってくる」同爆に対し、「キレイにスムーズに伸び上がり、高回転域のパンチが強力」なスクリーマー、というもの。この印象はNSR500のビッグバン車やスクリーマー車に通じる部分があるそうで、「もちろん500ほどの差ではないが、今回の2台には明らかな違いが感じられました。“よく作ったなぁ……”と感動しましたよ」ともコメントしてくれた。この2台の排気音や、現役時代を彷彿させる岡田さんの鋭いライディングは動画をご参照いただきたい。

同爆NSRを駆る岡田さん。後輪から引っ張られるような、ほどよいエンブレの効き具合も同爆の特徴で、これがコーナー進入時の安心感につながっているという。

スクリーマー車は高回転のパンチ力が特徴で、「コーナーでケツを流しちゃたよ!」と岡田さんも思わず笑顔に。低回転でやや強めの振動があるが、これは車体側で解決できるのでは?とのこと。

NSRカスタムの新たな扉が開く?

冒頭でも述べたが、この2台のカスタムNSRは性能向上を目的とはしていない。しかし、今回のテストがシェイクダウンで、加工したクランクシャフトの重量バランスも取っておらず、さらに吸排気系や点火タイミングなども暫定仕様だったことを考えれば、同爆/スクリーマーともに“伸びしろ”は大いに残されている。岡田さんが高評価を与えたその素性は、今後の熟成次第で“化ける”可能性もあるのだ。

F3やSP250など、過去のレースシーンで培われたノウハウから一歩踏み出し、エンジン特性を根幹から改めた今回の2台は、NSR250Rのカスタム/チューニングに新たな潮流を起こせるかもしれない。今も3万台近い登録台数を誇る人気機種だけに、ノウハウは既に出尽くしたと考えてしまいがちだが、まだまだNSRには楽しめる余地が残っているのだ。

photo●折原弘之

【動画】NSR250R「同爆&スクリーマー仕様・岡田忠之さんテスト」

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「西部警察」と「北の国から」をこよなく愛する本誌編集部員。NSR専門誌・PROSPECのほか、フリーペーパーとして復活を果たしたビッグマシン零(ゼロ)の編集長も兼任する。
■1975年生まれ
■愛車:HONDA NSR250R(1992)/HARLEY-DAVIDSON XL883(2009)