第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

7月27日(土)決勝・応援ヨロシク!

“バイク版・夏の甲子園” 灼熱の鈴鹿4耐でガチ女子ペアがクラス優勝を目指す!

  • 2019/7/24

『HYK・3大ワークス決戦』『テック21カラー復活』など、’19鈴鹿8時間耐久レースの話題が例年以上の盛り上がりをみせている中、8耐前日開催の鈴鹿4時間耐久レースの注目といえば、小椋華恋選手(20)と片山千彩都選手(19)の若き実力派女性ペアの参戦だ。GOSHI レーシングのCBR600RRを駆り、“バイク版・夏の甲子園”とも称される超難関レースに挑む。

2人の女子レーサーが 鈴鹿4耐出場を決めるまで

 ’17年から準国際格式のレースに格上げされた4耐は、ST600マシンによって争われ、ここ数年はアジアロードレース選手権の有力チームが各国の若手ライダーを起用して大挙エントリー。かつてノービスライダーの甲子園と呼ばれた4耐は、アンダー20歳のアジア国際レースといった側面をもってきており、日本を含めたアジアの若手ライダーが見応えのあるトップ戦いを展開してきている。

 そんな中、ナショナル4H(国内ライセンスのライダーのみで構成されるクラス)優勝を目指し、ふたりの日本人女性ライダーが参戦する。GOSHIレーシングからエントリーする小椋華恋選手(20)と片山千彩都選手(19)のペアである。

小椋華恋選手は、ライダーである父の影響から3歳でポケバイに乗り始め、6歳でレースデビュー。秋ヶ瀬サーキットで開催されていたポケバイレース・74DAIJIRO-Eクラスで『めだまかれん』の愛称で活躍した。ロードレース転向後は、中学生でMFJレディースロードレースシリーズチャンピオンを獲得、昨年はMFJカップJP250レース筑波ラウンドで、クラス優勝を飾った。豪快なライディングフォームから現在は“フルバンク女子”の異名を持つ人気の女性ライダーだ。

男子顔負けな小椋華恋選手の豪華な走り(写真:栗原テイジ)

 一方の片山千彩都選手もバイク好きの父親仲間の影響から6歳でポケバイに乗り始め、74DAIJIROをライディング。その後は名門コース北九州カートウェイにおいて、鳥羽海渡選手、真崎一輝選手(共に世界選手権モト3クラスに参戦中)らとミニバイクレースで腕を磨いた。 ロードレース転向後はCBRカップHSR九州チャンピオン、NSF250Rで九州チャンピオンを獲得するなど九州を中心に活躍。’17年からJP250クラスに参戦開始し、スポットで参戦した昨年のMFJカップオートポリス大会で総合3位(NATクラス優勝)に入るなど、存在感を増してきている。穏やかな性格からは想像出来ない、やはり豪快なライディングフォームが特徴だ。

GOSHIレーシングのCBR250RRでトップを快走する♯54片山千彩都選手(写真:三家香奈子)

 2人が初めての出会ったのは5年前。鈴鹿サーキットで行なわれたCBRカップグランドチャンピオン大会だ。小椋選手は当時の様子を「速い女の子(片山選手)がいるって聞いて、少しだけマークしていたんです。練習走行でその子が最終シケインでイン側に来ていたので、ブレーキング勝負してみたんですよ。そうしたら引かずに私のイン側を突き抜けてそのままコースアウトして行ったんです(汗)」と振り返る。一方、コースアウトした片山選手の方はそのことを全く覚えていないそうだ。

そんな片山選手に小椋選手のことを尋ねてみると「私がバイクに乗り始めた時から華恋ちゃんがミニバイクレースで活躍しているのを知っていてずっと憧れのライダーでした。今ではライバルであって、一番の共感者でもありとても大切な存在です」とのこと。 レースウィークに親同士が話していたことがきっかけで徐々に仲良くなり、現在ではプライベートでも遊ぶ仲になったという2人。

小椋華恋選手(右)と片山千彩都選手(左)。ライバルであり、チームメイトであり、そして仲のいい友達の2人は、4耐でどんな結果をつかむのか?(写真:真弓悟史)

今年の春、小椋選手のもとに片山選手から1本のLINEが入った。

片山選手:「華恋ちゃん4耐出ない?」

小椋選手:「ほんとに?」

2人:「じゃあ出よっか‼」

そんな簡単なやりとりで決定した4耐参戦だったが、その背景には片山選手が所属するGOSHIレーシングの8耐参戦に向けた入念な計画がオーバーラップしていた。

それぞれの思惑と夢を乗せ 真夏の4時間を駆け抜ける

GOSHIレーシングは『Road of SUZUKA 8 hours 』のスローガンのもと“2020年の鈴鹿8耐参戦”を目標に掲げ、今年からJSB1000クラスに参戦を開始していた。

そんな中、昨年まで参戦していたST600マシンが余ってきていた現状と、JP250に参戦している片山選手のレベルアップを図るべくST600でのテスト走行を行なってみると、監督曰く「乗せてみたらそれなりに乗れる」という好結果に。その後、何か目標を立てることがポリシーという片山選手が、『鈴鹿4耐に参戦する』という新たな目標を掲げるのにそう時間は掛からなかった。

ST600仕様のCBR600RRを初乗りする片山千彩都選手(写真:noruzo)

こうして片山選手を中心に決まったGOSHIレーシングの4耐参戦だが、来年の8耐参戦を目指すチームにとっては、ライダー交代や給油作業など耐久レース独自のファクターを学んだり、社員メカニックの更なる技術向上を図るために、真剣勝負で挑むレースとなっていた。

真剣勝負なのはライダーにとっても同じ。’17年からGOSHIレーシングに所属して走ってきた片山選手は、今年、地方選手権の鈴鹿サンデーロードレースJP250クラスでも連勝を重ね、チャンピオン目指して躍進中だ。 一方、高等専門学校の5年生である彼女は、来春の就職を期にレース参戦体制を見直す可能性が高く、ST600でチャレンジする今年の4耐が、彼女にとってGOSHIレーシングでの集大成になる意味合いもあるようだ。

今年で3度目の4耐となるペアライダーの小椋選手も同様で、モトアメリカ参戦の合間を縫っての参戦は「チームのクラス優勝を目標に、1人のライダーとして臨む4耐は、今年が集大成となる」と冷静に語る。

’17鈴鹿4耐でドッグファイトYZF-R6を駆る小椋華恋選手(写真:栗原テイジ)

小椋選手の夢は、日本のロードレース界が25年以上前にあった“黄金期”のような盛り上がりを再び取り戻して、観客席が満員の中でレースが行なわれることだという。 8耐ウィーク中に様々なサポートイベントが開催される中、お祭りムードで開催される4耐への参戦には、そうした意味でも期待は大きい。

片山選手の夢は? と尋ねてみると、「ライダーとしての目標とは別に、バイクメーカーの技術者になってバイクに携わるような仕事をずっとしていきたい」と真っ直ぐな瞳で語ってくれた。

ふたりの想いが交錯しながら、真夏の鈴鹿サーキットを駆け抜けたあとには、いったいどんな景色が見えてくるのだろうか……。今年の鈴鹿4時間耐久レース決勝は7月27日、土曜日の午前9時にスタートする。

小椋華恋 Karen Ogura
知り合いの紹介で、現在はモト・アメリカ・ジュニアカップにVeloce Racing からYZF-R3で参戦中。アメリカ西部を中心に、ユタ、ラグナセカ、ソノマにスポット参戦する。鈴鹿4耐にはYZF-R6で参戦経験済み。1998年8月5日生まれ。現在、moto3で活躍する小椋 藍 選手の実姉。

片山千彩都 Chisato Katayama
GOSHIレーシングからJP250クラスに参戦中。6月開催の鈴鹿サンデーロードレースJP250 クラス“4 時間耐久レ-ス”では、笠井杏樹選手(TEAM TEC2)との女性ライダーペアで優勝を果す。スポット参戦したMFJカップ筑波ラウンドでは決勝レース1でNATクラス2位に入賞。鈴鹿4耐は初挑戦だ。1999年11月20日生まれ。

ゴウシ・レーシング GOSHI Racing
アフリカツインのフレームやGL1800のマフラーなど、主にホンダ純正部品を手掛けている合志技研工業株式会社。合志技研・技術部開発ブロック・レーシング部のエントリーネームが“GOSHI Racing”となる。ロードレースでは、CBR1000RR、600RR、250RRにて、オリジナルレース用マフラー『54R!マフラー』のマシン開発を進めながら“人と技術を育てるため”にレース参戦を行っている。2020年にはいよいよCBR1000RRで8H挑む。

(文:栗原テイジ Teiji Kurihara/インタビュー写真:真弓悟史)

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