~山形県道210号・秋田県道131号線 鳥海ブルーライン~

【バイクで巡るニッポン絶景道】東北髄一の展望! 鳥海ブルーライン[山形県・秋田県]#モトツー

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第40回は、海抜0mから標高1100mへと一気に駆け上がる、東北屈指の展望ロードを紹介したい。霊峰・鳥海山の5合目まで、山形県と秋田県それぞれから向かうことができる。

TEXT:Hidetoshi KANDA

天空まで一気に登る東北髄一の展望! 目前の空に感激

東北地方屈指の展望ロード、鳥海ブルーラインは、海抜0mより標高1100mの天空へ一気に駆け上る、総延長で約35kmの絶景道だ。稜線がなだらかで美しい東北の霊峰、鳥海山の5合目まで登ることができる観光登山道で、山形県・秋田県それぞれの側より向かうことが可能。言ってみれば、鳥海山に登って降りる周遊道といった様相だ。

アクセスは山形側・秋田側のいずれも、日本海沿いの大動脈、国道7号線からの分岐を利用するため、時間さえあれば大きなルート変更をすることなく、日本海沿いの旅路のついでに寄り道がてら走ることもできる。本格的な山岳ワインディングルートだが、思いのほかツーリングルートに組み込みやすいのが特徴だ。

鳥海山5合目までは海岸付近から一気に駆け上がることができるため、頂上付近の展望のみならず多彩な風景変化を楽しめるのも人気の一つ。旬の時期はゴールデンウィークと紅葉の季節で、特にGW時の高さ10mを超す雪壁の風景は全国的なファンも多い。10月下旬~4月下旬は積雪のため冬期通行止めとなり、GWの解禁時には小さな渋滞も発生するほどの人気ぶり。路面凍結の心配もなく、大型ロードバイクで安全に雪壁を堪能できる数少ないルートであり、岩手県の八幡平アスピーテラインと人気を2分するメジャールートとなっている。

鳥海山は標高2236mと国内屈指の名峰。ゆえに、紅葉時期は標高別にグラデーションのように色付き、それは見事な色彩となる。この時期も観光バスやハイカー達が大挙して訪れるため混雑しがちではあるが、その風景の見事さはそれを鑑みてもなお、お釣りのくる絶景だろう。

道幅は広く、随所にパーキングもあり、風景を楽しみながら走れるが、中腹以降のルートはタイトコーナーの連続するテクニカルなワインディングとなる。初心者ライダーはもちろん、ベテランライダーも十分にスピードを控えたライディングを心掛けたい。閑散期となる夏季はライディングペースも上がりがち。複合コーナーも連続するため、特に注意してライディングしてほしい。

感激の走りと風景を持つルートだが、ハイライトとなるのは、やはり標高1100mの天空より広がる展望。日本海をはじめ、鳥海山の裾野を一望できる圧倒的なパノラマは、これだけのために訪れる価値のある絶大なパワーを持っている。

ゴールデンウィーク、または紅葉の時期に東北旅を予定している方は絶対に訪れるべき絶景ロードであろう。

終点の5合目は標高1100mの天空世界。日本海をはじめ、裾野を一気に見下ろす大展望に感激間違いなしだ。目前は青。まさに“ブルーライン”の名に相応しい光景が広がる。
ゴールデンウィーク時期のハイライトが高さ10mを超える雪壁の道。路面は完全に融雪整備されており、大型ロードバイクでも全く問題なく走行可能だ。異世界感抜群の風景に会いに行こう!
タイトコーナーや複合コーナーの連続する本格的な山岳ワインディングながら、カーブの先に開ける色は青一色!まさに空と共に駆ける道。スピードを抑えつつ堪能しよう。
標高変化が急激なことから、短時間で風景が多彩に変化するのもこのルートの魅力。海岸付近での平原感と天空展望の解放感。次元の全く違う感激を一石二鳥で楽しむことができるぞ。
GWをハイライトとする東北の春は、鳥海山が最も美しい時期の一つ。冠雪したダイナミックな山体と春満開の黄色のコントラストはため息の出る美しさ。周囲は絶景天国だ。
ルート沿いにある鳥海山の伏流水が大量に湧出する森の絶景。湧出量は何と5万t/日。無数のしずくの軌跡が育む岩の苔と白水の風景は、特に写真映えするポイントだ。

ロード情報

交通量:全国的に比較的メジャーながら、大都市近郊の観光ロードと比べると少な目。ただし、GWの雪壁時期・紅葉時期は、マイカーや観光バスも多くかなりの混雑が見られる。

路面:かつての有料観光道路だけに全体的に良好。道幅も広く大変走りやすいが、春先は雪により、小落石や路面の痛み・亀裂がある場合もある。注意して走れば全く問題はないだろう。

~鳥海ブルーライン~
秘境感★★★
天空感★★★★★
潮風感★
爽快感★★★★
根性感★★★
開放感★★★★★

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