ベースオイルを自社精製、だから熱に強い

エンジンオイル「モーターサイクルオイルモトシンセ」試用インプレッション

panolin moto synth

原油から100%自社生産するスイスの潤滑油専門メーカー、パノリンの2輪用エンジンオイルを試してみた。今回はテスト車両としてテスターの愛車であるNC750S(MT)を使用。積算距離9000kmで前回のオイル交換から1000kmしか走っておらず、劣化分を加味せずテストするには好都合だった。果たして「モーターサイクルオイルモトシンセ」の実力は?

(◯)良好なシフトタッチが渋滞にはまっても続く

1949年に創業、2006年から2輪用エンジンオイルを生産しているパノリン。自社で精製されるベースオイルは一般的な動植物系エステルではなく、品質が安定した炭化水素系スーパーハイテックエステルで、熱ダレしにくく、高温域まで確実にエンジンを保護するという。

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【一滴もこぼさずに適量が注入可能】写真のようにノズルが伸びるパッケージは非常に注ぎやすくて、オイルジョッキを用意する必要なし。さらに、側面にある250㏄ずつ刻まれた目盛りも便利だ。【モーターサイクルオイルモトシンセ[パノリン]●税込価格:3132円/1L ●規格:JASO MA ●粘度:10W30】

レース専用から街乗りスクーター向けまで全6タイプの中から、今回はモトシンセ(10W-30)をテストしてみた。この銘柄はホンダが中心となって提唱している2輪用省燃費オイル規格〝HMEOC.に適合していることから、テスト車両として私の愛車NC750Sを用意した。

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【テストはNC750S】テスターの愛車であるNC750S(MT)は積算距離9000㎞。前回のオイル交換から1000㎞しか走っておらず、劣化分を加味せずテストするには好都合だった。
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【10W-30のモトシンセをテスト】ホンダ車の指定は全て10W-30なので同じ粘度のモトシンセを用意。HMEOC省燃費構想に適合したオイルだ。

始動性や吹け上がり、メカノイズなど、直前まで入れていたエンジンオイル(0W‐30)との印象差はあまりないが、その中であえて違いを感じたとすれば、シフトタッチがやや滑らかになったのと、それが渋滞にはまって冷却ファンが回るほど油温が上がっても、ほとんど変わらなかったことだ。これは良質なベースオイルによる効果らしく、DCTではなくあえてMT仕様を選んだNC750Sオーナーとしては、それだけでもこのパノリンというメーカーを選ぶだけの価値があると思った。

(△)現状では不明だがライフを試したい

劣化が少なく、スラッジの発生も抑制するとのこと。短時間のテストでは分からないだけに、実際に距離を稼いで試したいと思っている。

(結論)こんな人におすすめ:やや高めだが高温時の性能は日本向きかも

以前、潤滑油メーカーの人に話を聞いたところ、やはりベースオイルが性能を大きく左右するとのこと。その点、パノリンは自社で精製するほどに力を入れているので、純粋なパフォーマンスだけでなく信頼性も高いと言えよう。

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【ジャンル別に6種類を用意】世界初となる生分解性オイル「トップレース」から、スクーター専用の半化学合成油「スクーターブレンド」まで6タイプがあり、それぞれの粘度違いで計13種類の製品をラインナップしている。

 

●写真:飛澤 慎/松井 慎/編集部
※取材協力:岡田商事

※ヤングマシン2018年5月号掲載記事をベースに再構成

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