サーキットテストでその性能がハッキリした’19年モデルの250フルカウルスポーツたち。新YZF-R25は期待を大きく上回る走りでその勢力図を書き換えうるかも。ますますニーゴーが面白くなってきた!
海外遠征した収穫は大いにあった
国内仕様発売から1か月前に、わざわざインドネシア・セントゥールサーキットまで赴いて行ったライバル・ガチンコ対決。新R25の抜群の進化ぶりに、その意味は十分にあった
まずは、新旧R25の比較から振り返ろう。ここでは新旧で明らかな差を見ることができた。エンジン性能自体についてはまったく同じと言ってよく、最高速が8km/h伸びるという新形状カウルもそこまでの威力を発揮する場面には、今回残念ながら出会えなかった。しかし、それだけに圧倒的なタイムの違いを生み出したハンドリングの間違いないレベルアップを実感。同じエンジン、同じフレームでここまで変わるのかと思うほど攻めやすくなった。
ニンジャはモデルチェンジ前の旧ニンジャよりは確実にハンドリングアップしており、新R25より大柄な部分はあるんだけど相対的には似たようなところでいい走りを楽しませてくれた。エンジン性能にしても、ニンジャとR25はCBRのような高回転で勝負するのではなく、あくまで公道で使える実用域を中心とした扱いやすさを主眼に置いたもの。パワー的にも互角だ。価格帯でもこの2車は真のライバルと言えるが、丸山浩としては甲乙つけがたいというのが本音。本気でレースする場合、足まわりセッティングの本格的な煮詰めは避けて通れないのでニンジャもタイムの伸びしろがある。貫禄で選ぶならニンジャ、シャープさが好きならR25というように、もうスタイルで選んでもいいのではという結論だ。
そして、これまで別格的な存在だったCBR。CBRはそのエンジンパワーとクラス唯一だった倒立フォークによる剛性感の高さが大きなアドバンテージだったが、剛性感に加えてしなやかさも調教された新R25の倒立サスによって、その差を予想以上に縮められてきたことが白日の元にさらされた。テスト前は新R25でもそうそう勝てないだろうと予想していたところ、“あれ? 戦えちゃうかも”と思わせてくれたのは大きな収穫だった。
倒立フォーク投入はただの飾りではなかった。それもサーキット向けに特化したというより、先代R25と同じ街乗りOK、ツーリングOKのキャラに加え、全体的に上質な足に仕上げ守備範囲を広げてきたという感じ。これは国内仕様の走りも楽しみだ。
SECOND OPINION by MOCHIZUKA:インドネシアの酷道で鍛え上げられた黄金の脚
新R25は、ひとことで言うと正常進化と言うか懐が大きく拡がったという感じ。エンジンは同じなのにこれだけタイムが違ってくるのは、やっぱり倒立フォークで進化した足まわりのおかげでしょう。セントゥールサーキットの荒れた路面では走りになかなか苦労する中でも、新R25のしなやかなサスが助けになりました。安心できるからアクセルを開けやすく最終的に速さにつながると、まさにセオリーどおりと言っていいかもしれません。サーキットスピードに必要な硬さと、行き過ぎない適度な柔らかさの両立。このセッティングがノーマル状態のバイクとしては実にしっかりと煮詰められているなと驚きます。なにしろ新R25は、ここインドネシアで生産。だからもしかすると、足まわりの素晴らしさはこのセントゥールの路面によって鍛え上げられ生まれてきたものかもしれませんね。
TIME & SPEED DATA:コーナーでもストレートでも新R25がCBRに肉薄
走行後にデータロガーで収集したコーナーセクションごとのタイムを見てみると、場所によっては新R25がCBRを上回っていたことが判明。高回転型で絶対的パワーを持つCBRを新R25はハンドリングで追い詰めていけるのが証明された。“あれ? CBRと戦えるかも”と本気で思えたのは間違いではなかった。
4車採点表(暫定/国内テスト待ち)
[新]YZF-R25:的を絞って劇的性能アップ
サーキット走行でも通用する足まわりを手にして劇的に戦闘力が高まった感のある新R25。それでいながらコストアップを最小限に、あくまで手の届きやすい価格を維持したのは素晴らしい。
[旧]YZF-R25:あくまで街乗り主体
ストリート主眼でサーキット性能までは手を伸ばしていなかった先代R25。エンジン性能自体は新型と比べても遜色ないが、コーナーを攻め込むにはやはりライバルより厳しかった。
Ninja 250:本来ならもっといける?
ミッションが本調子ならもっと速さを出せたかもとは思うが、旧R25よりちょっと速いタイムはマシンコンセプト的に予想の範疇。新R25はこのニンジャのさらにちょっと上を狙っていた。
CBR250RR:まだレースでは最強
これまで圧倒的な速さがウリだったが、新R25登場で安心してはいられない。レースで勝つならまだCBRだが、ライトにサーキットを楽しむだけなら価格の安い新R25に脅かされそうだ。
2019年型YZF-R25:日本仕様も3色展開で正式発表
欧州で兄弟車のYZF-R3が先行発表され、ファンをヤキモキさせたが、ついに日本でも待望の正式発表となった。価格上昇は最小限に抑えられ、ABSなし仕様で60万円を切るのはうれしい。車体色はどのカラーもさりげなくツートーンになっている(マット×艶あり黒など)。
“文武両道”で新型R25がネオ・スタンダードに
今まではニンジャよりストリート寄りの旧R25か、ニンジャよりもっとスポーティなCBRかといったように、ニンジャが250フルカウルにおける中心的な存在となっていた。だが今回、新R25がより高い次元で攻守のバランス整え、新しい基準になったと感じた。ただし、新R25はCBRと共に的が絞られているのに対し、ニンジャと旧R25はターゲット層が広い。とはいえ、今回はまだ暫定的な結果。次号以降で行う国内テストで明確な答えを探ってみたい。
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