USダンロップの手により、スリックタイヤのテクノロジーを駆使して開発されたというスポーツマックスQ4。しかしその謳い文句とは裏腹に、温度管理のシビアさやコーナリングの神経質さとは無縁の、ビギナーからエキスパートまでオススメできるタイヤだったのだ。
TEXT:Tomohiko NAKAMURA PHOTO:Tomonobu FUCHIMOTO
積極的なライディングで抜群の旋回性を引き出す
詳細は後半の解説をご覧いただくとして、サーキットを重視して開発されたQ4は、本来ならスーパースポーツで性能を実感するべきタイヤである。それが今回は、スポーツネイキッドでテストを行ったのだが……。すべての性能を出し切れたとは言えない。でも現在の僕は、かなりのところまで、Q4の魅力が理解できたと思っている。
順を追って説明すると、Q4の美点その1は温まりの早さだ。この種のタイヤの定番であるウォーマーを使わなくても、Q4は走り始めて数分で、ヨシ、行ける、という気分になれる。続いて述べたい美点その2は、タイヤからの要求、こう乗れという主張が希薄なこと。試乗開始直後の僕は、コーナー進入時のブレーキの残し方や、立ち上がりでアクセルを開けるタイミングを、いろいろと試したのだが、Q4はどんな乗り方でも、素直でわかりやすい反応を見せてくれる。あえて言うなら、浅いバンク角で曲がりたがる傾向はあるけれど、少なくとも僕にとって、その挙動はマイナスではなかった。
そんなわけで、Q4はハイグリップ初心者でも臆することなく楽しめそうなタイヤだが、僕がそう感じる要因としては、知らず知らずのうちに速度が上がり、知らず知らずのうちに前後輪に理想的な荷重がかかっている、美点その3がある。いや、実際には知らず知らずではなくて、走り込むうちに、コーナー進入でかなりの無理が利くこと、バンク中に何をやっても破綻の気配がないこと、路面のギャップを起因とする細かいフレや上下動があっという間に収束することなどが分かるから、まだまだ攻められる! という気持ちが芽生えて来る。しかし、前述したように、その際にタイヤの特性に歩み寄る意識は必要ない。あくまでも主導権は乗り手側にあって、やるべきことをやれば、旋回性や加速で素晴らしい反応が返って来る、という印象なのだ。
つまりQ4には、乗り手を自然に導いてくれるかのような、懐の深さが備わっていて、一部のハイグリップタイヤのような難しさや、スポーツネイキッドとの相性の悪さは、まったく感じられなかった。これからサーキットデビューを考えている人にも、エキスパートなライダーにも、自信を持ってオススメしたくなるタイヤである。
Point1. α-13SPとは異なる特性
アメリカで開発・生産が行われるQ4は、公道も走れるレーシングタイヤ。ダンロップにはすでに同様の製品として、α-13SPが存在するけれど、軽快な乗り味が特徴のα-13SPに対して、Q4はライダーの積極的な操舵やガッチリした手応えを重視して開発。
Point2. アメリカ生まれの新技術
フロント:2CUT、リア:HES-JLBという構造は、日本で販売されている他のダンロップ製スポーツタイヤと同様だが、サイドウォールを補強するCFTやモノプライの軽量ナイロンカーカス、リアに導入されたジョイントレストレッドなどは、Q4ならではの技術だ。
Point3. スリックに匹敵するグリップ力
ドライグリップを重視しながら、コンパウンドは低温時の扱いやすさにも配慮。レーシングスリックと同様のフィーリングを得るため、リアにはシリカを含まないフルカーボンコンパウンドを採用。
Point4.プロファイルは旋回性を重視
USAダンロップが独自の技術で設計したプロファイルは、コーナリング中の応答性と接地面積の拡大を重視。多種多様なライダーの要求に応えるため、リヤ用の180と190には2種類の扁平率を設定する。
サイズラインナップ
フロント:
120/70ZR17
リヤ:
180/55ZR17
180/60ZR17
190/50ZR17
190/55ZR17
200/55ZR17
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