アメリカ生まれの初心者に優しいハイグリップ

ダンロップ スポーツマックス Q4 の試乗インプレッション【多様な乗り方を受け付ける懐の深さ】

  • 2019/5/3

USダンロップの手により、スリックタイヤのテクノロジーを駆使して開発されたというスポーツマックスQ4。しかしその謳い文句とは裏腹に、温度管理のシビアさやコーナリングの神経質さとは無縁の、ビギナーからエキスパートまでオススメできるタイヤだったのだ。

TEXT:Tomohiko NAKAMURA PHOTO:Tomonobu FUCHIMOTO

積極的なライディングで抜群の旋回性を引き出す

詳細は後半の解説をご覧いただくとして、サーキットを重視して開発されたQ4は、本来ならスーパースポーツで性能を実感するべきタイヤである。それが今回は、スポーツネイキッドでテストを行ったのだが……。すべての性能を出し切れたとは言えない。でも現在の僕は、かなりのところまで、Q4の魅力が理解できたと思っている。

順を追って説明すると、Q4の美点その1は温まりの早さだ。この種のタイヤの定番であるウォーマーを使わなくても、Q4は走り始めて数分で、ヨシ、行ける、という気分になれる。続いて述べたい美点その2は、タイヤからの要求、こう乗れという主張が希薄なこと。試乗開始直後の僕は、コーナー進入時のブレーキの残し方や、立ち上がりでアクセルを開けるタイミングを、いろいろと試したのだが、Q4はどんな乗り方でも、素直でわかりやすい反応を見せてくれる。あえて言うなら、浅いバンク角で曲がりたがる傾向はあるけれど、少なくとも僕にとって、その挙動はマイナスではなかった。

DUNLOP SPORTMAX Q4

そんなわけで、Q4はハイグリップ初心者でも臆することなく楽しめそうなタイヤだが、僕がそう感じる要因としては、知らず知らずのうちに速度が上がり、知らず知らずのうちに前後輪に理想的な荷重がかかっている、美点その3がある。いや、実際には知らず知らずではなくて、走り込むうちに、コーナー進入でかなりの無理が利くこと、バンク中に何をやっても破綻の気配がないこと、路面のギャップを起因とする細かいフレや上下動があっという間に収束することなどが分かるから、まだまだ攻められる! という気持ちが芽生えて来る。しかし、前述したように、その際にタイヤの特性に歩み寄る意識は必要ない。あくまでも主導権は乗り手側にあって、やるべきことをやれば、旋回性や加速で素晴らしい反応が返って来る、という印象なのだ。

つまりQ4には、乗り手を自然に導いてくれるかのような、懐の深さが備わっていて、一部のハイグリップタイヤのような難しさや、スポーツネイキッドとの相性の悪さは、まったく感じられなかった。これからサーキットデビューを考えている人にも、エキスパートなライダーにも、自信を持ってオススメしたくなるタイヤである。

【左右のエッジに製品名を刻印】エッジに製品名を刻むのは、近年のスポーツタイヤの流行。新品時のリヤは、外周に巻き付けられたジョイントレストレッドが確認できる。

Point1. α-13SPとは異なる特性

アメリカで開発・生産が行われるQ4は、公道も走れるレーシングタイヤ。ダンロップにはすでに同様の製品として、α-13SPが存在するけれど、軽快な乗り味が特徴のα-13SPに対して、Q4はライダーの積極的な操舵やガッチリした手応えを重視して開発。

【左の円】バンク角が浅くなるに従い、横方向から縦方向に移行する、タイヤに発生する力に合わせた溝形状を採用。あらゆるバンク角で、最適な接地形状により耐摩耗性能を確保。【右の円】長く細い溝形状が、効率的な排水を実現しながら、十分な接地面積を確保。

リーンアングルとトレッド面のランド/シー比を示すグラフ。バンク角50 度の時点で溝面積はわずか1%になる。最大バンク角は溝付きタイヤとしては驚異の62 度。

Point2. アメリカ生まれの新技術

フロント:2CUT、リア:HES-JLBという構造は、日本で販売されている他のダンロップ製スポーツタイヤと同様だが、サイドウォールを補強するCFTやモノプライの軽量ナイロンカーカス、リアに導入されたジョイントレストレッドなどは、Q4ならではの技術だ。

ジョイントレスベルト(JLB):アラミド繊維。/モノプライ軽量:ナイロンカーカス。/カーボンファイバーテクノロジー(CFT):カーボンファイバーをサイドウォール部のビートエイベックスゴムに配合。/ジョイントレストレッド:タイヤのカーカスに直接連続したトレッドゴムが巻き付けられている。

Point3. スリックに匹敵するグリップ力

ドライグリップを重視しながら、コンパウンドは低温時の扱いやすさにも配慮。レーシングスリックと同様のフィーリングを得るため、リアにはシリカを含まないフルカーボンコンパウンドを採用。

[1]タイヤウォーマー不要の温まりの良さ。さらに低温域ではレースタイヤよりも強いグリップを発揮。[2]Q4の新型コンパウンドは、従来のハイパースポーツタイヤのグリップを全域で凌駕する。[3]スポーツツーリングタイヤは、Q4には含まれないシリカが配合され、摩耗に優れるがグリップは低くなる。

Point4.プロファイルは旋回性を重視

USAダンロップが独自の技術で設計したプロファイルは、コーナリング中の応答性と接地面積の拡大を重視。多種多様なライダーの要求に応えるため、リヤ用の180と190には2種類の扁平率を設定する。

※Q4は180/60ZR17と200/55ZR17も用意する。これらのサイズを標準サイズとする欧州車に対応。

サイズラインナップ

フロント:
120/70ZR17

リヤ:
180/55ZR17
180/60ZR17
190/50ZR17
190/55ZR17
200/55ZR17

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)