2月23、24日にオーストラリア・フィリップアイランドで行われたスーパーバイク世界選手権の開幕戦で、昨年までのMotoGPからスイッチしてきたアルヴァロ・バウティスタがパーフェクトウィンを達成した。
バイクとライダーがそれぞれポテンシャル開放
まさしく完全なる勝利。レース1、レース2を大差で制したアルヴァロ・バウティスタは、日曜午前中に行われたスーパーポールレースでも勝利を挙げ、デビューイヤーとなったパニガーレV4Rに最高の結果をもたらした。パニガーレV4Rをデビュー早々のパーフェクトウィンに導いたバウティスタは、昨シーズン中盤には’19年からスーパーバイク世界選手権にスイッチすることが決定していたが、’18年にも型遅れのデスモセディチGP17でランキング12位に入るなど、時折光る速さを見せていた。そのポテンシャルはドゥカティ・MotoGPチームマネージャーのジジ・ダリーニャからも高く評価されており、それを証明するように、’18年の第17戦フィリップアイランドでは、怪我で欠場していたホルヘ・ロレンソの代役としてファクトリーマシンを駆り、トップと4秒差の4位でフィニッシュしている。
一方、バイクのほうも注目されていた。ドゥカティ・パニガーレV4Rはシーズン開幕前から下馬評が高く、特に16500rpm(6速時)という常識外れの最高回転数は’19シーズンのレギュレーションにどう影響を与えるのか注目されたほど。これについては通常のレブリミットが16000rpmであることが考慮されてか、最終的に16350rpmに落ち着いている。同年デビューとなった新型BMW・S1000RRのリミットは14900rpm(市販車は14475rpm)。そして昨年まで4連覇を達成しているカワサキは、Ninja ZX-10RRが新型として登場、市販車の最高回転数が14300rpmに高められていたこともあって、前年開幕時の14100rpmよりも500rpm高い14600rpmにリミットが設定された。
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土曜日の予選=スーパーポールはJ.レイが首位
スーパーバイク開幕戦は、23日(土)にスーパーポール(予選)とレース1が行われた。ここで首位に立ったのはディフェンディングチャンピオンのジョナサン・レイ(1分29秒413)。そして2位には同じカワサキを駆るレオン・ハスラム(1分29秒624)が入り、バウティスタは3位(1分29秒729)となってフロントローを確保。ちなみに2月18、19日に同じフィリップアイランドサーキットで行われた公式テストではバウティスタが両日ともトップタイムを記録していた。
レース1はバウティスタがいいスタートを切り、レイとハスラムが続く。これにアレックス・ロウズ(ヤマハ)やカワサキから移籍したトム・サイクス(BMW)らが追いすがりつつトップ集団を形成する。4ラップ目にはハスラムがレイをオーバーテイクしたものの、13周目の4コーナーでクラッシュ。レイが2位を走り、ロウズが3位となるが、4位につけたマルコ・メランドリ(ヤマハ)が虎視眈々とトップ3入りを狙う。
最終的にはバウティスタが2位のレイに15秒近い差をつけてゴール。ロウズをかわしたメランドリは僅差の3位で逃げ切った。
ここで明らかになったのがV4Rとバウティスタによる圧倒的な速さだ。レース中のラップタイムでは、ただひとり1分31秒を切る1分30秒884を記録し、2位でゴールしたレイの1分31秒453と比べてかなり速いうえ、レースタイムでは14秒983という大差をつけている。また、ラップタイムでは2番手となるロウズ(4位)だが、1分31秒162を叩き出してもレースタイムでは16秒984の差をつけられており、平均すると1周あたり0.7秒以上もの遅れを取っていることになる。
日曜日も支配したA.バウティスタ
2月24日(日)にはスーパーポールレース、そしてレース2が行われた。スーパーポールとは10周で争われるスプリントレースで、これがレース2のグリッドを決める予選も兼ねているというもの。優勝した際には12ポイントが付く(通常のレースは25ポイント)。これを制したのは、またもバウティスタだった。
グッドスタートを決めたバウティスタは、数コーナーを経たあとにはトップに立った。しかし4周目にレイがトップを奪い返し、6周目にバウティスタがまたもトップに立つなど熾烈なバトルが展開される。3位争いにはハスラム、マイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)、ロウズの3人が名を連ね、メランドリとサンドロ・コルテセ(ヤマハ)が追う。……が、レースは8周目に多重クラッシュによる赤旗で突然の終了となった。ファステストラップを記録したのはレイで、1分30秒075。バウティスタは1分30秒123、ハスラムは1分30秒639だった。
スーパーポールレースの順位を反映したグリッドからスタートしたレース2は、さらにバウティスタの速さが際立った。スタートから速さを発揮しただけでなく、一時は2位以下に18秒以上もの差をつけたあとにペースを落とすほどの余裕を見せつけたのだ。レイは12秒195差で3レース連続の2位となり、これにハスラム(12秒454差)、ファン・デル・マーク(16秒574差)、ロウズ(16秒859差)、メランドリ(17秒329差)と続いた。ファステストラップはバウティスタの1分30秒573、続いたのはハスラムの1分30秒838で、この2人だけが1分30秒台を記録している。
開幕戦を見る限りでは、今シーズンのバウティスタには手が付けられないのではという感じもするが、サーキットによる得手不得手のほか、このまま上位の成績が続けば回転数上限が引き下げられることも考えられる。レイやハスラム、そしてヤマハ勢が黙っているわけもないだろう。’19年のスーパーバイク世界選手権は、いつになく熱い!
ヤマハYZF-R6が表彰台を独占!
ワールドSSP(スーパースポーツ)はヤマハが強い。表彰台だけでなく5位までがYZF-R6となり、6位にカワサキNinja ZX-6Rを駆る日本人ライダーの大久保光が入る健闘を見せたものの、トップ10のうち7台をYZF-R6が占めることになった。こちらは1レースのみの開催となったが、次戦以降はヤマハ艦隊に他メーカーのライダーがどう立ち向かうかがテーマとなりそうだ。
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