ヨンフォア(CB400FOUR)へのオマージュなどをあしらいつつ、新世代のCBらしさを“ミドルスポーツ・ロードスター”として表現した「CB650R」が、ホンダドリーム店で2019年3月15日より発売される。兄弟車のCBR650R同様、従来のCB650F→CB650Rへと名称が変わり、まったく違ったモデルへと生まれ変わっている。
王道ネイキッドをスポーツバイクに融合
2018年春に先行して発売された兄弟車のCB1000R、CB250R、CB125R(海外仕様にはCB300RとCB150Rも存在)は、ネオスポーツカフェコンセプトを具現化したモデル群だ。それらに新世代CBとして与えられたミッションは、スポーツバイクの根源的な楽しさの追求、そしてスポーツバイクらしいたたずまいを実現することだったように思う。誰もが『CBである』と認めるためには、やはりどこかにCBの伝統的なデザイン要素を盛り込まなければならないだろう。それでいて新しさを表現しなければならないのだから、デザイナーの苦悩はいかばかりだったろうか。
現在のCBらしさのひとつには、かつてのCB1100RやCBX400Fなどに見られた力強い燃料タンクの造形がある。それはCB1000スーパーフォア/CB400スーパーフォアに受け継がれ、現在もCB1300シリーズやCB1100シリーズがそうした要素を持っている。もうひとつは王道ともいえる丸目1灯のヘッドライトだろう。これらを最新スポーツバイクと融合させたのが、新世代CBと言っていいだろう。
ユーザーもこうしたCBらしさを受け入れ、特にCB250Rは販売好調。CB125Rも同クラスの中では堅調だと聞く。ただし、最新の電子制御をテンコ盛りで採用したCB1000Rは、中身を考えればけっして高いわけではないものの、やはり164万520円という価格は手が届きやすいとはいいがたく、やや高嶺の花になってしまっているのも事実。そこで1年遅れで登場したCB650Rこそが、あらゆる意味でベストバランスなのではないか、というのが、これまでの流れや詳細な資料を見て感じられたことだった。
FからRとなり、CB1000Rの兄弟車として新生
新しい車名はCB650Rだが、その前身は2015年に登場したCB650Fだ。648ccの直列4気筒エンジンを搭載し、スーパースポーツのエンジンを転用したモデル作りからは一線を画した新世代ネイキッドとしてリリースされたFだったが、CBらしさという意味では王道から外れており、兄弟車のCBR650Fと同様に少し地味な存在になってしまっていた。
しかし、車名がFからRになるとともにデザインコンセプトを大きく転換。先行デビューしていたCB1000Rなどの文法に則ることで、新世代CBとして生まれ変わったというわけだ。LEDの丸目1灯や倒立フォーク、ラジアルマウントキャリパーを新採用し、軽量化とマスの集中化に加えてエンジンのパワーアップとレスポンス向上。これらにより、スポーツバイクの根源的な魅力を打ち出している。
中でも注目したいのは、その価格だ。95馬力という十分なパワーに加えて前述の充実した装備、そしてかつてのCB400フォアをオマージュした流れるようなエキゾーストパイプの取りまわしなどにより、兄貴分のCB1000Rにも見劣りしないデザイン性の高さ。これで100万円を切る価格設定なのだから、相当に魅力的といえる。もちろん、スペックシートやコンセプト資料を読み解く限り、あらゆる場面での扱いやすさとスポーティな爽快感を得られるのは間違いないだろう。こうしたことを併せて考えるほどに、やはりこれこそがベストバランスCB-Rなのではないか、と思えてならない。
走りを磨き上げ、軽量化を促進する車体
車重は従来の208kgから202kgへと6kgの軽量化を達成。またヘッドライトまわりやテールまわりを短く切り詰め、各部パーツもコンパクト化することでマスの集中化を図り、運動性能を向上している。このマス集中化プロポーションが、新世代CBとしての独自性を表現することにも貢献した。足まわりはバネ下重量低減を図った倒立フォークと、併せてラジアルマウントキャリパーを採用することでライディングフィールを向上。フレームなどは双子の兄弟ともいえるCBR650Rに準じた変更を受けている。
官能的な直4フィールを追求したエンジン
従来のCB650Fから排気量648ccはそのままにパワーアップ。90ps/11000rpm→95ps/12000rpmと、5psの出力向上とともに発生回転数は1000rpmと高められた。最大トルクも発生回転数を8000rpmから8500rpmへとやや高回転化。これにより、スムーズな低中速から胸のすくような高回転域の吹け上がりへとつながっていく。
エアクリーナーボックスは新設計となり、吸気充填効率を向上。ただし、ツインラムエアダクトを採用したCBR650Rと異なり、こちらはストレート吸気となっている。また、新たに採用したアシストスリッパークラッチにより、クラッチレバーの操作荷重を軽減させるとともにシフトダウンにともなう急激なエンジンブレーキによる後輪のホッピングも抑制。ホンダセレクタブルトルクコントロール(トラコンに相当)も新採用し、駆動力のかけすぎによる後輪のスリップも緩和している。このトラコンは左ハンドルのスイッチ操作でオン/オフの切り替えも可能となっている
普遍的なCBであると同時に新世代であること
新世代CBシリーズのミドルクラスを担うモデルとして、シリーズ各モデルと同様に先進性と普遍的なCBらしさを融合したのがCB650Rだ。鋭くエッジを利かせた稜線と、しなやかな凹曲面を組み合わせた面構成により、コンパクト&ダイナミックなイメージに統一を図った。その他の装備としては、急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させるエマージェンシーストップシグナルを新採用。また、新設計のメーターは軽量コンパクト化を図ったフルフラットデザインとなった。ギヤポジションインジケーターなどの機能も追加されている。
ニュース提供:本田技研工業
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