2018年7月16日と9月24日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念ということで市販製品特別走行が実施され、ホンダの黎明期から現在までのエポックメイキングなモデルが走行を披露した。本稿ではナナハンNo.1モデルのCB750F(FZ)について紹介しよう。
’70年代に決別、新しいデザインと高性能
’70年代を通してカワサキZが世界的に高い人気を誇ったのは紛れもない事実であり、対するCB750フォアが劣勢を強いられたのもまた事実だ。しかしホンダも黙って見ていたわけではなく、’75年には日本初のリッターマシンとなるGL1000をリリース。さらに欧州で人気の耐久選手権にワークスレーサーRCBを参戦させ、これは「無敵艦隊」と呼ばれるほどの強さを誇った。このRCBはCB750フォアを基に開発されたが、そこで得られた成果を市販車に反映させたのがCB750F/900Fである。
エンジンは待望のDOHC4バルブ空冷4気筒。すでに6気筒1000㏄のCBXや保守的なフォルムのCB750Kがあったため、欧州市場には900ccが投入された。軽量かつバランスの良い車体も特徴で、低く構えたジュラルミン鍛造のセパレートハンドル(北米仕様はバータイプのアップハンドル)やアルミのコムスターホイール、リヤのFVQダンパーも当時先進の装備だった。さらに新しいスタイルも考案された。タンクからサイドカバー、そしてリヤスポイラーを思わせるテールカウルへと流れるようなデザインはフローイングラインと呼ばれ、好評を博したのである。
こうして’79年型として欧州に投入されたCB900Fは爆発的に売れ、日本国内ではCB750Fとして’79年6月から発売開始、何と’79~’81年の3年間、独走のトップセールスを記録した。エフはZの存在を乗り越え、’80年代につながる一時代を築いたのである。
ヨーロッパ育ちの”レーサーレプリカ”
’67年限りで世界GPから撤退したホンダは’76年、ロードレースに復帰した。その舞台はヨーロッパの耐久レースで、市販車がベースとなるのがGPとの大きな違いである。そこで開発されたワークスマシン「RCB」はCB750フォアの設計をベースにDOHC4バルブヘッドが与えられ、排気量は997ccまで拡大。出力は120psを発揮した。そして、’78年まで無敵の強さを誇ったRCBと同じDOHCヘッドを搭載したCB900Fが同年末にヨーロッパでデビュー。スケールダウン版の750Fは’79年6月に国内で発売された。アルミコムスターホイールにチューブレスタイヤ、トリプルディスクブレーキなど全面的に当時最新鋭のパーツを奢り、ライバルマシンに対抗した。まだレプリカという言葉がなかった時代、RCBを基に生まれたFはその先駆けと言えるだろう。それだけRCBと並んだFの宣伝写真はインパクトのあるものだった。
取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパ
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