ホンダコレクションホール20周年特集⑬

集合マフラーのヨンフォア、DREAM CB400FOUR(ドリームCB400フォア)が走行

2018年7月16日と9月24日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念ということで市販製品特別走行が実施され、ホンダの黎明期から現在までのエポックメイキングなモデルが走行を披露した。

カフェレーサースタイルの斬新なデザインも秀逸

免許制度改正時期にリリースされ、図らずも「400」の元祖となったのがこのマシン。ナナハンの代名詞となったCB750FOURに続き、CB500FOUR、CB500FOURとホンダは、1972年までに3種類の4気筒CBをラインナップしていた。ところが、350については、コンパクトで扱いやすい反面、加速感が足りない、迫力に欠けるという指摘もあり、インラインフォアの末っ子のあるべき姿を原点から検討し直すことになった。そこでイメージされたのは、陸上選手のような「動」、つまり俊敏なキャラクターで、750の「剛」、500の「静」と明確に区別されることになった。

408ccに拡大されたエンジンと4into1集合の斬新なスタイルから人気となったがデビューの約1年後、1975年10月から400ccまでの中型限定免許が導入され、大ヒットとはならなかった。後期型では398ccのフォア-Iとフォア-IIのバリエーションも用意されたが、1977年5月に生産が終了した。しかし、その直後から、中古市場で価格が高騰。今に至るまでユーザーの心に残る強いインパクトを放ったのである。

【HONDA DREAM CB400FOUR 1974年12月】CBスーパースポーツの原点に返り、欧米に流行の兆しがみえたカフェレーサースタイルや、4本の排気管を1本のマフラーに導いた集合排気システムをいち早く採用し高い人気を得た。■空冷4ストローク4気筒OHC 408cc 37ps/8500rpm 183kg 4キャブレター 6段変速
【HONDA DREAM CB350 FOUR 1972年】CB750FOUR(1969)、CB500FOUR(1971)に続く4気筒シリーズで、クラス最高級車として、豪華な機能と外観をもつ長距離ツーリングバイクとしてリリースされた。■空冷4ストローク4気筒OHC 347cc 34ps/9500rpm 170kg 4キャブレター 5段変速

集合マフラーは性能面でもメリット

4気筒エンジンは、4つのシリンダーからの排気ガスを大容量集合チャンバーにまとめ、マルチエンジンの爆発順序によって他のシリンダーの排気を促進することにより、より大きなパワーを発揮するだけでなく相互の排気干渉によって消音効果も発揮する。エンジンは重量を2気筒350㏄並みにすることを目標にし、軽量化と耐久性の両立を実現したCB350FOURをベースに開発。排気量アップによる熱対策として、シリンダーおよびシリンダーヘッドのフィンを各1枚追加し、フィンの外周を拡大している。

量産車初の集合マフラーにより出力特性の改善と排気音の低減がはかられ、6段ミッションの採用による各ギヤにおける駆動力向上などと相まって、優れた加速性能を発揮。マフラーは、集合部のチャンバー(1次膨張室)とマフラー(2次膨張室)から構成され、サイレンサー部分は鉄板ロール巻きテーパー管の新製法を採用することで生産性向上にも寄与している。

当時のカタログより。4into1のポイントとして「出力の向上、消音効果、さらに軽量化と機能美。量産二輪車に採用するための技術的難問を研究・テストの結果完成したホンダならではの高効率集合排気システム」としている。
CB750FOURではタンク横にあったイグニッションスイッチがメーター部へ。ヘッドパイプにはコンビネーションロック・アンド・スイッチを初めて採用しスイッチのキー操作でハンドルロックができるようになった。
CB350FOURの347ccから408ccにアップ(シリンダー内径を47mmから51mmに変更)したエンジン。408㏄から398㏄にしたフォア-I/IIは、ストロークを50mm→48.8mmに短縮して対応した。
上が1974年で下が1976年3月(後期)のカタログ。おまえは風だ。→おまえが好きだ。というキャッチコピーの変化も有名。’76年は398㏄のフォア-I/IIが加わり、バリエーションは3種類に。下段中央の2台がI/IIで、動画で走行しているはIIのスタンダードハンドル仕様となる。408㏄版とフォア-Iはセミフラットハンドルだった。

取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパン

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