2018年9月12日、BMWが南フランスのテストコースで自律走行が可能なR1200GSをメディアに公開。無人のバイクがコースを外れずに自律走行する驚きのパフォーマンスを実施し、バイクの安全と技術に関する未来の展望を提示した。
自立ではなく自律走行が現実に
大学院の技術者Stefan Hansと彼のチームによって開発されたこのR1200GSは、自ら加速しそのままテストコースのカーブをコーナリングし静止するまで減速する。サイドスタンドはあらかじめ下ろされており倒れることもない。その様子は動画で確認できるが、まるで透明人間がバイクを操っているような異様な光景だ。
2017年1月には、ホンダがライディングアシストでバイクが自立&自走する様子を公開し、その年の10月にヤマハがモトロイドでバイク自ら起き上がり自走する様子を公開。また、ロボットがYZF-R1Mを操作するモトボットは200km/hでの走行も可能となっている。よって、この手の技術はすでに珍しいものではなくなりつつあるが、無人のバイクがそれなりのスピードで自律走行している様子をリアルな形で目撃するのは今回が初めてと言っていいだろう。
ただし、BMWの実験機は、スタート時には人が支えているので自立はできない様子。単体で起き続けることができるホンダやヤマハとはこの点で異なるが、無人(無ロボット?!)でも通常レベルに近い走行が可能だということが示された事には大きな意味があるだろう。
目的は安全性の向上
BMWは、この開発で完全に独立したバイクを目指すのではなく、バイクをより安全で快適なものにするためのシステムや機能のプラットフォームとして活用するという。実験機の目的は、危険を早期に検出するためにライディング動力学に関する知識や経験を蓄積し、ライダーがコーナリングしている時やブレーキングしている時などに適切な安全システムでサポートすることとアナウンスされた。つまり、目的は自律運転ではなくバイクの安全性能の向上にあり、いざという時にバイクがアクシデントを回避してくれるレベルが、現在のABSなどから飛躍的な発展を遂げる可能性もありそうだ。
ニュース提供:BMW Motorrad
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