熾烈化する原二~軽二輪スクーターの覇権争いにヤマハが主力機とそして投入するのがマジェスティS(155cc)とNMAX155ABS、NMAX ABS(125)の3車。2018年型新型PCX/PCX150と比較試乗した時のインプレッションをお届けしよう。 ※ヤングマシン2018年6月号(4月24日発売)より
【NMAX155ABS】ハイメカVVCを搭載、ABSを標準装備
フロアトンネルを持つボディデザインからも分かるように、PCX150と直接のライバルとなるのがヤマハのNMAX155だ。15psを発揮するエンジンは可変バルブVVCを採用。ホイール径は前後13インチで、ブレーキは前後ともにディスク。ABSを標準装備し、車重はPCX150より3㎏軽い128㎏だ。NMAX155のフレームはPCX150と同じダブルクレードルと呼べるもので、高速での直進安定性は同等レベル。そして、ハンドリングについては乗り手が介在できる幅が広く、操縦次第で高い旋回力が引き出せる。どんな乗り方でもきちんと向きを変えるPCX150とは対照的で、たまにスポーティな走りを楽しみたいならヤマハが合うだろう。
ブルーコアエンジンは、VVCのおかげかスロットルの開け始めから力強く、同じ15㎰を公称するPCX150よりもパワフルな印象。ブレーキは前後ともコントローラブルで、特に不満は感じなかった。燃料タンク容量がPCX150よりも1.4L少なく、通勤通学ではこれがネックになりそう。だが、価格は1万7280円安いので、初期の出費を抑えたい人にとっては、新しいPCX150と大いに迷う可能性は大だろう。
NMAX155 ABS主要諸元■全長1955 全幅740 全高1115 軸距1350 シート高765(各mm) 車重128㎏(装備) ■水冷4スト単気筒OHC4バルブ 155cc 15㎰/8000rpm 1.4㎏-m/6000rpm 変速機形式Vベルト式無段変速 燃料タンク容量6.6L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-13 R=130/70-13
【マジェスティS】車重が重く軸距も長めだが走りはスポーティ
フラットなフットボードを実現するアンダーボーンフレームに、前後13インチホイール&ディスクブレーキを組み合わせるマジェスティS。車重は今回の中で最も重い145kgで、軸距もNMAXより55mmも長く、さらにシート高は30mm高いなど、実は大柄な軽二輪スクーターだ。エンジンはボア×ストロークこそNMAXと同じだが、ブルーコア系ではなくVVCも採用していない。なお、最高出力は15㎰だ。
低速域からしなりが伝わるほどフレーム剛性は高くはなく、また前後サスの動きも硬いが、不思議と接地感やグリップ感が高いのだ。しかも、ホイールベースが長いのに向きを変えようとする意思が明瞭で、気が付けば積極的に操縦を楽しんでしまう。1軸1次バランサー採用のエンジンはスロットル微開からスムーズに反応し、開けた分だけパワフルに加速する。付け加えると、PCXよりも車重が15kg近く重いことを感じることはほぼなかった。高速巡航は明らかにPCXに軍配が上がるが、メットインスペースの広さや、新型になってスポーティになったフロントマスクなど美点は多い。ライポジがコンパクトなのも魅力的だ。
マジェスティS主要諸元■全長2030 全幅715 全高1115 軸距1405 シート高795(各mm) 車重145㎏(装備) ■水冷4スト単気筒OHC4バルブ 155㏄ 15㎰/7500rpm 1.4㎏ -m/6000 rpm 変速機形式Vベルト式無段変速 燃料タンク容量7.4L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70-13 R=130/70-13
【NMAX ABS(125)】VVCの作動音あり、標準ABSが強みだ
50km/h付近でかすかに聞こえるカチッというVVCの作動音がメカ好きの心をくすぐるNMAX。155と同様にABSを標準装備しており、タイプ設定のないPCX(125)に対しては大きなアドバンテージになろう。走りの印象は155と大きく変わらず、安定成分とスポーティさが共存している。アイドルストップなど装備の違いにも注目して選んでほしい。
NMAX ABS(125)主要諸元■全長1955 全幅740 全高1115 軸距1350 シート高765(各mm) 車重127㎏(装備) ■水冷4スト単気筒OHC4バルブ 124cc 12㎰/7500rpm 1.2㎏-m/7250 rpm 変速機形式Vベルト式無段変速 燃料タンク容量6.6L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-13 R=130/70-13
撮影:真弓悟史
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