Z900RSのベースとなった

2018新型Z900試乗インプレッション

海外では2017年モデルとして発売されていたカワサキのZ900が、国内仕様となって2018年4月2日に発売。従来逆輸入車としてラインナップされていたZ800の後継機で、このモデルからZ1000ベースに排気量ダウンしたエンジンを採用している。これがZ900RSのベースとなったが、果たして乗り味に違いはあるのか? 当WEB執筆メンバーの「いち」がレポートする。

ライバルはCB400SF?!

以前、Z900RSに乗った時「Z900RSは普通のバイク」とインプレしたが、そのベースとなったZ900はもっと普通のバイクに近づいていた。その印象は大きなエンジンを積んだCB400SFといったもので、サイズ感やライディングポジション、車重に大きな違いがない感じだ。また、制御の進んだ現代のエンジンは従順で扱いやすく、ここでもCB400SFの守備範囲をカバーする。もちろん、上の領域は段違いで125psを発揮する948ccの並列4気筒エンジンは6000rpmも回せばアグレッシブに加速し、そのあたりで吸気音は野獣系となりライダーを奮い立たせてくれるのだ。

試乗を終えて価格やスペックをCB400SFと比較してみたら、Z900は95万400円という大型の並列4気筒モデルで2番目となる安値を実現していた一方、CB400SFは同じABS仕様で86万6160円~というプライスになっていた。その差は8万4240円、車重にして9㎏だ。ビッグバイクがもてはやされた頃、モデルチェンジを重ねるCB400SFに試乗する度多くのライダーがその完成度の高さと扱いやすさに驚かされていた。それが今に至っては、扱いやすさを実現する技術も大きく進歩し、リッター直4ネイキッドでもCB400SFなみに扱いやすい仕上がりを実現している!? そして価格まで接近……という印象をZ900に持ったのだ。

シート高はCB400SFが755mmとなっているのに対しZ900が795mmなので4cmほどZ900が高いが、Z900はシート下がスリムにまとめられているので身長172cm、体重65㎏のライダーではほんの少しヒザが曲がるくらいの足着き性となっていた。Z900RSの厚みをもたせたネオクラスタイルのシートよりも足着き性はいいだろう。

【KAWASAKI Z900 2018年型国内仕様 価格:95万400円】この価格でABSを装備しつつETC2.0が標準装備となる。カラバリは、写真のキャンディパーシモンレッド×メタリックスパークブラックとパールミスティックグレー×メタリックスパークブラックの2色。

他の大型ネイキッドと比べるとどうなのか?

並列4気筒以外に目を向けると、Z900のライバルはMT-09だろう。MT-09の価格は100万4400円と近く、出力は116psとZ900よりも落ちるが並列3気筒エンジンのおかげで車重は193㎏と普通免許モデル並みを実現している。ただし、キャラクターは異なっていてMTは超アグレッシブ。軽さと押しの強い出力特性からくる走りは、バイクに飽きかけているようなライダーでも目を覚ますような元気印で人気となった。対してZ900は、4気筒の滑らかさと安定感がまず先にあって、高回転域でMT-09と同等かそれ以上のアグレッシブさを発揮するという2面性を持ったキャラクターだ。常用域でも熱くなりたいライダーだったらMT-09がいいだろう。他にはスズキのGSX-S750も価格は96万9840円とほぼ同じだが、排気量は749ccなのでここで大きな差がつく。

最後に、比較すべきはやはりZ900RSだろう。最も大きな違いは説明するまでもなくそのスタイル。それ以外の面で言えば排気音が全く違っていた。RSのエキゾーストノートはかなりワイルドで、それを聞きながら走るとハンドルやシート位置の違いもあり、大型バイクに乗っている満足感に浸れるのだ。Z900のポジションはコンパクトでライダーの位置も重心に近そうな感じなので、これまで述べた扱いやすさにつながると思われる。またエキゾーストノートもジェントルなのでライダーを急かさない。

【KAWASAKI Z900RS 2018年型国内仕様 価格:129万6000円/132万8400円(火の玉)】Z900RSは、2019年型も価格据え置き、カラバリそのままで7月1日に発売することが発表された。下段の左列はZ900のシートとマフラーだ。
こちらはZ900とZ900RSの出力特性の比較。RSのワイルドな排気音や厚いトルクは迫力を感じさせるものがあり、音も静かで高回転型のZ900は常用域はむしろ従順で扱いやすい印象を持たせる。

「編集部員が2018新型Z900RSをインプレ」記事はこちら