一般ライダーが街乗りした感想は?

編集部員が2018新型Z900RSをインプレ

2017年12月1日発売のZ900RSは、販売店に取材してもその人気は確実と言えるもの。その秘密を探るべくまずは試乗車に乗ってみることにした。果たしてどのような走りを見せてくれるのか? 当WEB執筆メンバー「いち」の試乗した感想をお届けしよう。

何がいいって音とフィーリングがいい

よく、WEBで排気音を流したりしているものの、最も重要なのはヘルメットをかぶりバイクに跨った時に聞こえてくるサウンドで、結局乗ってみるまで分からない。決してYouTubeでは伝えられないものだ。そして、初めてZ900RSに乗った感想はこれが「とてもいい」というものだった。信号待ちでアイドリングの時も、肉食獣が「ガルルルル」とうなっているような排気音にプラスしてエンジンから「カタカタカタカタ」メカノイズが聞こえてくる。ここで「カワサキだなぁ」と改めて悦に入ることができる。私は、1977年式のZ1000と1985年式のGPZ750Rに乗っていた時期があり、これらも「カタカタカタカタ」鳴っていた記憶が蘇ったのだ。ひょっとするとこの演出は狙ってやっている?! 発進すると直4サウンドは速度とともに音量を増して伸びあがっていき、ヘルメット越しでもしっかり聞こえて気分が高揚する。エンジンフィーリングは軽く、他のカワサキ車で言うとゼファー750のフィーリングに近かったかも知れない。私は、Z1系の重厚なエンジンフィールよりも軽い方が好みなので、音とフィーリングは言う事なしだった。

ライディングポジションは快適そのもので「キツい・不快」と感じられる要素がどこにもない。サイドカバーの部分が絞り込まれてシートから地面までストンと足を伸ばすことができる(身長172cm/体重65㎏でほぼべた足)。内股に何かが当たって不快と思う部分が全くなく、かなり意識して足着き性を追求した形跡が伺える。これは、徹底的に足着き性を向上させた2017年型Z650とNinja650に跨った時の感覚に似ており、カワサキ共通のノウハウがありそうだ。また、ニーグリップした時の内ももへのタンクの当たり方が絶妙でこれは味わったことがないもの。見た感じ横幅が広いという印象のタンクも、ライダーがバイクをホールドし人馬一体感が得やすいという意味では正解と感じられた。車重は200㎏を越えているが、コンパクトでさらにマスが集中した軽快さがあるので、ナナハンか400に乗っている印象だ。ハンドリングは全くクセもなく自然でサスペンションは質感が高かった。

Z900RSはいろいろと「気持ちいい」バイク。排気音、エンジンフィーリング、足つき、ニーグリップまでは本文で書いたが、このシートも低反発クッションのようなコシのある感触で「気持ちいい」。決して柔らかくはないが尻が痛くなるかは、長時間乗らないと分からない。荷掛けフックが左右で2つずつにキー式のメットホルダーも便利だ。

 

文字のデザインに気遣いが

これらは筆者が気に入ったポイント。メーターの数字のデザインはかつてZ1などに乗っていたライダーは懐かしく感じられるはず。数字だけでなくレッドゾーンの赤の入り方も古臭くて最高だ。サイドカバーの「900」の文字は1975年式Z1Bに似ており、あえて特殊なBの書体に似せるところが憎いし、こういったディテールが懐かしさを感じさせる仕掛けなのだろう。

 

Z900RSは普通のバイク

バイクデザインの原型となったZ1のイメージを踏襲し、素晴らしいフィーリングを感じさせてくれるのがZ900RS。Z1イメージ=スタンダードと言い換えることができるので、Z900RS=普通のバイクとなる。実際、Z900RSに乗って思い出したのはゼファーの存在で、1986年にゼファーの商品企画を発案し後の大ヒットの立役者となった中島直行氏がゼファーを「ただのありふれたバイク」と表現していたことだ。飛び抜けた特徴がある訳ではない、ただ街中やワインディングを気持ちよく走る。そういった存在として最も身近で長く付き合えるバイクだろう。

1989年に発売したゼファーの商品企画段階の資料。1987年当時のもので世はレプリカブームの真っただ中。左上の999=ゼファーとなるが、Z900RSの立ち位置もこの辺りで良さそうな印象だ。また、右下のコンセプトもそのままZ900RSに当てはまりそう。(ヤングマシン2008年10月号より)

いち

いち

記事一覧を見る

本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

この著者の最新の記事

関連記事