ひたすら4気筒で頑張ったスズキ

俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.3 スズキ編】

GS400EからGSX400Eへ。4バルブ化でパワーアップ!

1980年に登場したGSX400Eは、シリンダーヘッドの燃焼室形状を2つのドーム型にして、それぞれに吸気/排気バルブを配置(1気筒当たり4バルブ)。吸入した混合気が燃焼室内で2つの渦流を生んで燃焼効率を向上するTSCC(ツイン・スワール・コンバスチョン・チャンバー)を採用し、2バルブの前モデルから一気にパワーアップした。

1981年には4気筒のGSX400Fが発売されるが、2気筒のGSX400Eは軽量でパワフルなため、当初はレースでも好んで使うユーザーが少なくなかった。

1980年 GSX400E
4ストローク空冷2気筒DOHCエンジンは4バルブ化し、GS400より8psアップの44psを発揮。フロントフォークには制動時にフロントが沈むのを防ぐアンチノーズダイブ機構を世界で初めて装備。81年のマイナーチェンジでフロントブレーキをダブルディスクに変更した。

1981年 GSX400T
GSX400Eをベースに前後のタイヤサイズやライディングポジションを変更し、トラディショナルなスタイルが与えられた。他にアメリカンタイプのGSX400Lもラインナップされた。

1982年 GSX400E KATANA
1981年にセンセーショナルにデビューしたGSX1100S KATANAの流れを汲む、タンクやサイドカバーが連なるボディラインを纏う。エンジンやマフラーはブラックにペイントされ、前後のタイヤ幅が少し太くなっているが、基本的なレイアウトやスペックはGSX400Eを踏襲する。

ライバルを追従。スズキの4気筒400は集合マフラーを採用!

カワサキのZ400FX、ヤマハのXJ400に次いで、スズキも1981年にGSX400Fを4気筒戦線に投入。当時はボアが小径となる400ccの4気筒では4バルブ化が困難といわれたが、TSCCと合わせて4バルブ化し、クラス最高の45psを発揮した。

翌1982年には日本を代表するレーシングコンストラクターのヨシムラと共同開発したサイクロンクマフラーを装備したインパルスを発売。アップした最高出力はもちろん、レーシングタイプの集合マフラーの標準装備や、ヨシムラを彷彿させる赤×黒カラーも衝撃的だった。

1981年 GSX400F
空冷4気筒DOHC4バルブエンジンは、当時クラス最高の45馬力を発揮。トリプルディスクブレーキやANDF(アンチ・ノーズ・ダイブ・フォーク)を装着するなど足まわりも充実。

1982年 Impulse GSX400FS
ヨシムラと共同開発した4-1集合のサイクロンマフラーやオイルリザーバータンク(オイルクーラー)を装備して48psを発揮。アルミ製スイングアームやリヤブレーキのドラム化など徹底的に軽量化を図り、車重を171kgに収めた。

レプリカ前夜の水冷化。スズキは新機構も満載だった

空冷4気筒最強のGSX400Fをリリースするも、同年にはホンダがCBX400Fを発売。短期間で最強の座を奪われたスズキが、水冷方式の新型エンジンで勝負したのがGSX400FWだ。パワーはもちろん、ハイメカの足まわりなど新機構を満載。ツアラー傾向のルックスだが、スポーツ性も十分に高かった。

1983年 GSX400FW
新設計の水冷4気筒DOHC4バルブのTSCCエンジンは50psを発揮(84年の2型ではGSX-R同様の59ps)。角型・丸型併用のダブルクレードルフレームやアルミ角型スイングアーム、セミエア式のフロントフォークやリヤのフルフローターサスペンション、16インチの前輪やANDFなどシャシーも新機構を満載。写真のビキニカウル仕様の他に、フレームマウントのハーフフェアリング仕様もある。

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