2023年FIM EWC最終戦 ボルドール24時間レース終了。F.C.C.TSR Honda Franceの最終ランキングは4位。
9月16日(土)〜17日(日)にかけて開催された2023FIM EWC最終戦 ボルドール24時間レース。F.C.C.TSR Honda Franceは公式予選で3番グリッドを獲得。ポイントランキングでさらにライバルを引き離して決勝を迎えたが、レースは序盤から荒れた展開となった。
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公式予選1回目を2番手ポジションで終了。
公式セッション初日。午後に始まったフリー走行ではアラン・テシェが終盤に1分52秒893のベストタイムをマーク。3番手のポジションでセッションを終えた。
鈴鹿8耐直前に負傷し、ボルドールでの復帰に向けて治療に専念したジョシュ・フックは1分52秒9を連発して完全復活をアピール。チームベストこそアランに譲る形となったが、この後控えた1回目の公式予選に向けて順調な調整を続けた。
マイク・ディ・メリオはセッションを通じて1分53秒台の安定したタイムで走行。1分53秒070のベストをマークしてフリー走行を終えた。
夕方から始まった1回目の公式予選では、ジョシュが1分52秒654で3番手、マイクが1分52秒509で2番手、そしてアランは1分51秒台に突入。最終的に1分51秒707をマークしたアランはトップでセッションを終えた。これらの結果により、公式予選1回目の段階では暫定ながら2番手のポジションとなった。
グリーンライダーの大久保 光は1分57秒655をマーク。7番手でセッションを終了した。
シリーズチャンピオン2連覇に向け、3番グリッドから発進!
公式セッション2日目。チームは最終予選をマイク以外は走らないことを決定した。
そのマイクは公式予選1回目にマークした自己ベストからコンマ5秒ほどもタイムアップする1分52秒021をマーク。チームのアベレージタイムを押し上げることに成功した。
この結果、予選順位は3位となり、決勝レースをライバル#7 YARTの直前3番グリッドからスタートすることに。合計獲得ポイントは3ポイントを獲得してライバルをさらに引き離す141ポイントとなった。
12時間経過目前でエンジントラブルが発生、マシンをピットに。
スタート直前の雨でタイヤ選択がレース序盤の明暗を分けることになった。
前後にレインタイヤを装着し、スタートライダーを務めたマイク。トップグループでオープニングラップを通過したものの、コースコンディションが回復する中で早くも5周目にタイヤ交換を迫られた。タイヤ交換だけとはいえ、レース開始早々のピットインで32位へと大きく順位を落とさざるを得なかった。
レース序盤は、#7 YARTをトップに一進一退の攻防を展開していた。その後は# 7YART、#12 YOSHIMURA SERT、#37 BMWとの4台によるトップ集団が形成され、レースの3分の1経過となる8時間は、#7 YART、#12 SERTとバトルを展開しながら3位通過。10時間経過を前に#37 BMWがトラブルでピットインし、順位を落とす中、トップ3台は互いのピットインをはさんで順位を入れ替える攻防を続けていった。
序盤早々にSCカーが入ったものの、その後はアクシデントはあったがSCカーが介入する事態には至らず、どちらかと言えばレースは淡々と周回を重ね、トップ3も膠着状態といえる状態だった。
27周のルーティンでのライダー交代が進み、ジョシュの4スティントからマイクの次スティントへとチェンジ。12時間を目前にルーティン周回まで数周を残した周回で、マイクのマシンに不調が襲いかかる。モニター越しにもペースが上げられない様子が見て取れる状態。
マイクがその周でピットロードへ入る。しかし、その途中でマシンは止まってしまった。マイクはすぐマシンから降りて押して走るが、見かねた近くのメカニックが何人か手伝ってくれたのだ(感謝感謝)。ピットロードエンド側に陣取るF.C.C. TSR Honda Franceのピットからもメカニックが走り出しており、無事マシンはピット内に格納され、光の勢いでバラされた。
これがスタート後12時間経過まであと少しというタイミング、正確には11時間と50分ほどを経過した頃だった(時刻は17日(日)現地時間:午前2時52分)。フレームだけになるまでにバラされたマシンだが、その段階で原因の特定はできず、このまま続けることの危険性やリスクを考えた場合、レース続行は不可能と判断し、藤井正和総監督がリタイア宣言を出した。
残念ながら、連覇を目論んだ我々のEWC2023シーズンはここで終わりを告げた。
最終ランキングは149ポイントで4位となった。
開幕戦ル・マン24時間で優勝。続くスパ24時間では2位表彰台。鈴鹿8耐も3位と順調にポイントに積み上げてきたF.C.C. TSR Honda France。2位#7 YARTとの差を広げてポイントリーダーで迎えた最終戦ボルドール。シリーズチャンピオン2連覇をかけて臨んだこのレースではマシントラブルでリタイアを余儀なくされ、結果、連覇は儚い幻となった。
なお、EWCにはマニュファクチャラーズ(メーカー)タイトルも存在しており、各レース・各カテゴリーのマニュファクチャラー上位2チームのポイントを合算してカウントされる。
対象となるのは、Honda、Yamaha、Suzuki、Kawasaki、BMW、Ducatiの各メーカー。Hondaの場合は、EWCカテゴリーの#1 F.C.C. TSR Honda Franceと今季から加わった#333 HONDA VILTAÏS RACINGの2チームで獲得ポイントは217.5でトップ。この結果、Hondaが2023マニュファクチャラーズ(メーカー)タイトルを獲得した。
【ジョシュ・フック – ブルーライダー】
『この結果をすぐ飲み込むのはとても難しいね。優勝もその向こうにあるタイトルに向けていい位置にいたのに、残念なことにこういうことが起きてしまった。ただ、それを受け入れて来年に臨むしかない。チームは素晴らしい仕事をしてくれたし、僕たち3人共とても速かった。タイトルを逃した悔しさはあるけど、この週末、その中からはポジティブなものを得ることができたと考えている。だから、たとえ計画通りに終わらなかったとしても、今シーズンの流れにとても満足することができるんだ』
【マイク・ディ・メリオ – イエローライダー】
『残念なことに、レースの折返し手前でエンジントラブルに見舞われた。レース運びも給油もうまくいっていただけに痛恨の極みだよ。チャンピオンへの道も順調に進んでいたんだけどね。チームは今年、信じられないような仕事をしてくれた。全体のペースは昨年よりも良かった。勝つか負けるか、来年はリベンジを果たしたいね』
【アラン・テシェ – レッドライダー】
『大きな失望だ。開幕戦ル・マンで優勝し、他の2つでも2位と3位を獲得してた。レースでは飛び切り速くはなかったけれど、ウィークの最初から好調だったんだ。このレースを完走しなければ連覇はならなかったけど、残念ながらエンジンが壊れてしまった。でもシーズンを通してマシンの改良に励んでくれたチーム全員に心から感謝している。必ず、これまで以上に強くなって再び戻ってくるよ』