ホンダの新型パーソナル電動スクーター「EM1 e:」に10日間乗ってみた! 駅前にも停められる原付はやっぱり便利

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ホンダは、2023年8月24日に国内で初のパーソナル向け電動バイク「EM1 e:」を発売する。コンパクトですっきりしたデザインのEM1 e:は、50cc以下のガソリン車と同じ原付一種だ。『日々の生活スタイルにマッチするちょうどいいe: Scooter』とは、どのようなものなのだろうか?

●文:伊丹孝裕 ●写真:山内潤也 ●BRAND POST提供:Honda

Hondaが国内で初めて個人向けに発売する電動バイク

ホンダは、1994年から電動バイクを推進してきた。これまでは官公庁や自治体、法人向けの展開だったが、新たにパーソナルユースを目的としたホンダ初のモデル「EM1 e:」(イーエムワンイー)を発表。2023年8月24日に発売される。

EM1 e:は、『日々の生活スタイルにマッチするちょうどいいe: Scooter』をキャッチコピーに掲げ、幅広いユーザー層を想定している。したがって、2輪のみならず、普通自動車免許所持者でも運転できるよう、原付一種に区分されるスクーターとしてラインナップ。カーボンニュートラル実現の一環として、重要な下地を担うことになる。

そんなEM1 e:は、果たしてどんな乗り物なのか。先頃10日間ほど借り出し、現実的な使い方を想定して試乗してみた。

スタイリングは、とてもシンプルだ。機能と無関係な装飾やギミックはなく、清潔感のあるカラーリングも手伝ってクリーンそのもの。スイッチ類やメーターもそれに準じ、戸惑うことなく、すぐに操作できる。

発進までの手順もいたって簡単だ。キーをひねり、メーターの起動を確認した後は、ブレーキレバーを握ってスターターボタンを押すだけだ。この時、ガソリン車でないので、「キュルキュル、ブィン」とはならない。メーター上部に「READY」の文字が静かに点灯すれば、発進の準備が整った状態だ。アイドリング音もなにもなく、スルスルと動き出してもモーター音なのか、タイヤと路面との摩擦音なのかも分からない、かすかなノイズが聞こえるだけ。それすらも周囲に一台でも車があれば、かき消されてしまうほどのものだ。

シート高は740mm、車重は92kgを公称する。足つき性は極めて良好で、広いフットスペースが確保されたフラットフロア構造ゆえ、乗り降りや停車時の足の出し入れは容易だ。ホンダがラインナップする原付スクーター「ジョルノ」や「ダンク」に対して車体は11kg増となるが、重量物が低い位置に収められているため、直接比較しても大きなマイナスポイントにはならないはず。ハンドル切れ角は左右47°ずつもあり、狭い場所でも難なく取り回すことができる。

740mmの低シート高とスリムな車体のおかげで、足つき性も乗降性も楽々。92kgの車重は特別軽い部類ではないものの、押し歩きでも負担は感じない。

走りはガソリン車の原付スクーターと変わらない

ここで唐突に我が家の娘が登場する。今時の若者なので、顔をさらすことはNGらしい。19歳、大学一年生、身長150cm、愛車はクロスカブ110というスペックを提示しておくので、勝手に想像して頂きたい。愛車以外は、あの芦田愛菜さんとほぼ同一のスペックと言えなくもないが、過言も大概にしよう。

娘は日常的にクロスカブ110を使っているため、原付二種ならではの動力性能や利便性をよく知っている。逆に、これまで原付一種に、あるいはスクーターに乗ったことはなく、電動も未体験。アルバイトをしているファストフード店では、近々電動スクーターを使ったデリバリーも担当するらしく、ちょうどいい機会なので乗せてみた次第である。

いわく、「振動が全然なくて、静かで軽くて小さい。50cc以下の扱いなら駅前の駐輪場に留められるよね? だったら普段は、こっちの方が便利かも。信号から走り出す時もクロスカブなら足(ギヤチェンジ)が忙しいけど、これ(EM1 e:)は右手だけだし、最初にグンッと出るから楽かな。でも、ECONモードの時に登り坂だと、注意が必要かも」とのこと。

娘は自宅から駅までの片道2キロ近くを徒歩で往復している。帰りはいいとして、猛暑日の行きは、自宅から数百メートルも歩かない内に汗だく。そのまま電車に乗るのは、さぞ不快なことと想像する。駅前の駐輪場は50cc以下に限定しているところが多く、125ccまで認められていても料金が高かったりする。EM1 e:なら快適な通勤通学の足になり、往復4キロならバッテリーの航続距離に対する不安もなく、充電の頻度もさして多くないはずだ。

とはいえ、もう少し距離を伸ばした環境でバッテリーはどれくらい持つのか。それを検証するため、自宅と以前の仕事場までの往復15キロの道のりを走ってみた。神奈川県と東京都を結ぶ国道をメインとし、途中で多摩川に架かる勾配のきつい橋を通過。その前後には狭い生活道路が入り組んでいる。

スロットル微開域でのレスポンスのよさは、電動特有のもの。街中におけるストップ&ゴーを難なくこなし、ストレスのない加速を提供してくれる。

静粛性の高さはやはり素晴らしい。早朝でも深夜でも気兼ねなく乗ることができ、環境や周囲の生活に対して優しい自分になれている気がする。信号待ちで音も振動もまったくない状態で停車していると、普段なら気にならない周りの排気音や排圧、臭いが、より強調されて体に伝わってくるのが発見だった。そのため、エンジン車に戻った時に、運転がより丁寧なものになるなど、意識が少し変わる。

スロットル開け始めのレスポンスはほどよいもので、必要なスピードまでスムーズに加速。車線の合流時もことさら気を遣ったり、タイミングを図ったりする必要性はなく、法定速度+αの速度域なら水冷4ストロークエンジンの50ccスクーターと比較して遜色はない。

こうした登り坂に遭遇した時、ECONモードのまま進入すると力不足を感じざるを得ないが、STDモードを選択すれば解消される。

登り坂にさしかかると、さすがにそのままグイグイ加速したりはせず、スピードを維持するにはスロットル開度が大きくなるものの、これはエンジン車でも同じ。山道を越えていくような通勤通学路には適さないだろうが、都市近郊の環境なら、その用途に充分応えてくれるはずだ。

もっとも、これらはモーターの出力モードが「STD」の時の話である。EM1 e:には、その特性が切り替えられるボタンが備わり、もうひとつが「ECON」と呼ばれる省電力モードだ。こちらを選択すると、加速が格段に穏やかなものになり、その代わりにバッテリーの消費電力を抑制してくれる。

これはスピードリミッターではなく、出力を制限するものだ。平地ではスロットルを全開にしても32~33km/h(メーター読み)にに抑えられ、登り坂になると、その勾配によって速度は低下していく傾向だ。モードの切り替えは、スロットルを一端閉じれば走行中も可能なため、場面に応じて、スピードを維持して交通の流れに乗るか、それともバッテリーの残量を優先するかを選択するといい。

走りの実力を数字でチェック! 心軽やかに乗り続けられる

では、既述の行程でどれくらいバッテリーを消費するものなのか。往復15キロを2回連続でこなした時のSTDとECONそれぞれの残量が下記の通りだ。

1往復目(距離15km)2往復目(距離30km)
STD72%42%
ECON76%50%
 

いかがだろう。出力特性が大きく変化する割には、バッテリー残量にはそのイメージほど極端な差が出なかった。基本はSTDで走り、徐行が必要な狭い生活道路や、逆に他車につられて制限速度を大きく超えてしまう可能性がある幅広の道路では限定的にECONを選ぶ、というスタイルがおすすめだ。1回当たりの走行距離にもよるが、電動の場合はバッテリー残量が50%を切ると心理的な不安が徐々に出てくるのではないか。それを踏まえると、充電の頻度は30キロ~40キロ走行毎が良いと思う。

ちなみに、出力特性の変化を分かりやすく伝えるため、0-30km/h加速のタイムを計測した結果が、次の通りである。

0-30km/h加速
STD約5秒
ECON約10秒
 

簡易的な手計測なのであくまでも目安だが、その差がイメージできるはずだ。

バッテリーの充電方法だが、シート下に収納される「Honda Mobile Power Pack e:」と呼ばれる交換式バッテリーを充電器に差し込んで行う。これは一般家庭のコンセントに対応するもので、残量0%から100%までの充電は約6時間で完了する。

考慮しておくべき点は、バッテリーの重量が約10kgあることだ。駐輪スペースから部屋まで持ち運ぶ居住環境だと、それを抱えて往復する必要がある。バッテリーには取っ手が備わるが、同時に買い物袋を持つ機会が多い人、エレベーターが無いマンションの上層に暮らす人などは、その重量感をシミュレーションしておいた方がいいだろう。

価格は、車両本体が15万6200円、バッテリーが8万8000円、充電器が5万5000円の計29万9200円となる。現在、クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金の制度を活用すれば2万3000円、予備バッテリーを追加する場合はさらに2万円の補助があるほか、自治体独自の補助を受けられる地域もある。

さて、結論。冒頭で紹介した『日々の生活スタイルにマッチするちょうどe:Scooter』というホンダの狙いに対して、過不足のない仕上がりになっている。郊外まで足を伸ばすような使い方は想定しておらず、そこに対して航続距離を問題にするのはナンセンスだ。近距離移動に特化したコミューターとしては充分な完成度を誇り、エンジンを掛けないというだけで、気分が不思議なほど軽やかになることを実感した10日間だった。

Honda EM1 e:

主要諸元■全長1795 全幅680 全高1080 軸距1300 シート高740(各mm) 車重92kg■交流同期電動機 定格出力0.58kW 最高出力2.3ps(1.7kW)/540rpm 最大トルク9.2kg-m(90Nm)/25rpm バッテリー種類=リチウムイオン電池(Honda Mobile Power Pack e:)✕1 バッテリー電圧/容量 50.26V/26.1Ah ■ブレーキF=ディスク R=ドラム ■タイヤサイズF=90/90-12 R=100/90-10 ●価格:29万9200円 ●色:白、銀 ●発売日:2023年8月24日

直線を基調としたシンプルなデザイン。たたずまいに派手さや威圧感はなく、街中のどこに置いても溶け込む。

ブレーキはフロントにφ190mmのシングルディスク、リアにφ110mmのドラムを組み合わせる。コンビブレーキを採用し、右ブレーキレバー入力時はフロントのみ、左ブレーキレバー入力時はフロントとリアそれぞれに制動力を分散。安定した減速・停止が可能になる。

モバイルパワーパック(バッテリー)とPCU(パワーコントロールユニット)から送られた電力は、リアホイールに組み込まれたインホイールモーターによって駆動力に変換される。最高出力は、1.7kW(2.3PS)/540rpmを発揮。

フロントに500mlのペットボトルが収納可能なインナーラックとコンビニフックの他、USB Type-Aに対応する電源ソケットを標準装備する。

サイドスタンドの設定はなく、センターのみ。その操作力は標準的で、グラブバーに手を添えて、体重を掛ければ車体を簡単に引き上げることができる。

視認性に優れるシンプルな円形メーターを装備。時計/オドメーター/出力制限インジケーター/メンテナンス情報なども表示される。上部に見える「READY」部分がグリーン点灯していれば走行可能だ。

スイッチの種類や配列は、一般的なスクーターと変わりなく、操作しやすい。右側に備わるECON/STD表示が、出力モードの切り替えボタンだ。

動力源であるモバイルパワーパックはシート下に収納され、可倒式のレバーによって固定。斜めに後退して設置することによって、スムーズな脱着を実現している。

停車中はもちろん、走行中もほとんど無音と表現しても差し支えないほど静かだ。

狭い路地や住居そばでも、安心して通過することができる。エンジン車でいうアイドリングもないので、押し歩きの際に電源をオフにしなくても無音だ。

モバイルパワーパックの重量は、10.3kg。駐輪スペースと充電器の保管場所が離れている場合は、その手応えを試しておくことを勧めたい。

下町や都市、また自然の中にも無理なく溶け込む。

Honda EM1 e: スタイリング


※本記事はHondaが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。