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【29/31】【マン島TT 出張便り】世界に先駆けてバイクを進化させてきたイギリスの歴史がずらりと並ぶ博物館を見よ!

イギリスには今なお貴族が存在しているが、1980年代末から90年代前半にかけて政治家として活動していたアレクサンダー・ヘスケス卿は、大のモータースポーツ好きでもあった。1972年にはF1チームを起ち上げ、1975年までチームを率い、独自開発したマシンで年間4位という好成績を収めている。そんなヘスケス卿がイギリス製スーパーバイクを作り、イギリスのバイク産業を復興させるべく、1977年にバイクメーカーを設立して開発に着手。そして1980年に発表されたのがこのヘスケス・V1000だ。エンジンは4ストローク992cc空冷90度V型2気筒で、最高出力は83ps。乾燥重量247kg、最高速度120mph(約193km/h)。設計者は当初シャフトドライブを計画していたが、ヘスケス卿は商業的理由を考慮してチェーンドライブへと変更させ、結果としてコアキシャル構造(ドライブスプロケットとスイングアームピボットが同一)となった。車両価格は4500ポンド(BMW R100RSよりも1500ポンド高かったといわれる)で、およそ140台が生産された。奥に見える銅色のフェアリングを装備しているバイクは、ヘスケスV1000のツアラーバージョンであるヴァンパイアだ。