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イギリスには今なお貴族が存在しているが、1980年代末から90年代前半にかけて政治家として活動していたアレクサンダー・ヘスケス卿は、大のモータースポーツ好きでもあった。1972年にはF1チームを起ち上げ、1975年までチームを率い、独自開発したマシンで年間4位という好成績を収めている。そんなヘスケス卿がイギリス製スーパーバイクを作り、イギリスのバイク産業を復興させるべく、1977年にバイクメーカーを設立して開発に着手。そして1980年に発表されたのがこのヘスケス・V1000だ。エンジンは4ストローク992cc空冷90度V型2気筒で、最高出力は83ps。乾燥重量247kg、最高速度120mph(約193km/h)。設計者は当初シャフトドライブを計画していたが、ヘスケス卿は商業的理由を考慮してチェーンドライブへと変更させ、結果としてコアキシャル構造(ドライブスプロケットとスイングアームピボットが同一)となった。車両価格は4500ポンド(BMW R100RSよりも1500ポンド高かったといわれる)で、およそ140台が生産された。奥に見える銅色のフェアリングを装備しているバイクは、ヘスケスV1000のツアラーバージョンであるヴァンパイアだ。