カワサキモータースジャパンは、主に北米市場で人気を博しているオフロード4輪車「TERYX(テリックス)/MULE(ミュール)」を国内市場にも投入し、発売を開始した。サイドバイサイドなどとも呼称されるこのジャンル、日本ではあまり馴染みがないものの、ホンダやヤマハも展開するなど海外ではメジャーな存在。正式に国内導入するのは今回のカワサキが初の試みとなる。
●文:ヤングマシン編集部(マツ)
高いスポーツ性が自慢のテリックスシリーズ
導入されるの2は機種・各2グレードの計4モデル。まずテリックスは大自然やオフロードでスポーツ/レジャー走行を楽しむためのモデル。カワサキはRUV(レクリエーション・ユーティリティ・ビークル)と呼んでおり、強靭なシャシーや長いストロークのサスペンションが生み出す、高い走破性や優れたハンドリングが自慢のスポーツモデルだ。
このテリックスには、999ccの水冷並列2気筒(114ps)を積む2人乗りの「KRX1000」と、783ccの水冷Vツイン(58ps)を積む4人乗りの「4 S LE」がラインナップされており、2車とも駆動方式は2WD/4WDの切り替え式。トランスミッションにはCVTを採用している。
軽トラよりコンパクト“働くカワサキ”ミュール
もう1機種のミュールは実用性重視のモデルで、牧場や農場といった私有地で働く作業者がターゲット。453kgの最大積載量や907kgの牽引能力といった、プロツールとしての高い性能を有しながらも、全長は3385mmと日本の軽トラックよりも短く抑えられたコンパクトさも売りだ。
6人乗りの「PRO-FXT EPS」と、3人乗りの「PRO-FX EPS」の2グレードが設定されており、角断面パイプと高張力鋼板を組み合わせたラダーフレームや、そのリヤに搭載される812ccの水冷並列3気筒(48ps)、2WD/4WD切り替え可能な駆動方式、CVT+遠心クラッチ、ガスアシストで傾斜する荷台などは両グレード共通の特徴。FXTには後席を格納して荷台を拡張できる機構も採用する。
日本では誰が買う? どこで乗れる?
このオフロード4輪車は特にアメリカでは大人気で、今後も伸長が予測されるためカワサキも注力しているジャンル。2019年に7000億円程度だった市場規模は、2030年には2兆円に到達すると予測されており、現在の北米工場に加え、‘23年度からはメキシコの新工場でも生産がスタートするなど、カワサキも積極的な投資を行い、ビジネス上の強化ポイントに挙げているほど。
とはいえ、正直に言って日本での馴染みは薄く、さらに公道走行も不可とあって「どんな人が買うの?」と疑問を抱く向きもあるかもしれない。これに関してはカワサキ側も当初からガッツリ台数を売ろうとは考えてはおらず、日本でのユーザーや使い方を開拓しながら少しづつ販売を伸ばしていこう…というスタンスのようだ。
同様に、日本のユーザーにとってほぼ未知の乗り物だけに「一度見たい/運転したい」という声も多いはず。現状、取扱店は5県の計6店舗に限られているが、カワサキ側では取扱店のさらなる拡大に加え、一般ユーザーが試乗できる機会を検討しているとのことなので続報を楽しみに待ちたい。詳細は同社オフロード4輪のWEBサイトにて。