違和感のなさが 電サスの真骨頂
カワサキ ニンジャH2 SX SE+試乗インプレッション【攻めも長旅も許容。電サスの価値大だ】
- 2019/9/4

998ccのスーパーチャージド水冷直4を搭載するニンジャH2 SX。3グレードあるうちの最上位、電子制御サスやブレンボの最新キャリパーを採用する“SE+”に試乗した。スーパーチャージャーによるエンジンフィールは唯一無二であり、防風効果も十分以上。最上位グレードにふさわしい上質な走りだった。
(◯)3つの電子制御が連携。走りを強力にサポート
最高出力200ps、ラムエア加圧時には210psに達する998㏄のスーパーチャージド水冷直4。これを高張力鋼によるトレリスフレームに搭載するスポーツツアラーがニンジャH2 SXだ。現在、3つのグレードを展開しており、今回は今年2月から販売されている最上位モデルの“SE+”に試乗した。以前のタッチ&トライで紹介した(関連リンク参照)のは中間グレードのSEで、それとの大きな違いは、ショーワ製の電子制御サスペンションと、ブレンボの最新式フロントキャリパー、そしてブルートゥースチップ搭載によるスマホとの接続機能の採用だ。なお、SEとの差額は約38万円となっている。

【カワサキ ニンジャH2 SX SE+[2019]】主要諸元■全長2135 全幅775 全高1260軸距1480 シート高820(各mm) 車重262㎏■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ+スーパーチャージャー 998cc 200ps(ラムエア加圧時は210ps)/11000rpm 14.0kg-m/9500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量19ℓ ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=190/55ZR17 ●価格:277万5600円 ●色:灰×黒

「+」はH2 SXの最上級グレード
【写真上:ニンジャH2 SX(199万8000円)、写真下:ニンジャH2 SX SE(239万7600円)】グレードは3種類で、それぞれでカラーリングが異なる。スタンダードはコーナリングライトやローンチコントロールはないが、2019年モデルでクイックシフターがオプション追加可能となった。なお、エンジンスペックは共通。

【SEをベースに電子制御サスなどを導入】大型ハイスクリーンやプレミアムシート、グリップヒーターなどを採用する中間グレードのSEをベースに、ショーワ製の電サスやブレンボの新型キャリパーを導入。タンクおよびタンクカバー、サイドカバーにハイリーデュラブルペイント(自己修復塗装)を採用している。
まずは電子制御サスについて。これはライディングモードに連動しており、スポーツならハード、ロードならノーマル、レインならソフトに設定される。合わせてトラコンの介入レベルも3段階で変化し、さらにそれぞれを任意に調整できるライダーモードも用意されているのだ。
今回のテストでは主にロードモードを使用した。高速道路ではグレードの高い乗用車のように路面追従性が高く、荒れた路面の峠道でもその印象は変わらない。それでいてハードなブレーキングではノーズダイブを程よく抑えてくれ、スーパースポーツほど荷重を意識しなくてもスムーズに向きを変える。元々、SEもコーナリングマシンと言えるほど旋回力を楽しめるモデルだが、SE+はそこにイージーさが加わった印象だ。なお、走行中もモード変更ができる(リヤのプリロード調整は停車中のみ)ので、状況の変化に応じていろいろ試せるのも美点だろう。
ブレンボの新型キャリパーは、決して軽くない(ZX-14Rとの重量差はわずか7kg)SE+を強力かつコントローラブルに減速してくれるので、実に心強い。特にタイトコーナーが続く峠道の下りでフィーリングが安定しており、世界中でブレンボが支持される理由を実感する。

【「+」はブレンボ装備】各社の最新スーパースポーツがこぞって採用しているブレンボ製の“Stylema”を標準装備。よりダイレクトなレスポンスが特徴だ。
最上位グレードにふさわしい上質な走りを手に入れたSE+。スマホとの接続機能はツーリングの記録を残す上でも実に便利だと感じた。

リヤのプリロードをシート高が最も低くなる“ソロ”に設定した状態。足着き性は良好かつハンドルも近いので全体的にコンパクト(身長175cm 体重62kg)。
セミアクティブサス「KECS」を搭載

ZX-10R SEに採用されたKECS をH2 SX向けにアレンジ。ショーワ製φ43㎜倒立式フロントフォークと、同BFRCライトリヤショックで構成され、前後に10Rと同じストロークセンサーを内蔵。0.001秒毎に動きを検知する。

左右フォークトップからは減衰力を制御するソレノイドバルブの配線が伸びる。また、右トップにはKECSの刻印あり。プリロード調整は右フォーク下部のダイヤル(ブレーキ写真参照)で行う。

【リヤのプリ調整はボタン1つ】リヤショックのプリロードはソロ、ソロ+荷物、タンデム+荷物という3種類の積載モードから選択するシステムだ。
専用スマホアプリでセッティング変更

メーターにブルートゥースチップを内蔵。無料アプリ“RIDEOLOGY THE APP“からKECSなど各システムを設定したり、各種データが閲覧可能に。

メーターに表示されたパスキーを入力すると登録完了だ。走行中は常時スマホと接続されている。

GPS情報や車両走行情報(車速やエンジン回転数、ギヤなど)を記録。電話着信を表示する機能も。
(△)ベース車との差78万円。その価値はあるが……
標準グレードの車両価格は200万円を切っているので、やはり差額が気になるところ。だが、中間のSEと比べても走りの差は大きく、後からショックユニットその他を社外品に交換するのなら、その予算でSE+を買うことをお勧めする。
(結論)こんな人におすすめ:新時代ツアラー。違和感のなさが電サスの真骨頂
テストで初見の峠道を走ってみて、不安がないどころか普段のペースで走れたので、電サスの実力を痛感。スーパーチャージャーによるエンジンフィールは唯一無二であり、防風効果も十分以上。予算が許すならSE+をお勧めする。
●写真:岡 拓
※取材協力:カワサキモータースジャパン
※ヤングマシン2019年9月号掲載記事をベースに再構成
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カワサキ Ninja H2 SXの価格情報

カワサキ Ninja H2 SX
※ 価格は全国平均値(税込)です。
新車 19台 | 価格種別 | 中古車 23台 |
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本体 254.89万円 価格帯 244.2~263.45万円 |
本体価格 |
本体 197.11万円 価格帯 169.8~249.99万円 |
諸費用 4.73万円 価格帯 2.2~6.14万円 |
諸費用 |
諸費用 12.57万円 価格帯 0.01~17.13万円 |
乗り出し価格 259.62万円 価格帯 246.4~269.59万円 |
乗り出し価格 |
乗り出し価格 209.68万円 価格帯 186.93~250万円 |