998ccのスーパーチャージド水冷直4を搭載するニンジャH2 SX。3グレードあるうちの最上位、電子制御サスやブレンボの最新キャリパーを採用する“SE+”に試乗した。スーパーチャージャーによるエンジンフィールは唯一無二であり、防風効果も十分以上。最上位グレードにふさわしい上質な走りだった。
(◯)3つの電子制御が連携。走りを強力にサポート
最高出力200ps、ラムエア加圧時には210psに達する998㏄のスーパーチャージド水冷直4。これを高張力鋼によるトレリスフレームに搭載するスポーツツアラーがニンジャH2 SXだ。現在、3つのグレードを展開しており、今回は今年2月から販売されている最上位モデルの“SE+”に試乗した。以前のタッチ&トライで紹介した(関連リンク参照)のは中間グレードのSEで、それとの大きな違いは、ショーワ製の電子制御サスペンションと、ブレンボの最新式フロントキャリパー、そしてブルートゥースチップ搭載によるスマホとの接続機能の採用だ。なお、SEとの差額は約38万円となっている。
「+」はH2 SXの最上級グレード
【写真上:ニンジャH2 SX(199万8000円)、写真下:ニンジャH2 SX SE(239万7600円)】グレードは3種類で、それぞれでカラーリングが異なる。スタンダードはコーナリングライトやローンチコントロールはないが、2019年モデルでクイックシフターがオプション追加可能となった。なお、エンジンスペックは共通。
まずは電子制御サスについて。これはライディングモードに連動しており、スポーツならハード、ロードならノーマル、レインならソフトに設定される。合わせてトラコンの介入レベルも3段階で変化し、さらにそれぞれを任意に調整できるライダーモードも用意されているのだ。
今回のテストでは主にロードモードを使用した。高速道路ではグレードの高い乗用車のように路面追従性が高く、荒れた路面の峠道でもその印象は変わらない。それでいてハードなブレーキングではノーズダイブを程よく抑えてくれ、スーパースポーツほど荷重を意識しなくてもスムーズに向きを変える。元々、SEもコーナリングマシンと言えるほど旋回力を楽しめるモデルだが、SE+はそこにイージーさが加わった印象だ。なお、走行中もモード変更ができる(リヤのプリロード調整は停車中のみ)ので、状況の変化に応じていろいろ試せるのも美点だろう。
ブレンボの新型キャリパーは、決して軽くない(ZX-14Rとの重量差はわずか7kg)SE+を強力かつコントローラブルに減速してくれるので、実に心強い。特にタイトコーナーが続く峠道の下りでフィーリングが安定しており、世界中でブレンボが支持される理由を実感する。
最上位グレードにふさわしい上質な走りを手に入れたSE+。スマホとの接続機能はツーリングの記録を残す上でも実に便利だと感じた。
セミアクティブサス「KECS」を搭載
専用スマホアプリでセッティング変更
(△)ベース車との差78万円。その価値はあるが……
標準グレードの車両価格は200万円を切っているので、やはり差額が気になるところ。だが、中間のSEと比べても走りの差は大きく、後からショックユニットその他を社外品に交換するのなら、その予算でSE+を買うことをお勧めする。
(結論)こんな人におすすめ:新時代ツアラー。違和感のなさが電サスの真骨頂
テストで初見の峠道を走ってみて、不安がないどころか普段のペースで走れたので、電サスの実力を痛感。スーパーチャージャーによるエンジンフィールは唯一無二であり、防風効果も十分以上。予算が許すならSE+をお勧めする。
●写真:岡 拓
※取材協力:カワサキモータースジャパン
※ヤングマシン2019年9月号掲載記事をベースに再構成