2016年のKLX250ファイナルエディションを最後にカワサキのラインナップから消えていたオフロード車が、待望の復活を遂げる。今回発表されたのは空冷2バルブエンジンを搭載したKLX230と、兄弟車のオフロードレーサーKLX230Rだ。
手頃な価格で誰もがオフロードを楽しめる
ニンジャシリーズやネオクラシックのZ900RS、W800など充実のラインナップを誇るカワサキに欠けていたもの、それはオフロード車だ。「戦う4スト」のキャッチコピーで知られたKLX250の生産終了後、ヴェルシス250などクロスオーバー的なバイクはあるものの、純粋にオフロードを楽しめるマシンの復活が待たれていた。今回発表されたKLX230は、50万円を切る価格が魅力的なKLX230だ。
誰もがオフロードライディングを楽しめるようにと、エンジンとフレームを完全に新設計。空冷4ストローク232cc単気筒エンジンは低中速から力強いトルクを生み出し、シンプルな構造で信頼性も高い。カワサキ伝統の軽量コンパクトかつ低重心のペリメターフレームにより、オフロードライディングにおける高い操縦安定性を実現している。モトクロッサーのKXシリーズで培った『人間工学に基づいたデザイン』により、スリムで扱いやすいマシンコントロール性を手に入れているのも見逃せないだろう。
ヤマハ セロー250とKLX230を比べると?
車体構成や価格帯からライバルと目されるのはヤマハのセロー250だ。まず目を引くのは2車のシート高の違い。セローは初心者に優しい830mmで、険しい山間ライディングでも両足を地面に着きながら“2輪2足走行”でクリアしていくという独自のオフロード哲学を持っている。これに対しKLX230は885mmと、本格派で知られたKLX250にもヒケを取らないシート高。見た目で比べても、シッティングでの極端な体重移動を重視していないセローに対し、KLX230はモトクロッサーを彷彿とさせるフラットさ。シンプルで扱いやすく、かつ本格的というコンセプトが見えてくる。ちなみに最低地上高はセロー285mm、KLX230は265mmとなっている。
エンジンのスペックは、かなり似ている。セローは21ps/2.1kg-mでKLX230は19ps/1.9kg-m。発生回転数も同等だ。セルスターターを装備しているのも同じ。ただし、ミッションはセロー5速に対しKLX230は6速となっているのがアドバンテージか。WMTCモードにおける燃費は、セロー38.7km/L(燃料タンク容量9.3L)、KLX230は33.4km/L(燃料タンク容量7.4L)となっており、ツーリングではセローのほうにアドバンテージがあるだろう。
車重はセロー133kg、KLX230は134kgで同等。ハンドル切れ角はセローが左右51度なのに対し、KLX230は左右45度と少し異なっている。このあたりに、トライアル車的な要素を盛り込むセローと、純オフロードの傾向が強いKLX230といった違いが見いだせそうだ。
KLX230のその他のディテール
レーサーのKLX230Rも登場
KLX250の兄弟車として、オフロード専用(公道走行不可)のKLX230Rも登場する。こちらは樹脂製タンクやアルミ製スイングアームを採用し、保安部品を省略することでより軽量な車重115kgを実現。前後サスストロークもF=250mm/R=251mmとロング化されている。
※記事内の価格はすべて消費税8%を想定
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