第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

実測214馬力で圧倒するS1000RR

【2019海外直送・独日最強決戦】直4スーパーバイク1000 全開スーパーTEST[#04 最終ジャッジ&データ比較]

  • 2019/7/31

2019年は日本車キラーのBMW S1000RRが、『シフトカム』などの新テクノロジーを盛り込んでフルモデルチェンジ。ついにサーキットへと解き放たれた。ドイツ・PS誌では日本に先立ち、条件が同じ1000cc直4スーパーバイクのライバルを集めて、サーキットで全開テストを敢行。最終回となる第4回では、ラップタイムだけじゃない多岐にわたる項目でガチ採点。1000cc直4スーパーバイクの最強マシンが決定される!

文:Volkmar Jacob(PS) 写真:Arturo Rivas(PS) まとめ:宮田健一

舞台はスペイン・アンダルシア!

アンダルシア・サーキットは南スペイン・アルメリアにあり、旧コースの隣に約1年半前に完成したばかり。旧コースと接続することもできる。全長約4km半で習得は難しく、特にピット出口から数百m先の山頂直後はカーブが縮小し、早めのターンオフが必要となる。

舞台は新コースが完成したばかりのアンダルシア・サーキットだ!

タイヤはピレリで統一!

イコールコンディションでのテストを期するために、タイヤはピレリで統一。しかも、サーキットでの限界性能を引き出すことに挑戦するため、銘柄にはレーシングスリックのDIABLO SUPERBIKE SC1をチョイスした。このタイヤはSBK=ワールドスーパーバイク世界選手権の公式タイヤでもあり、まさにガチ仕様。タイヤ専門のスタッフも派遣され、エア圧などは厳密に管理された。

タイヤはレーシングスリックのDIABLO SUPERBIKE SC1に統一。

BMW恐るべし! 2番手とは17ps差、最大で26ps差と他を圧倒

ここではベンチマシンで測定した最高出力&トルクと、データロガーで採取したコース各セクションにおける通過速度&タイムを紹介しよう。まずパワー&トルクだが、目覚ましい走りとタイムを見せたS1000RRは、やはり予想どおりここでのパフォーマンスも、すべてのライバルの性能曲線よりも上に飛び抜けていた。実測MAX214psと12kg-mは、このクラスにおける新記録。2番手のYZF-R1Mと比べても17ps、5番手のCBRと比べると、なんと26psもの違いがある。S1000RRのエンジンは中速域でのライバルとの差も目覚ましい。しかし、このエンジンは以前よりも毒味と攻撃性に満ちあふれ、それほど一筋縄でたやすくコントロールすることはできない。さらにエンジンは非常に顕著に振動する。

[パワー測定]BMW S1000RRは文句なしの210ps超え。ヤマハは最大トルクの発生回転数がひと際低く、最高出力でほぼ並んだカワサキにラップタイムで大きく差をつけた要因になっているようだ。

印象的なのはYZF-R1Mの性能曲線だ。2番目に最高出力が出ているにも関わらず、5000~7500rpmの間では5台中最も少ないパワーしか出ていない。一方、スズキは5台の曲線のど真ん中に一直線を引いたようなかたちとなっており、これがライダーがパワーを引き出すときに予測可能なものとしていた。カワサキは、もう少しパワーが出ていてほしかったところ。CBRは車体がいいのに唯一の180ps台と、ここが一番のネックとなっていたのが再認識できる。

セクションごとの通過速度&タイムではパワーに物を言わせたS1000RRが、やはり1番時計……と思いきや、R1Mが同タイム。旋回性能の素晴らしさだけでなく、セクション4のストレートエンドではウイリーコントロールなど無駄のない電子制御がタイムロスを削り取って速さにつなげていたことが分かる。なかなか日本勢も頑張っている。

スピード測定:S1000RR強し! R1Mも侮れない

各計測ポイントにおける区間タイムとスピード。区間タイムのプラス/マイナスはBMWのタイムを基準に表記している。

全長4530mのコースを下にある図のように4つのセクションに分けて測定。それぞれにおけるブレーキ手前の最高速度とBMWとのタイムギャップを示している。緑は最良、赤は最低値だ。注目はBMWとヤマハの対決で、ヤマハは最初の3区間でスピードではほぼ負けているのに、BMWの前を走っていた。最後でBMWにまくられたかたちだが、テスター陣としてはこれはブレーキで負けたせいかもと分析。なお、表の最後の段は約300mのコース図オレンジ色区間を示している。このセクションは最もライン取りとその精度が要求される部分。結果を見るとBMW、ホンダ、ヤマハのハンドリング精度が優れていたことを実証している。テスターが感じたアグレッシブな鋭さは数字につながっていた。

4つのセクションに分けて計測した。オレンジ部分の複合コーナーのみを抽出した区間タイムは上の表を参照。

このグラフはS1000RR(赤線)とZX-10RR(緑線)がコース1周を回る間の速度を比較したもの。トップスピードの伸びとコーナリング速度のいずれもS1000RRの方が上回っていることが分かる。ただ総合タイムではS1000RRに3秒近く開けられてしまったZX-10RRだが、1~2間など部分的には互角に戦っていたのも見受けられた。

直4世界最高峰はこの5台だ![車格・機能面では日独ほぼ互角]

ここではテストした5台の直4スーパーバイクのスペックまわりを横並びで比較。加速や最高速などパフォーマンスについてはPS誌がこれまで行ってきた実測テストの最高値。ライポジ比較については、日本人ライダーの体格に合わせてヤングマシンで取材したものを記載した。また、カタログ諸元についても日本国内で入手できるものとしているが、こちらは最近の世界基準調和によって、海外仕様と、どれもほぼ同じとなっている。

あらためて見ると、レーシング性能が高まった新S1000RRだが、実はサイズ的には日本製スーパーバイクと比べてコンパクトというわけではなくほぼ同じで、ホイールベースに至っては最長。逆にホンダやヤマハのコンパクトぶりに目を奪われる。走りをサポートする電子制御デバイスなども充実度では、ほぼ互角だ。大きな差を付けているとしたら、BMWとスズキのみ採用している可変バルブタイミングだろうか。

BMW S1000RR

【FEATURE】
IMU:あり 
トラクションコントロール:4段階(+オプション:Pro Mode×3) 
パワーセレクト:4段階(+オプション:Pro Mode×3)
ウイリーコントロール:オプション(Pro Mode) 
ローンチコントロール:あり 
クイックシフター:アップ&ダウン 
エンジンブレーキコントロール:オプション(Race Pro)可変バルタイ:あり 
電子制御サス:オプション 
ABS:あり 
ホイール:アルミ鋳造(Mパッケージ:カーボン)

【PERFOMANCE】
最大後軸パワー@発生速度:201ps@284km/h
加速:0-100km/h=3.1秒 0-150km/h=5.0秒 0-200km/h=7.0秒
中間加速:50-100km/h=4.0秒 100-150km/h=3.2秒
トップスピード:299km/h

【BMW S1000RR 2019】主要諸元■全長2073 全幅848 全高1151 軸距1441 シート高824(各mm) 車重197[193.5]kg■エンジン型式 水冷4ストローク直列4気筒 DOHC4バルブ 排気量999cc 最高出力207ps/13500rpm 最大トルク11.5kg-m/11000rpm 圧縮比13.3 燃料タンク容量16.5L■ブレーキF=ダブルディスク R=ディスク■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17●車両価格:227万7000円[267万7000円] ※[ ]内はMパッケージ

新型は車格もライポジもコンパクト。ハンドルは従来より手前&幅広で、若干上体が起きる。タンクを包み込んで乗車でき、着座位置の自由度も高い。ステップ位置は後ろで攻めるのにバランスがいい。シートが厚いMパッケージなので、接地性は両つま先が着く程度だ。(身長168cm/体重61kg)

HONDA CBR1000RR SP

【FEATURE】
IMU:あり 
トラクションコントロール:9段階+オフ 
パワーセレクト:5段階 
ウイリーコントロール:3段階+オフ 
ローンチコントロール:なし 
クイックシフター:アップ&ダウン 
エンジンブレーキコントロール:3段階 
可変バルタイ:あり
電子制御サス:あり 
ABS:あり 
ホイール:アルミ鋳造 

【PERFOMANCE】
最大後軸パワー@発生速度:177ps@272km/h
加速:0-100km/h=3.1秒 0-150km/h=5.0秒 0-200km/h=7.3秒
中間加速:50-100km/h=5.0秒 100-150km/h=4.0秒
トップスピード:293km/h

【HONDA CBR1000RR SP 2018】主要諸元■全長2065 全幅720 全高1125 軸距1405 シート
高820(各mm) 車重195kg■エンジン型式 水冷4ストローク直列4気筒 DOHC4バルブ 排気量999cc 最高出力192ps/13000rpm 最大トルク11.6kg-m/11000rpm 圧縮比13.0 燃料タンク容量16L■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/50ZR17●車両価格:249万4800円

シート高は820mm。フレームの基本設計は’08モデルから継承するものの、ライポジはグッとコンパクトに感じられ、大幅に車重が軽くなったことも手伝って、引き起こしや取り廻しも簡単に行える。前傾度合いも自然。足着き性も指の付け根くらいと悪くない。(身長168cm/体重61kg)

YAMAHA YZF-R1M

【FEATURE】
IMU:あり
トラクションコントロール:9段階+オフ
パワーセレクト:4段階
ウイリーコントロール:3段階+オフ
ローンチコントロール:2段階+オフ
クイックシフター:アップ&ダウン
エンジンブレーキコントロール:なし
可変バルタイ:なし
電子制御サス:あり
ABS:あり
ホイール:マグネシウム鋳造

【PERFOMANCE】
最大後軸パワー@発生速度:185ps@307km/h
加速:0-100km/h=3.3秒 0-150km/h=5.3秒 0-200km/h=7.4秒
中間加速:50-100km/h=4.4秒 100-150km/h=4.7秒
トップスピード:285km/h

【YAMAHA YZF-R1M 2019】主要諸元■全長2055 全幅690 全高1150 軸距1405 シート
高860(各mm) 車重201kg■エンジン型式 水冷4ストローク直列4気筒 DOHC4バルブ 排気量998cc 最高出力200ps/13500rpm 最大トルク11.5kg-m/11500rpm 圧縮比13.0 燃料タンク容量17L■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=200/55ZR17●車両価格:307万8000円

シート高は860mmと腰高で、いかにもレーシングマシンという雰囲気。そのため両足を下ろしたときの足着きはつま先がなんとか接地する程度。シート座面とハンドルバーの高さはほぼ同一で前傾も強く、スポーツライディング専用のポジションと言える。(身長168cm/体重61kg)

SUZUKI GSX-R1000R

【FEATURE】
IMU:あり
トラクションコントロール:10段階+オフ
パワーセレクト:3段階
ウイリーコントロール:なし
ローンチコントロール:あり
クイックシフター:アップ&ダウン
エンジンブレーキコントロール:なし
可変バルタイ:あり
電子制御サス:なし
ABS:あり
ホイール:アルミ鋳造

【PERFOMANCE】
最大後軸パワー@発生速度:180ps@260km/h
加速:0-100km/h=3.0秒 0-150km/h=4.6秒 0-200km/h=7.0秒
中間加速:50-100km/h=4.3秒 100-150km/h=3.6秒
トップスピード:295km/h

【SUZUKI GSX-R1000R 2018】主要諸元■全長2075 全幅705 全高1145 軸距1420 シート
高825(各mm) 車重203kg■エンジン型式 水冷4ストローク直列4気筒 DOHC4バルブ 排気量999cc 最高出力197ps/13200rpm 最大トルク11.9kg-m/10800rpm 圧縮比13.2 燃料タンク容量16L■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17●車両価格:211万6800円

シート高は825mmでスーパースポーツとしては平均的。モデルチェンジする前の’16年モデルと比べると、全体的にコンパクトになり、上体の前傾度も増したが、街中やツーリングで無理を強いられるほどではない。足着き性は両方のつま先が着き、これも平均的だ。(身長168cm/体重61kg)

KAWASAKI Ninja ZX-10RR

【FEATURE】
IMU:あり
トラクションコントロール:5段階+オフ
パワーセレクト:3段階
ウイリーコントロール:なし
ローンチコントロール:3段階
クイックシフター:アップ&ダウン
エンジンブレーキコントロール:2段階
可変バルタイ:なし
電子制御サス:なし
ABS:あり
ホイール:アルミ鋳造

【PERFOMANCE】
最大後軸パワー@発生速度:183ps@283km/h
加速:0-100km/h=3.4秒 0-150km/h=5.2秒 0-200km/h=7.4秒
中間加速:50-100km/h=4.9秒 100-150km/h=4.2秒
トップスピード:298km/h

【KAWASAKI Ninja ZX-10RR 2019】主要諸元■全長2085 全幅740 全高1145 軸距1440 シート高835(各mm) 車重206kg■エンジン型式 水冷4ストローク直列4気筒 DOHC4バルブ 排気量998cc 最高出力204ps/13500rpm 最大トルク11.7kg-m/11200rpm 圧縮比13.0 燃料タンク容量17L■ブレーキ F=ダブルディスク R=ディスク■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17●車両価格:292万6800円

スーパースポーツとしては良好な足着き性で両足指の腹まで接地。タンクは上面のエグリが前傾時にアゴを収めやすい。そのタンクは幅があってビッグバイクらしいボリューム感があるが、ここは直線で腕を絞る際や、コーナリングで身体をインに落としたいときに少々大きすぎるかも。(身長168cm/体重61kg)

[次ページ]直4スーパーバイク最強決定戦は日独引き分け!

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