競技内容が一新リニューアル

二輪車安全運転全国大会2019まもなく開催【8/3〜4】

二輪車安全運転全国大会

バイクの安全運転技能を競うコンテスト「二輪車安全運転全国大会2019」が、8月3日(土)〜4日(日)、鈴鹿サーキット・交通教育センターにて開かれる。昨年1年間の休止を経て今年から新体制となり、一般社団法人日本二輪車普及安全協会(日本二普協)の主催で行われることに。競技内容も一新される注目のリニューアル開催に、都道府県を代表する優れたライダーが集い、日ごろ究めたライディングの腕を競う。

日本二輪車普及安全協会の主催で開催

二輪車安全運転全国大会は、二輪車の交通事故防止を目的に、警察庁など関係省庁と二輪車メーカーおよび関係団体が協力し、1968年から開催されてきた。2017年に第50回を終え、1年間のブランクを経て、主催が一般財団法人全日本交通安全協会(全安協)から一般社団法人日本二輪車普及安全協会(日本二普協)へ引き継がれ、今年から改まって開催されることになった。

すでに全国大会に向けて、各都道府県で「二輪車安全運転都道府県大会」が開催されているが、これらの大会は各都道府県の交通安全協会が行っている。そこから選抜されたライダーが都道府県の代表チーム(4クラス・4人)を組んで全国大会へ出場する仕組みになっており、出場選手は”セーフティライダー日本一”の栄誉を勝ち取ろうと、緊張感あふれる熱いライディングを見せる。

開催趣旨を継承しつつ新しい全国大会へ

全国大会の開催へ向けて、日本二普協理事で安全本部長も務める藤井龍光氏に話を聞いた。

二輪車安全運転全国大会
全国大会への抱負を語る藤井理事

――日本二普協はこれまで後援の立場で全国大会の運営を支えていましたが、これからは表舞台に立ちます。どのように取り組みますか?

「主催者として大会を営む責任は大きいものがあります。関係省庁・団体のご協力を得ながら、全国大会の会長を務める当会の伊東孝紳会長を筆頭に、職員が一丸となって開催運営に取り組みたいと考えています」

――今年の全国大会は、どんな点が新しくなりますか?

「ライダーの交通事故防止という普遍的な目的は変わるものではありません。全安協がやってきた全国大会の開催趣旨や長い歴史をしっかり継承していきたい。新しくなった点としては、競技項目や採点基準を見直したり、競技車両に原付二種を導入したことなど、時代に合わせた対応を図っています」

――競技に関すること以外では、何か新しい試みはありますか?

「当会のノウハウを生かして、全国大会の広報に積極的に取り組みます。WEBサイトやSNSを使った情報の拡散を通じて、これまで以上に大会の認知度を高めたいと考えています」

――今年の全国大会へは、34都道府県からの参加が見込まれているとのことですが、この状況についてはどう捉えていますか?

「昨年1年間の休止で、各地域の対応が間に合わなかった側面もあります。都道府県大会に多くの一般ライダーが参加して運転技能を磨くことが重要で、そこから全国大会へ出場し、再び地元へ帰れば模範ライダーとして、交通安全のすそ野を広げていくことが期待されます。ですから、都道府県大会の活性化がとても重要で、日本二普協としては全安協・都道府県安協と協力し、各地域を盛り上げていきたいと考えています」

――全国大会へ出場するライダーにひと言お願いします。

「たいへん暑い時期の開催なので熱中症にならないように注意して、日ごろの安全運転技能を存分に発揮していただき、素晴らしいライディングを披露してほしいと思います。充実した全国大会になるよう取り組みます」

法規履行・安全マインドに重点を置いた新競技

全国大会の競技は、高校生等クラス(使用車両:原付一種)、女性クラス(同:原付二種)、普通二輪クラス(同:普通二輪)、大型二輪クラス(同:大型二輪)の4クラスで行われる。

二輪車安全運転全国大会
都道府県の代表が“安全運転日本一”を目指す

交通法規に則った運転ができるか審査する「法規履行走行」(持ち点500点)、二輪車を安全かつ自在に操縦できるか審査する「技能走行」(持ち点500点)を行い、転倒や接触などのミス、タイムの遅れなどがあると持ち点から減点される。

とくに今回、技能走行の課題項目が大きく見直され、(1)極小バランス、(2)応用千鳥」、(3)コーススラローム(4)ブレーキング(5)コンビスラ(コンビネーションスラローム)の5項目で、”走る・曲がる・止まる”の基本的な運転技能が、高いレベルで身に付いているか審査される。

競技内容の見直しに当たった飯田剛審判長(本田技研工業株式会社 安全運転普及本部)に、改訂のポイントについて話を聞いた。

二輪車安全運転全国大会
競技の改訂に取り組んだ飯田審判長

「従来の大会では、技能走行の課題は9項目ありましたが、各課題の要素を集約し5項目に見直しました。たとえば従来のストレートブリッジ(一本橋走行)やブロックスネーク(障害屈折狭路走行)、悪路応用走行などの低速バランスの課題は、今回から狭い直線に置かれたパイロンをかわして進む『極小バランス』という競技に集約し、低速での走行技術や内輪差を考慮した車両誘導技術を審査できる内容に変更しました。また、コーナリングの要素は『コンビスラ』に集約するなど課題の項目数の見直しを行いました」

――詳しい競技項目の内容は、日本二普協のWebサイトに紹介されていますね。動画の解説もあって、非常に参考になります。ライダーにアドバイスはありますか?

「今回、採点基準も大きく見直しています。とくに、法規履行走行で指示違反や転倒があった場合、従来40点減点だったところを今回大会は500点の最大減点としています。また、法規履行走行のそれぞれの減点数も見直し、これまで以上に法規履行能力を重視した採点基準になっており、より一般道路での安全運転技能のウエイトを高めています。ライダーの自制できる心、安全マインドを重視した競技にする考えです。ライダーの皆さんには、そうした審査の趣旨を理解してもらい、日ごろの公道での安全運転にも活かしてほしいと思います」

二輪車安全運転全国大会 Webサイト https://www.jmpsa.or.jp/
一般社団法人日本二輪車普及安全協会 https://www.jmpsa.or.jp/safety/contest/

※モーターサイクルインフォメーション2019年7月号(日本自動車工業会)掲載記事をベースに再構成