近年のホンダ系純正アクセサリーパーツと言えば無限&モリワキだったが、ここ最近になって存在感を増しているのがホンダ純正部品の設計や生産も手掛ける技術集団・合志技研工業だ。2020年の鈴鹿8耐参戦を目標に掲げ、目下、オリジナルパーツの開発と共に勢力的にロードレース参戦に取り組んでいる。アフターパーツとしての商品化の予定はまだないとの事だが、ホンダファンとしては気になる存在。合志技研工業の狙いをフリーライターの栗原テイジが探った。
レース参戦は人と技術を育てるため
ホンダの純正部品などを手掛ける合志技研工業株式会社は、2014年に発足させたレーシング部(GOSHI Racing)によってオリジナルレース用マフラーの開発を通し“人と技術を育てるため”にレース参戦を行っている。ミニバイクレースから開始し、ロードレースのCBRカップ、JP250クラスに参戦。徐々に排気量やクラスをランクアップし、昨年はST600クラス車両にて、地方選手権と全日本ロードレース選手権(スポット参戦)にエントリーするなど本格的なレーシングチームへと変貌を続けてきている。
今年から『 Road of SUZUKA 8 hours 』のスローガンの下に“2020年の鈴鹿8時間耐久レース参戦”を目標に、従業員をはじめチームクルーのマインドを高める一方、JSB1000クラスにステップアップ。HONDA CBR1000RR SP2にオリジナルパーツの『54R !』エキゾーストを装着してのマシン開発と技術の向上を図りながら地方選手権への参戦を続けている。 後半戦の全日本ロードレース選手権にもスポット参戦を予定している他、8耐の前哨戦にあたる鈴鹿4時間耐久レース(7月27日(土)決勝開催)には、HONDA CBR600RRで参戦することが決定しているという。
JSB1000クラス初参戦で2位入賞
昨年までは、ST600クラスにHONDA CBR600RRで地方選手権と、全日本ロードレースにもスポット参戦していたGOSHI Racingだが、今年はJSB1000クラスにステップアップして、まずは地方選手権から参戦を開始。 4月28日(日)大分県オートポリスで開催された九州ロードレース選手権第2戦JSB1000クラスに『GOSHI Racing』より2台のHONDA CBR1000RRがエントリーした。 田尻悠人選手が改造範囲の広いEWC(エンデュランス・ワールド・チャンピオンシップ)仕様、そして、黒木玲徳選手はほぼストック状態のSST(スーパー・ストッククラス)仕様での参戦。共に開発中のGOSHIオリジナルの『54R!』エキゾーストを装着して1000ccマシンの開発を進める。予選ではEWC仕様の田尻選手が2位、そしてSSTの黒木選手が3位通過。 迎えた決勝、小雨の降る難しいコンディションの為、スターティンググリットでのタイヤ変更時にトラブルが発生してしまい、2台ともピットスタートでの最後尾からの追い上げのレースとなってしまう。それでも、田尻選手は最後尾からファステストラップを叩き出し驚異の追い上げをみせ見事2位でフィニッシュ。一方の黒木選手も怒涛の走りで4位(*スタート前規定時間内に作業が終了せずペナルティにより正式結果は8位)でチェッカーを受けた。
その後、6月9日(日)開催の鈴鹿サンデーロードレース第2戦にも同じ2台でエントリーし、1000cc鈴鹿初参戦ながら田尻選手がトップから0.3秒差の2位で連続表彰台を獲得(スーパーストック仕様の黒木選手は9位)するなど、すでに目を見張る戦績を残してきている。全日本ロードレース選手権の後半戦では、岡山、オートポリス、鈴鹿ラウンドのスポット参戦を予定。今後もオリジナル『54R!』エキゾーストの開発を中心に、1000ccクラス参戦するGOSHI Racingの動向が注目される。
永田監督に聞く『Road of SUZUKA 8 hours 』
「2020年の鈴鹿8時間耐久レース参戦を目指す理由は何か?」私も悩みました。
レース用マフラーの開発は、「技術を育てる」絶好の教材であり、人も含め、そこへ賭ける想いや決意等、色々なメリットが在ると考えてます。元々、このレーシング部(当時はクラブ)が発足した理由の一つに「人材育成」があり「諦めないマインド、勝ち残るマインドを造り育てる。」と挙げており、その延長上に「夢」である鈴鹿8耐があった。 しかし、そう簡単な事ではない事は重々承知してます。「バカな事を!」と叱られるかもしれませんし、笑われるかもしれませんが、 いま、合志技研工業に必要なチャレンジであり、ファクターの一つだと考えています。あくまでも個人的な見解ですが、現実にある確かな答えだと信じています。
(文・写真/栗原テイジ Teiji Kurihara)
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