1000から125まで、それぞれの排気量においてネイキッドの“Z”を展開しているカワサキ。ニンジャの単なるカウルレス版に留まらず、明確な住み分けがなされているのがポイントだ。Z400は日本のマーケットにおいても魅力的であり、ニンジャ400と並んでヒットするのは間違いない。
250と設計共有で大成功、セカンドバイクにもお薦め
Zシリーズは1000を筆頭に900、650、250、そして125を展開しており、これに新たに加わったのが400である。“Sugomi”をコンセプトとするスタイリングは、ベクトルこそ似ているがそれぞれに明確な主張があり、またフレームについても設計思想は共通するが、形状や材質は各モデルごとに異なる。とはいえ、シリーズ全てに試乗した経験から感じるのは、走りの方向性が一貫していることだ。簡潔に説明するなら乗り手の技量に対する許容範囲が広いこと。その点はホンダのCBシリーズにも通じるのだが、カワサキはそこにライダーがワクワクするようなエッセンスを加えており、Sugomiデザインと走りのイメージがリンクしているのだ。
Z400は、兄貴分のZ650ではなくZ250と設計を共有したことが成功の秘訣と言える。グローバル展開やコストなどの兼ね合いもあるだろうが、日本のマーケットにおいても一般公道の特徴や免許制度を考えると非常に魅力的だと感じた。ベースとなったニンジャ400と車重が1kgしか違わないのは不思議だが、とはいえZ650と比べると21kgも軽量であり、これで迷う人がいてもおかしくはない。
普通2輪初心者はもちろん、ビッグバイクオーナーのセカンドバイクとしても薦めやすいZ400。等身大で長く付き合える韋駄天ネイキッドだ。
[ライバル]Z400 VS CB400:基本設計に四半世紀の開き、その差は大きい
下の表を見てほしい。昨年の400ccクラスのトップセールスはニンジャ400で、2位のCB400SF/SBに対してダブルスコアという圧倒的な強さだ。付け加えると9位にも旧型のニンジャ400がランクイン(325台)しており、完全に手が付けられない状態だ。このニンジャ400をベースに誕生したZ400は、パワーウエイトレシオにおいてCB400SFを上回っており、さらに価格は20万円以上も安いことから、人気を集めることは容易に想像できる。とはいえ、CB400SFの魅力が失われるわけではない。ダブルクレードルにツインショックという王道ネイキッドスタイルに、精密時計のごときハイメカ直4の組み合わせは唯一無二であり、キャラは実に対照的だからだ。
2018年の販売台数はNinja400がCB400越え!
実際の比較採点によるトータルは同点に。両車に魅力あり!
[もうひとつの戦い]Z400 VS Z250:優秀な兄に対し、弟分の存在意義とは?!
開けるほどに表情が変化。ラジアル化は必須か!?
共通のプラットフォームに排気量の異なるエンジンを搭載する。国内外の多くのメーカーが採用している手法であり、特に昨今は解析技術が進歩しているようで、排気量の大小と乗っての楽しさは必ずしも比例しないのだ。
Z250は正にこのケースに当てはまる。エンジンは排気量がただ小さいだけでなく、Z400よりもショートストローク比なこともあって吹け上がりが快活だ。しかも、5000~7000rpmの間でフワッとトルクが盛り上がったあと、1万rpmを超えてからさらにもう一伸びする。パワー特性においてはZ400よりも表情の変化が豊かであり、またトルクが薄い分だけシフトチェンジをさぼれないという点も含め、個人的にはZ250のほうが楽しいとすら感じてしまった。
ハンドリングについては標準装着タイヤの違いが顕著であり、ラジアルを履くZ400に軍配を上げる。バイアスを装着するZ250はコツコツとした微振動を伝えてくるほか、倒し込む過程での接地感が希薄で、Z400に慣れたあとではコーナー進入時にやや躊躇してしまう。ただ、旋回中の車体姿勢はZ400よりも後ろ上がりな印象で、バイク任せのコーナリングでは旋回半径がわずかに小さいように感じられた。とはいえ、今回の試乗であらためてラジアルとバイアスの差を体感できたのは有意義であり、Z250オーナーにはラジアル化を勧めたい。
車検の有無以外にもZ400とZ250にはそれぞれに魅力があり、正直なところ甲乙付けがたい。どちらを選んだとしても後悔はしないはずだ。
たったの11ps・2kg・約7万円差。大きな違いはタイヤと排気量
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