1960年代のボクサーエンジンを当時のイメージのまま現代のカスタムバイクとして甦らせたら、どんなふうに見えるだろう? それも、BMWの持つクラシックなデザインアイコンの数々と組み合わせたとしたら……。そんなコンセプトで誕生したのがコンセプトR18だ。
この空冷ボクサーエンジン、市販化はもうすぐ?
デカイ! とにかくエンジンがデカさが印象的だ。
2018年の12月に日本のカスタムビルダーである“CUSTOM WORKS ZON”の手により、横浜のホットロッドショーで発表された『Departed』というカスタムバイクを覚えている方もいることだろう。そのマシンに搭載されていたエンジンは、空冷大排気量ボクサーツイン(水平対向2気筒)のプロトタイプとされ、正確な排気量は明かされていないものの近い将来の量産化を強く匂わせていた。
スペシャルメイドのカスタムマシンということで、エンジンの中身についてはあまり騒がれることのなかった、BMW水平対向2気筒エンジン搭載のDepartedというマシン。しかし、そこには新作エンジンのプロト[…]
そのDepartedに採用されていたものとベースが同じエンジンを搭載し、今回BMWによって発表されたカスタムコンセプトバイクが“コンセプトR18”だ。このコンセプトバイクはBart Janssen Groesbeekの手によるもので、テキサス州オースティンのカスタムビルダーによって設計された、当エンジンにおける2番目のカスタムマシン『リバイバルバードケージ』に続く、第3弾となっている。
その巨大なエンジンの排気量は1800ccと明示され、BMWモトラッドが1960年代の終わりまで積み上げていたフラットツイン(=ボクサーエンジン)を彷彿とさせる意匠が盛り込まれている。エンジンブロックとトランスミッションは、ガラスビーズブラスト処理されたアルミニウム製で、手磨きされたアルミ部品のベルトガードやバルブカバーがカスタム感を醸し出し、エンジンバッジにはコンセプトバイクの名前が付けられる。さらにソレックス(SOLEX)のデュアルキャブレターを思わせるスロットルボディがミッションケース上方にマウントされるなど、かなりヘリテイジを意識したデザインだ。
エンジンの外観的な特徴は、ほかに後輪をドライブするユニバーサルシャフトがクロームメッキを施され、露出していること。さらに電子機器はスターターとライト以外に備えておらず、かなりの純粋主義で作られていることがわかる。
なんにせよ、この秋のショーで何らかの市販車に近い形のものが発表され、いずれこの空冷ビッグツインがBMWのファミリーに加わることは想像に難くない。
BMW R5のようなクラシカルなスタイリング
コンセプトR18は、巨大な空冷ボクサーエンジンを直線基調のクレードルフレームに搭載し、露出したユニバーサルシャフト、黒塗りのドロップラインの燃料タンクによるバランスの取れたプロポーションが特徴。BMWのクラシックであるR5などを彷彿とさせる。フレームとタンクはステアリングヘッドからリヤホイールハブまで一貫して共通のラインを描いており、フロント21インチ/リヤ18インチの大径スポークホイールをで足元を支えている。そして、このホイールサイズにもかかわらずエンジンがこれだけ大きく見えるのだ。
BMWによれば、このコンセプトR18はバイク業界のニーズの高まりに応えるものであり、テクノロジーよりもシンプル化、信頼性、そしてデジタル時代に対するアナログのメッセージだという。
クルーザーファンならずとも、BMWが何か面白いものを作ろうとしていることには、アンテナを張っておいて損はなさそうだ。