2018年11月のミラノショーで正式発表された新型W800は、W800 CAFE(カフェ)とW800 STREET(ストリート)の2本立てとなることが判明。年明けには東京・秋葉原で開催された「Kawasaki Motor Show in 東京ベルサール秋葉原」で実車が展示され、国内仕様の発売が秒読み段階に入ったことが明らかになっていた。そしてついに、3月1日の国内発売が正式にアナウンスされたのだ。
新型W800はカフェが111万2400円、ストリートは99万3600円
2016年発売のファイナルエディションを最後に一部マーケット(インドネシア等)向けを除き生産が終了していたW800。ユーロ4に対応して復活は以前から噂されており、2018年夏前には「ほぼ確実」と言えるところまで当WEBでも情報をつかんでいた。それが正式発表に至ったのは、2018年11月6日に開幕したイタリアのミラノショーだ。搭載するバーチカルツイン(シリンダーが直立した並列2気筒エンジン)は空冷773ccのままでユーロ4に対応し、リヤブレーキをドラム→ディスクとしてABSも新装備。スタンダードスタイルのW800ストリートとW800カフェの2モデルにラインナップが拡大されたこともトピックだった。
ただし、この時点ではスペック等の詳細な情報は公開されておらず、のちに判明するようにフレームにまで手を入れた大がかりなモデルチェンジだということはわかっていなかった。
1960年代のルックスとフィーリングを受け継ぐ
いつの時代も最速を求めるのがカワサキのDNAだが、じつはこのW800もその血統のひとつ。1966年(昭和41年)年までさかのぼると、当時カワサキブランド初の大排気量4ストロークマシンとして登場した「W1」に行き当たる。このモデルは発売当時の日本車で最大排気量=624ccを誇るスーパースポーツであり、その後のカワサキの最速DNAの先駆けとなったもの。Z1から現代のNinja H2に至る4気筒エンジン搭載の最速マシンは、W1なくしては生まれなかったといっても過言ではないだろう。
もちろん現代におけるWの役割は大きく変わってきており、絶対的な速さよりも純粋にバイクらしさを味わえるモデルとなっている。1999年に発売されたW650(W800の直接的な前身)はネオクラシックと呼ばれ、レトロな雰囲気が重視されたが、773ccのW800となって走りには余裕が生まれた。そして今回の新型W800では、いわば原点回帰ともいえるモデルチェンジが施されている。
つまり、オリジナルの「W」が持っていた360度クランク・空冷バーチカルツインのパルス感と乾いたサウンドを追求し、ルックスもフィーリングも1960年代当時のW1が持っていたビッグバイクらしさ、すなわち「操る悦び」「所有する悦び」「愛でる悦び」を持った『Wの世界観』にこだわっているというのだ。
フロント18インチ化は原点回帰の象徴?
ヤングマシン誌は1972年創刊のため、W1がデビューした1966年当時の写真は書庫にもなく、画像を並べての比較をお届けできないのが残念ではあるが、W1のひとつの特徴としてフロントに18インチホイールを採用していたことがあった。翌年に登場したW1Sではすぐに19インチとなってしまったとことから、当時のタイヤラインナップはフロント19インチが主流だったことが伺えるものの、いずれにしてもこのフロント18インチ復活は、初代W1の走りに回帰することを目指したこだわりに思えてならないのだ。
↓↓その他のディテール写真&解説はこちら↓↓
2018年11月6日、イタリアでミラノショーが開幕し、各社のニューモデルが続々と公開された。カワサキは、これまで発表されたNinja ZX-6Rや10R以外にも4機種が新登場。ここでは、2019新型W[…]
2018年11月6日、ミラノショーで初公開されたカワサキの新型W800 CAFE(カフェ)の新たな写真が公開され、最高出力等のスペックも明らかになった。 フロントホイールは19→18インチに小径化 海[…]
50年以上にわたるWシリーズの最新進化形
1966年当時、W1が背負った最速という使命は、現在のニンジャやZシリーズが引き継いでいる。この新型W800は、オリジナルWの雰囲気を可能な限り再現しながら、現代的で信頼性の高いパフォーマンスを実現しているのが最大の魅力。時代を超えた美しさを手に入れられる日は、すぐそこだ。
主要諸元
※ニュース提供:カワサキモータースジャパン