国産二輪車唯一の市販ロータリーエンジン搭載車・スズキRE5。凝ったメカニズムもさることながら、特徴的なスタイリングもこのマシンの大きな見どころだ。中でも初期型だけに採用される通称“茶筒メーター”はその象徴的存在。キーオンと同時に半透明のカバーが「パカッ!」と開く様子をご覧あれ。
一世を風靡したロータリーエンジン
1973年の東京モーターショーで発表されたスズキRE5は、62psを発揮する497ccの水冷1ローター・ロータリーエンジン(以下RE)を搭載する、日本メーカーで唯一となる市販REモーターサイクルだ(海外にはハーキュレスやノートン、バンビーンの例がある)。‘60〜70年代に「夢のエンジン」としてもてはやされたREは当時、世界中の2/4輪メーカーが研究したものの、日本メーカーで市販にこぎつけたのはマツダ、そして2輪のスズキだけだ(ヤンマーがチェーンソーや船外機に採用した例はある)。
初期型の特徴“茶筒メーター”
当時、次世代エンジンとして注目されたREを搭載するだけに、RE5はデザインもかなりの未来志向だ。手がけたのは4輪の初代VWゴルフやフィアット・パンダなどで知られる名デザイナー・ジウジアーロで、中でもメーターやテールランプなどに採用される、円筒をモチーフとした造形が最大の特徴。これは初期型のみのディテールで、後期型ではGT750と共通の2眼メーター&テールランプとなるため、マニアの間ではやはり初期型の人気が高い。メーター形状から“茶筒”と呼ばれて親しまれるのがこの初期型だ。
この“茶筒”が面白いのは形だけでなく、キーオンと同時に半透明のメーターカバーが「カパッ」と開くことだ。ギミックといえばギミックだが、‘70年代に必死に考えたであろう“未来感”が今となっては何とも愛おしく、初期型RE5を象徴する部分でもある。今回、この“茶筒”が開く様子を動画で収めたのでご覧頂きたい。ちなみにこのメーターカバー、「電動で開閉する」とされている文献もあるが、バネ仕掛けで開く機械式で、カバーを閉めるのは手動、というのが正しい。
…というわけで、貴重な映像をどうぞ(笑)
スズキRE5の走行シーンはこちらから!
今回の車両は整備前のためにエンジン始動は叶わなかったが、「RE5の音が聞きたい!」という向きはぜひコチラの記事を。後期型なのでメーター形状の違いもよく分かる。