長い歴史を締めくくるモデルとして20世紀最後の年に登場したSYは数多くの専用設計部品を導入していた。
1100台が限定販売されたファイナルエディション
今後の排出ガス規制の強化を考えると、基本設計が’80年代初頭に行われたGSX1100Sの存続は難しい……と考えたスズキは、’00年にファイナルエディションとなるSYを販売。生産台数は排気量にちなんだ1100台で、当時の価格は99万円だった。エンジンはブラック塗装だが、ケースカバーをアルミの地色、カムカバーをメッキとしている点が、かつてのSDやSE、SSLなどとは異なる。シート表皮とタンデムベルトは専用設計だ。
ウィークポイントを克服、走って曲がって止まる(GSX1100SY復刻インプレ)
’80年代を代表する名車として高い人気を保ってきたカタナが、厳しい排気ガス・騒音規制を前にして20年に及ぶ長い歴史に幕を閉じることになった。その最後を飾るべく、限定で1100台生産されるのがこのファイナルエディションだ。
GSX1100Eと共通の空冷DOHCエンジンから、まずはその優秀性を感じ取れる。少しガサツに感じたかつての1100よりもキャブレターのセッティングが緻密になったのではないか……、と思うほどライダーの意に添う綺麗な回り方をする。〝スポーティ?とはまさにこのことだ。
一方の操縦性だが、前輪19インチがもたらす全速度域での安心感がまず感じられるものの、リーン開始では意外なほど操舵が軽く、フルバンク状態ではやや心許ない旋回性を示す。むろんそれは不安というレベルではない。
意外に速度が出せるのはブレーキの改良も大きく影響している。φ275mmソリッドディスク+シングルポットからφ300mmフローティングディスク+4ポットへと大幅に強化されたフロントブレーキをテストしてみると、これが実に良かった。指4本がけでも制動力が弱かったあのカタナが、指2本がけでも普通にしっかり止まるのだ。また、強力に利き過ぎないところも自然でいい。もちろんブレーキ強化に伴って変更された新設計のフロントフォークアウターチューブや、補強が入れられたフレームがきれいにバランスしているからこそフィーリングなのだろう。
ノスタルジーではなく、現代の目から見たビッグマシンとして、カタナ・ファイナルエディションをセレクトする意義は十分にある。(柏 秀樹)
関連記事/リンク
既存のGSXシリーズをベースにして、外装や吸排気系、ライポジなどを中心とした大幅刷新を行う。それが初代から最新型に至るまで、カタナシリーズ全車に共通する開発手法だ。ここではシリーズ12回分を収録すると[…]
写真をまとめて見る
- 1
- 2